2023年10月20日に『神が残した夢を喰う。』として活動を開始し、2026年6月11日にBe my Girlへ改名。千葉県柏市発の彼らは、今年7月から初の全国ツアー『オフライン革命』をスタートさせた。
そのツアーファイナルが、8月29日、名古屋SPADE BOXで開催。
東名阪を含む全国7都市を巡ってきたツアーの最後に待っていたのは、予定枚数終了となった満員のフロア。
SNSからBe my Girlを知った人も、路上ライブで手売りされたチケットを握りしめてこの日を迎えた人もいる。
そんな一人ひとりの熱と、ステージ上の4人の熱がぶつかり合うような、魂のこもった一夜だった。
「名古屋待たせたな!」開幕1秒から、ビーマイもファンもエンジン全開

SEが流れ、4人がステージに登場すると、会場から大きな拍手が巻き起こる。
「名古屋待たせたな! Be my Girl始めます!」「かかってこいよ!」
Gt&Vo・はるくんの煽りから始まった1曲目は、『エンドレディ』。
2026年6月11日、Be my Girlへの改名と同時にリリースされた、4人の新たなスタートを象徴する楽曲だ。
疾走感のあるバンドサウンドに乗せて描かれるのは、すれ違った男女の感情。絡まった感情を断ち切ろうとしながらも、どこかで再び交わる未来を願ってしまう、そんな割り切れなさが歌詞の端々から滲む。
若い世代ならリアルタイムの恋愛として、大人なら若かりし頃の少し苦い恋の記憶として。それぞれの経験によって違う景色が浮かぶ楽曲だ。
ライブでは、そんな歌詞をじっくり味わう暇もないほど、冒頭からフロアの手が上がる。

音から好きになった人にも、一度立ち止まって歌詞と向き合ってほしい。
Be my Girlは、ただノれるロックバンドではない。恋愛のどうしようもなさを、どうしようもないまま歌にしてしまう。その“情けなさ”まで含めて、彼らの楽曲の魅力なのだ。
続く『1000W』では、「こんなパンパンなライブハウスさ、楽しむしかねぇよな!」と、はるくん。
『500W』をロックアレンジした楽曲として2026年7月31日にリリースされた『1000W』は、文字通り電力を引き上げたようなライブ映えする一曲。
序盤からアクセルを踏み込んだまま、フロアをさらに熱くしていく。
「ロックって覚悟だろ!」満員の名古屋で、はるくんが叫んだ覚悟

2曲を終えたところで、はるくんが満員のフロアを見渡す。「待って、ビーマイ売れた!?」
結成地・柏から離れた名古屋で、これだけの人が自分たちを待っていた。その光景を、はるくん自身が少し信じられないように楽しんでいるのが伝わってくる。
「この余韻でどっか逝けそうだわ(笑)」
そんな言葉で笑わせたあと、全国各地で行ってきた路上ライブ、そしてそこで手売りしてきたチケットについて触れる。
ネットを入口にBe my Girlを知る人が増えていく一方で、彼らは実際に街へ出て、直接人と出会い、チケットを渡してきた。
だからこそ、この日のフロアにいる人たちの顔を、彼らは知っている。そんな積み重ねの先にある満員のライブハウスで、はるくんは叫んだ。
「ロックってジャンルじゃねぇぞ、音の重さでもねぇぞ、ロックって覚悟だろ!!!」
会場から大歓声が返ってくる。そして、「俺らの覚悟見せてやるからついてこいよ!」そのまま3曲目へ。
“情けない男”の恋が、満員のライブハウスで大合唱に

『幽霊になって』。
Be my Girlの恋愛ソングには、完璧な主人公がほとんどいない。
好きなのにうまくできない。離れたくないのに、もう届かない。後悔しても時間は戻らない。
そんな、どこか情けない男性の心情を真正面から歌う。
『幽霊になって』も、一見するとキャッチーで明るい曲調。しかし歌詞を読み込むほど、その景色は少しずつ複雑さを帯びる。
主人公は本当に幽霊になったのか。それとも、恋人との別れによって“生きているのに死んだような状態”になったのか。
答えは明言されていないからこそ、聴く側の想像が膨らむ。
そしてライブでは、そんな奥深さを一旦吹き飛ばすように「ハイ!ハイ!」とコールが起き、サビ終わりの「呪いたいほど好きだよ」は、会場との大合唱へ。
さらにアウトロでは、Gt・せいたが美しいギターフレーズを響かせ、曲が終わってもその余韻がしばらく会場に残った。

続く『ゾッコン』は、珍しく女性目線で描かれた失恋ソング。
「『嫌いになったんじゃないよ』とかテンプレに頼った」という、別れ際の“ありがちな言葉”への苛立ちから始まり、最後には「次はもっとあたしにゾッコンな いい男を捕まえて 見せつけるわ」と啖呵を切る。
『エンドレディ』と並べて聴くと、まるで男女それぞれの失恋を描いたアンサーソングのようにも響くが、リリース自体は『ゾッコン』が先。
この日のセットリストで披露されたことで、2曲の間に新しい物語が生まれていった。
「みんなビーマイ大好き?」――ライブハウスが爆笑の渦へ
ここでMC。「みんなビーマイ大好き?」とはるくんが問いかけると、「大好き〜!」と返す会場。「なんでなんで♡ 嬉しい♡」と、乙女全開になるはるくん。……ロックバンドのツアーファイナルである。
しかし、Be my Girlのライブでは、こういう瞬間が妙に自然だ。
Dr・たいたいも、売れる前から自分たちのライブを見るために名古屋まで足を運んでくれたファンを「ありえないくらいいい人たち」と労う。
そして、目の前にいる人たちをもっと知りたいと、突然始まったのがMBTI申告大会。
はるくんとスタッフのヒロは「主人公(ENFJ)」。同じタイプを尋ねると、思いのほか多くの手が上がる。
一方、せいたは「冒険家」と主張するも、はるくんからは即座に、「どこがやねん!」とツッコミ。
さらに、たいたいからは「アルパ家か農家でしょ」「喋るアルパカやん、もうALPKでええやん!」といじられる始末。
「喋るアルパカが今日奇跡的にギター弾いてる」と畳み掛けるメンバーに、会場は大爆笑。

さらに会場唯一の「起業家」に実際の職業を尋ねたところ、「パチ屋のアルバイト」と返ってきて、「起業しろよんッ!!」とはるくんも思わずファンにツッコむなど、もはやお笑いライブかトークショーかと錯覚するほど、MCまで楽しい。
けれど、この“近さ”こそBe my Girlの大きな特徴なのだと思う。
路上ライブを全国で行い、ライブ後には特典会も実施してきたBe my Girl。「ネットから知ってくれる方が多いからこそ、親近感というのも大事にしている」そんな姿勢が、ライブのMCにもそのまま表れている。
ファンは“観客”であると同時に、このバンドの今を一緒に作っている人たちなのだ。
タオル、クラップ、そして初披露――“一緒に作るライブ”がさらに加速

5曲目『バグモンスター』ではタオルが一斉に回り始める。
同曲は公式にも「コール&レスポンスもあり、全員で声を出しながら盛り上がれる一曲」と紹介されているライブアンセム。
サビの掛け合いでは、「サイコー!」とはるくん自身のテンションもさらに上昇。
そして6曲目には、8月3日にリリースされたばかりの新曲『青の灯』を初披露。
新曲にもかかわらず、イントロからクラップで応えるオーディエンス。
この曲が歌うのは、青春の衝動だ。
「無い物ねだりの人生よりも ここにあるもの探しに行こう」
今の自分を愛すること、未来をまだ決めつけないこと。

公式にも、Be my Girl自身が『青の灯』について「学生の頃に感じた期待と不安」や「何者でもない自分たちが未来を信じて明日の扉を開こうともがく“青春の衝動”」を詰め込んだ楽曲だとコメントしている。
だからだろう。
青さが詰まった楽曲なのに、なぜか大人にも刺さる。
かつて青かった自分を思い出させてくれるし、いつの間にか大人になってしまった自分にも、「まだここからでいい」と勇気をくれる。
そして、そのメッセージを支える楽器隊の存在も大きい。
Be my Girlは、はるくんが多くの楽曲の作詞・作曲を担っている一方、4人の音が重なって初めてライブで完成するバンドだ。
そのことを、今回の新曲でも改めて感じさせられた。
『ラムネ』で夏が弾ける。撮影OKの一曲に、4人の“今”を焼き付ける

7曲目は撮影可能曲となった『ラムネ』。
2026年7月17日リリースのこの曲は、夏の恋をラムネに重ねた爽快なラブソングだ。
イントロではGt・せいたのギターが印象的なフレーズを奏で、そこから一気に夏の空気へ。
サビ終わり、音がスッと引いた瞬間に、「甘くてズルいね」という言葉が落ちる。
その一瞬、Dr・たいたいがシンバルの余韻を止めるように音をコントロールする姿が見えた。派手なアクションではないからこそ、音を一音単位で支配するような気合いが伝わってくる。
……メロい。

撮影OKということでスマートフォンを掲げるファンも多いなか、ステージ上では4人が全力で演奏している。
今しか撮れない、今しか残せないBe my Girl。その瞬間を、ファン一人ひとりがそれぞれの画角に焼き付けていった。
続く『愛想花火』では、ひぐらしの鳴き声から始まる演出と、会場を照らすスマホライトが印象的。
夏の夜を思わせる空間の中で、フロア全体が歌声を重ねる。
ここで少しだけ熱を冷ますような時間を作ったことで、次に待つ『雨』の存在感がより大きくなった。
「いろんな人が広めてくれた大切な曲」――『雨』が満員の名古屋で再び降る

「いろんな人が広めてくれた大切な曲」そう紹介された9曲目は、デビューシングル『雨』。
2023年に『神が残した夢を喰う。』名義で発表されたこの曲は、SNSで広がり、今やYouTubeで955万回再生を誇る彼らの代表曲だ。
実際、『雨』は1曲の中に男女それぞれの視点が描かれていることや、サビのメロディのキャッチーさが業界でも注目されてきた。
さらに、TikTokで投稿されたカバー動画が100万再生に達したことをきっかけに、その歌い手との公式カバーへと発展するなど、SNS発の広がり方そのものにもストーリーがある。
そんな『雨』を前に、はるくんは「ここまで雨が育つことを、デビューした時の自分たちは想像していただろうか」と振り返る。
そして、「心をこめて歌います」と穏やかに宣言。
さっきまでフロアを煽っていた人と同じ人物とは思えないほど一言一言を大切に紡いでいき、歌い終えた瞬間、会場から自然と拍手が起こった。
恋の後悔から、生きることへ――Be my Girlの音楽が持つもう一つの顔

続く『500W』では、自分の行いを後悔しながら、冷めてしまった恋心をもう一度温められたらと願う、情けなくて、少しバカみたいな主人公の心の声が歌われる。
「君の気持ちも もう一度温め直せたらな」そんな発想が、まさにBe my Girlらしい。
そして、その痛みをさらに深い場所へ持っていくのが『生きるのは苦しい』だ。
作詞・作曲はマイキ。
恋愛だけではなく、「生きることそのもの」を歌ったこの曲では、はるくんのボーカルがこれまで以上に魂を帯び、会場では涙を拭う人の姿も見られた。

「生きるのは苦しい」「悩むのは苦しい」と歌いながら、愛する人が隣にいることを思えば、その悩みさえ馬鹿らしくなる。
苦しさを否定するのではなく、苦しさを抱えたまま誰かと生きることを肯定する。だから、この曲は聴く人によって違う場所に刺さるのだと思う。
そして、ここからライブはクライマックスへ向かっていく。
「このメンバー、あなたとだったら、ビーマイ武道館絶対行けるよな!」。楽器隊の音が会場を包む。
その上に、はるくんが語り始めた。
高校でバンドを始めたこと。漠然と「武道館」という夢を持っていたこと。でも、それはずっと「いつか」の話だったということ。
具体的な未来としてではなく、ぼんやりと先に置かれていた夢。
しかし、この日。
満員の名古屋SPADE BOXで、はるくんはその夢を“確信”に変えた。
「確信しました。このメンバー・あなたとだったら、ビーマイ武道館絶対行けるよな!」と叫ぶと会場からは大歓声。
この言葉が、この日のライブを象徴していた。
Be my Girlは、すでにSNSで大きな数字を持っているにも関わらず、ステージの上にいる4人は、まだ「売れる前」の自分たちとして、この日の景色を見ている。
はるくんが多くの楽曲を書き、Be my Girlの音楽の中心を作るが、今回のライブを観ていると、「はるくんのバンド」というより、この4人でBe my Girlなのだという感覚が強く残る。
その証拠の一つが『心音』だ。
作詞・作曲・編曲を担当したのは、現在のBa・まさること志賀将。
「あなたの不安とか、あなたの孤独とか」と始まるこの曲は、誰かの弱さを無理に救おうとはしない。ただ、「僕だって同じだよ」と隣にいる。

はるくんだけではなく、メンバーそれぞれの音楽がバンドの輪郭を作り、4人とファンが、その輪郭を一緒に大きくしている。
「願えば叶うって、バンド人生かけて証明するよ!」
『心音』を終えると、はるくんは改めて会場を見渡した。「願えば叶うって、バンド人生かけて証明するよ!」「これからもみんなの嬉しい時、悲しい時、辛い時、幸せな時、全部共有できる、みんなの日々を見守れる、そんなバンドでいたいと思っています。これからもそんな関係でいようぜ!」
SNSで偶然『雨』を知った人。TikTokで曲を使った人。YouTubeでMVを観た人。路上ライブで初めて出会った人。
そして、この日のチケットを握りしめて名古屋まで来た人。
Be my Girlは、音楽を聴いてくれる人と直接会うことを大切にしてきたからこそ、ステージ上の「これからもそんな関係でいようぜ」という言葉が、単なるライブの決め台詞ではなく聞こえた。
そしてラストへ。
4人とフロアの声が一つになる――『絶命』で迎えたツアーファイナル

最後の曲は『絶命』。
「どうせいつか死ぬ命だ」という強烈な言葉から始まり、最後には「君の明日を僕は待っているから」と歌うこの曲は、Be my Girlのもう一つの顔を象徴する楽曲でもある。
会場との大合唱で始まったラスト。そして冒頭「僕は待っているから」から、はるくんが歌を引き継ぐ。
フロアに蓄積されていた熱が、一気にステージへ集まっていく。
歌う4人と声を上げるファン。その境目がなくなる瞬間は、単に「ライブが盛り上がった」という言葉だけでは足りない。
この日までの道のりと、この先にある未来を全員で共有したような時間だった。
最後の一音が鳴り終わる。
「俺らを選んでくれて、出会ってくれてありがとう!」「これからもよろしく、Be my Girlでした!」と、最後まで声を振り絞り、ツアーファイナルは幕を閉じた。

“売れる前”を見られる最後の瞬間なのかもしれない。
この日のステージから伝わってきたのは、一人のソングライターが率いるバンドというより、「この4人だからBe my Girl」という強い意志だった。
実際、改名の背景についても、もともとソロプロジェクトとして始まった活動を、この4人で新たなスタートにしたいという思いがあったことが記録に残っている。
そして今、彼らはまだ夢の途中にいて、その先にある景色を少しずつ確信し始めている。
11月23日には初のホールワンマンとなるLINE CUBE SHIBUYA公演を控えるBe my Girl。"バカ売れする直前のバンド"だけが放つ独特の熱を、8月29日の名古屋SPADE BOXで確かに感じることができた。
「願えば叶う」を、バンド人生をかけて証明する。その物語は本当に武道館まで続いていくのか。
その行く末を見届けたくて、気づけばスマホを握る指は、初のホールワンマンのチケットサイトへと動いていた。

Photo&Text 愛香
セットリスト
1.エンドレディ2.1000W
3.幽霊になって
4.ゾッコン
5.バグモンスター
6.青の灯
7.ラムネ
8.愛想花火
9.雨
10.500W
11.生きるのは苦しい
12.心音
13.絶命
ライブ情報
ONE MAN LIVE「エンドレディ」日程:11月23日(月)
時間:open 16:00 / start 17:00
会場:LINE CUBE SHIBUYA
▷チケット詳細

