夢を冷やかす周囲の言葉への反発
2025年11月に『I'm Shooting Star』でボカロPデビューした韓国人ボカロP・AnythingBecomeMoe。2026年5月25日に投稿された新曲『ヤラララ』が、6月13日にYouTubeで1000万再生を達成するとともに、自身初の殿堂入りを果たしました。
『ヤラララ』は重音テトを使用した低音ボーカルと、ひずみを効かせた重厚なサウンドが癖になる楽曲です。
しかし、歌詞に注目してみるとただ楽しいだけの曲ではないことがわかります。
さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。

----------------
「おい」
「なんでソンナことやってんの?」
「無駄なことしてるの?」
「そんなことしてないで、勉強でもしておけば?」
「おい」
「なんでソンナことやってんの?」
「ただしいとおもってんの?」
「だから頭が悪いって言われるんだよ」
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
冒頭では、主人公に対する周囲からの冷やかしや馬鹿にしたような発言が続きます。
これは、創作活動をしたり夢を追いかけたりしている人にとって身に覚えのある言葉ではないでしょうか。
まるで自分がしていることが無駄で間違っているかのように言うその言葉は、周りからすれば親切な忠告やアドバイスなのかもしれません。
しかし、言われた側にとっては自分の全てを否定されたように感じてしまうでしょう。

----------------
なに抜かしてんだか
つべこべうるせえな
目に見えるものしかわからないんだな
へー、大したもんだ
口先だけだな
吠えることしかできないんだ
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
そうした言葉の数々を、主人公は「なに抜かしてんだか つべこべうるせえな」と一刀両断します。
「目に見えるものしかわからないんだな」のフレーズは、それぞれが見ているものの違いを明らかにしています。
周囲は成果物や結果という「目に見えるもの」を重視しているのに対し、主人公は作り上げる過程や、そこにかける想いという目に見えないものを大切にしているのでしょう。
情熱を持って何かに挑んだことのない人が、口先だけで吠えても何とも思わないと真っ向から反発する姿勢に、内なる強さを感じますね。
ざわつく心の声も振り払う

----------------
「こっちがあってる、こっちに行こう」
「そっちはダメよ、あっちに行こう」
心を支配して
ゆらゆらと、ゆらゆらと
「ねえ、これ面白くない?」
「ねえ、これ馬鹿らしくない?」
今、声が、一斉に
ざわざわと、ざわざわと
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
2番でも、主人公を揺るがす声は聞こえています。
それぞれが思う正しさや面白さを押しつけられているうちに、主人公の心は徐々に支配されていくようです。
本当に自分がしていることは正しいのか、自分が作っているものは面白いのかと疑心暗鬼になってしまいます。
その声はどんどん大きくなり、心をざわつかせて熱意を失わせようとしてきます。
好きなものや自分自身の気持ちを信じられなくなることほど、つらいことはありません。
----------------
なに抜かしてんだか
つべこべうるせえな
目に見えるものしかわからないんだな (知らないんだな)
へー、大したもんだ
口先だけだな
もう口を閉じろ
聞きたくない、黙れ、うるせ
うんざりなんだ
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
主人公は、自分を吞み込もうとする周囲の声も心の声も振り払います。
目に見えるものしか見ようとしていないから、知識も理解も及ばないのだと思っているようです。
それでそんな奴らは「もう口を閉じろ」、自分の思考を邪魔する言葉は「聞きたくない、黙れ、うるせ」と強い言葉で退けます。
ついに散々投げかけられる言葉に我慢の限界がきて、「うんざりなんだ」と感情を露わにしています。
目標を目指してもう一歩先へ

----------------
せーの
千里眼を持つという友よ
足元の石も見えぬか?
遥かな旅を行く友よ
セイレーンの声に惑わされたか?
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
「千里眼を持つという友」は、夢に期待しすぎて華々しい未来を思い描いている人のことかもしれません。
しかし、そういう人の方が遠くのことにばかり気を取られて本当にすべきことを疎かにし、「足元の石」に気づかず痛い目を見るということがあるのではないでしょうか。
次に出てくるセイレーンとは、美しい歌声で船乗りたちを魅惑し難破させて命を奪う、ギリシャ神話に登場する伝説の怪物のこと。
夢を追いかけるのをやめて現実的な選択をし「遥かな旅を行く友」は、まるでセイレーンの声に惑わされた人のようです。
何かを目指す上で、夢を見すぎることも目標を失うこともよくないと訴えかけているように感じます。

----------------
ヤラララ、一歩ずつゆっくり
ヤラララ、もっと着実に
ヤラララ、程遠くても
ヤラララ、やめられないんだ
ヤラララ、息が切れても
ヤラララ、運が背を向けても
ヤラララ、悔しくなっても
ヤラララ、もう一歩先へ
≪ヤラララ 歌詞より抜粋≫
----------------
サビでタイトルの「ヤラララ」のフレーズが繰り返されるのが印象的です。
リズムを重視した意味のないかけ声に聞こえますが、そこに続く言葉を見ると、前に進むために自分を後押しする力強い叫びのようにも聞こえます。
周囲や自分の内側からどのような声が聞こえてこようとも、焦らず「一歩ずつゆっくり」、「もっと着実に」進んでいくんだという意志が感じられるでしょう。
自分が思い描くゴールにたどり着くまでの道程は「程遠くても」、本当に望んでいるから「やめられないんだ」と歌います。
その過程では息切れして立ち止まりたくなる瞬間も、運に背を向けられたと感じるような場面もあるでしょう。
同じ分野で成功している人を見て、悔しくてたまらなくなることもあります。
そこで諦めるのは簡単ですが、きっと不安も悔しさも押しのけて「もう一歩先へ」進む人こそ夢を現実にできる人です。
夢を持てない人が多くなった現代社会に、自分の想いを貫く強さを見せてくれる歌詞ですね。
AnythingBecomeMoe制作のMVのストーリーも必見!
AnythingBecomeMoeの『ヤラララ』は、夢に対する向き合い方を考えさせる強いメッセージを持った楽曲です。本人制作のMVでは重音テトと初音ミクがクローン開発をした結果、ゾンビになったクローンたちをバットでなぎ倒していく様子が描かれています。
MVのストーリーも重ねながら、歌詞に込められた強いメッセージを感じ取ってくださいね。
