人類観測の歌詞が描く”人類への皮肉と愛情”
『人類観測』は、にじさんじ所属のVTuber・剣持刀也が歌う楽曲です。剣持刀也は2018年にデビューした16歳の男子高校生で、本楽曲は待望の1stミニアルバム『Augment』に収録されています。
手がけたのはボカロPのピノキオピーです。
「すろぉもぉしょん」や「神っぽいな」などの代表曲で知られ、人間の本質を鋭く切り取りながらも皮肉やユーモアを織り交ぜる作風が特徴的です。
ピノキオピーと剣持刀也が重なることで、『人類観測』ならではの世界観が生まれている歌詞を見ていきましょう。
冒頭では、観測者が少し離れた場所から人類を見つめている様子が描かれます。
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やあ人類 今日も必死に
変な紙切れ かき集めてる?
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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ここでいう「変な紙切れ」は、お金を指していると考えられます。
人間にとっては生活に欠かせない大事な存在ですが、観測者から見れば、人生を費やしてまで追い求める不思議な紙切れにも映るのかもしれません。
続く歌詞では、人類同士の争いにも触れられます。
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やあ人類 今日も元気に
仲良く銃を向けあってる?
がんばってるね
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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「銃を向け合ってる」は戦争だけでなく、SNSでの誹謗中傷や炎上、日常の対立関係にも重ねて読むことができます。
印象的なのは「がんばってるね」という一言です。
皮肉にも聞こえますが、人類の未熟さに呆れながらも、どこか微笑ましく見守っているような温度も感じられます。
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その悩み その怒り
ベタな葛藤も愛おしい
それ千年前も見たし
一万年前も見たし
でも なんか目が離せないや
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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人類の悩みや怒りは、今だけのものではありません。
千年前も一万年前も同じような葛藤があり、人類は繰り返し悩み、争ってきました。
それでも観測者は「愛おしい」と語ります。
この楽曲は人類の愚かさを指摘しているのではなく、その愚かささえも含めて愛おしみ、「目が離せない」と思っているのではないでしょうか。
「人類の分際で諦めんなよ」が伝えるメッセージ

この楽曲の特徴は、断定よりも問いかけが多いことです。
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なんのために生きてんの?
なんのために死んでくの?
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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サビに登場する印象的なこのフレーズは、観測者は答えを示すのではなく人類へ問いを投げかけています。
また、人類の欠点も率直に描かれています。
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醜いとこ いっぱい
ラブアンドピース 失敗
けど 第2シーズンも見てみたい
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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人類は失敗を繰り返します。
それでも「第2シーズンも見てみたい」と語るところに、観測者の愛着が表れています。
そして観測者は、人類に対してこう語りかけます。
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「もう、終わり」とか言ってんの?
派手に転び泣いてんの?
馬鹿だねって 笑いとばすから
人類の分際でエンディング決めんな
人類の分際で諦めんなよ まだ
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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これは単なる応援ではなく、「まだ終わりを決めるな」というメッセージに近いのではないでしょうか。
さらに、「永遠に16歳」の剣持刀也が歌うからこそ、この言葉は重みを持ちます。
変化し続けられる人類に向かって、永遠に16歳という存在である剣持刀也が「まだ可能性があるのに諦めるのか」と問いかけるようにも聞こえます。
観測者は誰?剣持刀也が歌い上げるからこそ生まれる意味

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ピーチクパーチク うるせえな
いいから ちょっと落ち着けや
あ 気に障ったら ごめんな
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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人類を俯瞰していた観測者は、ここで急に距離を縮めます。
「うるせえな」「気に障ったらごめんな」という言葉遣いは、配信でリスナーとやり取りする剣持刀也を想起させます。
しかし続く歌詞では再び視点が引き上げられます。
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いがみあい 貶しあい
ぶつかって咲く花火
古代文明で見たし
近代文明で見たし
何回やれば学ぶかな
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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この曲には問いかけが多く登場しますが、「何回やれば学ぶかな」だけは少し異なります。
問いを投げかけるというより、同じ失敗を繰り返す人類への呆れがにじむ独り言のようにも聞こえますよね。
続く歌詞では、観測者の視野がさらに広がります。
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雲のソファで 人類観測
命の点がいっぱい
みんな主役で渋滞
全話 飛ばさず見てみたい
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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「雲のソファ」という表現から浮かび上がるのは、手の届かない“雲の上の存在”のようなイメージ。
ただ、「ソファ」という言葉にはどこか親しみやすさも感じられます。
離れた場所から見守る観測者の姿が描かれているのかもしれません。
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「もう、終わり」とか言ってんの?
壁にぶち当たってんの?
ちゃんと見ろよ 道はあるから
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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という歌詞では、1番の歌詞にあった「馬鹿だねって笑いとばすから」より少し距離を置いた印象を受けます。
近くで励ますのではなく、自分で道を見つけてほしいと見守るような視線です。
その直後に歌われるのが、
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人類の逆転劇 ちょっと期待してんだ
人類の逆転劇 でも実際はどうかな?
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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という一節です。
「何回やれば学ぶかな」と呆れながらも、それでも人類の逆転劇を期待してしまう。
この複雑な感情こそが観測者の視線なのかもしれません。
そして楽曲の核心とも言えるのが次の歌詞です。

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評価するとしたら★4? ★1?
正直 測定不能の変な生き物
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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ここで登場する「変な生き物」は、冒頭の「変な紙切れ」と重なる表現にも受け取れます。
観測者はお金を「変な紙切れ」と呼び、人間を「変な生き物」と呼んでいる。
どちらも一言では測れない複雑さを持つ存在として描かれているのかもしれません。
また、この歌詞はVTuberという存在にも重なるように感じられます。
登録者数や再生数、フォロワー数など、数字で評価される世界に身を置く剣持刀也。
そんな彼が歌うからこそ「測定不能」という言葉には、人の価値は簡単に数値化できないという思いも込められているように読み取れます。
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この世のすべてが「わかった」とか
短い寿命で「悟った」とか
笑わせんな まだはえーわ
不完全のまま光ってくれ
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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そして観測者が最後に示す答えが、「不完全のまま光ってくれ」です。
すべてを悟ろうとせず、不完全なまま進み続けてほしい。
そこに、この楽曲の根底にある人類への期待が表れているように感じられます。
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誕生の日から 人類観測
最後まで寝ずに追いかけたい
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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この歌詞からは人類の物語を見届けたいという思いだけでなく、永遠に16歳として存在し続ける剣持刀也自身の在り方にも重なって見えます。
そしてラストでは、
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やあ人類 遥か未来
気づけば こっちと目があってる?
グッときちゃうね
≪人類観測 歌詞より抜粋≫
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と歌われます。
観測される側だった誰かがVtuberになる未来、人類を見ていた観測者と人類そのものが、同じ場所に立つ未来を描いているようにも読めます。
「目が合う」とは、観測者と被観測者の境界が消える瞬間なのかもしれません。
そんな未来がもし来たら観測者はきっと「グッときちゃう」のでしょう。
長く見守り続けてきた人類と同じ目線に立てたことへの喜びであり、観測し続けた物語が、新たな形でつながることへの感慨深さの表れなのではないでしょうか。
人類の続きを見届けたい

「人類観測」は人類の愚かさを描きながらも、そのすべてを「愛おしい」と見つめる楽曲です。
観測者は剣持刀也でありながら、ときに神のようにも、ときに人類そのもののようにも見えます。
しかし剣持刀也自身もまた人類の一人です。
人類を観測する剣持刀也、剣持刀也を観測する人類=リスナー。
そして、その両方を観測するさらに上位の存在。
人類観測は観測する側とされる側の境界が曖昧だからこそ、多様な解釈も生み出しているのではないでしょうか。
この楽曲には「頑張れ」や「生きろ」といった直接的な応援の言葉はありません。
それでも「不完全のまま光ってくれ」というメッセージは、失敗や迷いを抱えたままでも前へ進んでいいのだと教えてくれます。
人類の愚かさも弱さも肯定しながら、それでも続きを見たいと語りかける『人類観測』は、そっと背中を押してくれる「救いの楽曲」なのかもしれません。
自分の未来に不安を感じたときや、もう終わりにしたいと諦めそうになったときに、ぜひ聴いてみてください。