aiko「ハチミツ」ちょっぴりレアな隠れた名曲
aikoの『ハチミツ』は、ちょっとレアな位置づけの楽曲です。というのも元々は、aikoがインディーズ時代に発表したアルバムに収録されているからです。
『ハチミツ』が収録された2ndインディーズアルバム『GIRLIE』は、1988年5月にリリースされました。
かつては、インディーズCDショップやオフィシャルファンクラブなどで販売されていましたが、現在は廃盤となり入手しづらいアルバムです。
その後『ハチミツ』は、2005年2月にaikoのメジャー17枚目のシングル『三国駅』のカップリングとして収録されました。
アレンジを変えて収録されているため、インディーズ時代のアルバムは、相当レアなものと言っていいでしょう。
aikoの大ヒット曲『カブトムシ』や『花火』、『ボーイフレンド』などに比べると、『ハチミツ』の世間一般の認知度は少し少ないのかもしれません。
しかし隠れた名曲として、ファンの間でとても人気の高い楽曲です。
甘いハチミツを「苦い苦いハチミツ」と表現した、aikoらしい等身大の恋愛描写が際立ちます。
ここからは、『ハチミツ』の歌詞の意味を詳しく紐解いていきます。
幸せの中にある不安・複雑な恋心を描く

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あなたの言葉に 恋をした言葉で
優しく厳しくもあるその指は
いつも愛を知る
愛よりも大事なものはありますか?
「ボクは何をすればいい?」
「あたしを好きでいてくれればそれでいい」
≪ハチミツ 歌詞より抜粋≫
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表面的なものではなく、相手の本質に触れて惹かれた、恋をした、という深い感情が描かれています。
言葉はその人となりを表すもので、発する言葉でその人自身が深く伝わります。
「優しく厳しくもあるその指」という歌詞は、相手が優しさだけでなく、きちんと厳しさも伝えてくれる存在として、描いているのではないでしょうか。
本来、自分に向けられる厳しい言葉や意見は受け入れづらかったりしますよね。
しかし、主人公の女性は相手の男性の人間性を認め信頼しているからこそ、厳しささえも愛情だと思って受け入れられるのです。
彼がいつも自分に大きな愛を与えてくれることで、彼女は本当の愛の意味を深く知ることができるのでしょう。
「愛よりも大事なものはありますか?」という言葉で、彼女にとって愛が何よりも大事だということがわかります。
裏を返せば、この愛を失うことへの不安も隠されています。
「ボクは何をすればいい?」という彼の問いかけに、「あたしを好きでいてくれればいい」という彼女。
どこかに連れて行ってほしい、何かを買ってほしい、してほしいといった物理的な要求ではなく「好きでいてほしい」という目に見えない希望を伝えます。
「好き」という感情はいくら言葉にしても、本当の気持ちは目に見えないものです。
彼女は2人の関係が壊れるのが怖い。
だから、ただこの先もずっと私を好きでいてほしい、と訴えているのです。

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気づかれた 見つめてたコト
あったかい部屋の中で あたし驚いたのは
そんな素敵な顔をするから
≪ハチミツ 歌詞より抜粋≫
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陽だまりの中、ストーブをつけた部屋でしょうか、温かな空間で時を過ごす2人。
彼を見つめていた女性、それに気づいた彼。
彼が見せたのは驚いたような、照れたような、きっと素敵な表情。
自分だけに見せてくれる表情が、たまらなく愛おしい。
日常の些細な幸せが描かれています。
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おせっかいやくって嬉しいコトなのね
眠れないのなら歌ってあげる いつでも "愛のうた"
そうやってつねって 今を確かめるなら
あたしが服のスソつまんで
後ろ向いたら教えてあげる
≪ハチミツ 歌詞より抜粋≫
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「おせっかい」は余計なこと、疎ましいことと思われがちです。
しかし、おせっかいを焼いてしまうのは、相手のことが心配だから、愛情があるからというのが本音です。
母親が子どもに、ついおせっかいを焼いてしまうように・・・。
彼女はつい彼におせっかいを焼いてしまうけれど、そのことに幸せを感じています。
彼がとても大切な人だから。
幸せな日々ほど、これは夢じゃないのか?と心配になりますよね。
体をつねって痛くて「これは現実だ」と実感したい2人。
「この幸せは夢じゃないよ」と、彼に教えたい彼女。
ちょうどつまみやすい所に、彼の服のスソがあるのでしょう。
「後ろ向いたら教えてあげる」と、甘えたようなかわいらしい情景が描かれています。
同時に、どんなに幸せの中にいても、それがいつか壊れるのではないか、という消えない不安も感じ取れます。
そんな気持ちはきっと誰もが共感できるのではないでしょうか。
このパートでは「服のスソつまんで」という歌詞がポイント。
彼の服のスソをつまむ、という表現は小柄なaikoらしい表現です。
『カブトムシ』でも「少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ」という歌詞がありますよね。
彼女が描く等身大のラブソングは情景が浮かび、女性からの支持が多いのも頷けます。
「ハチミツ」タイトルの意味

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想ってた真ん中痛い程
苦い苦いハチミツ忘れないように
二人の証残して
わかってた うんと近くにいたいコト
冷たい掌から この灯ともしたら
ずっといつまでも消えないでいて
≪ハチミツ 歌詞より抜粋≫
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彼のことが好きすぎて、苦しくなるほどの愛情が表現されています。
甘くとろりとしたハチミツは、濃厚で深く甘い恋愛を想像させます。
しかし「苦い苦いハチミツ」という歌詞で、恋が甘い幸せだけではないことを示しています。
こんなにも濃厚で幸せな時間を失うことへの不安や恐怖が「苦いハチミツ」という言葉で表現されているのではないでしょうか。
もし、2人にいつか別れが訪れたとしたら?甘いハチミツの味も苦くなってしまう、そんな予感かもしれません。
そして、彼を好きすぎて苦しくなってしまう複雑な恋心を、甘いから苦いへと変換させているのかもしれませんね。
彼女は、今のこの幸せな時間を「2人の証」として残したいと思っています。
残したいと思っていることは、未来への不安への裏返しとも言えます。
ずっとあなたの一番近くにいたい。
どうかこの2人の愛がともす灯が消えませんように、幸せな時間が永遠に続きますように、と願う彼女。
このように『ハチミツ』というタイトルは、甘くて濃厚な幸せな時間を想像させますが、歌詞を紐解いてみると、この恋を失うことの不安も描かれています。
恋する気持ちの幸せや苦しみを描いた歌詞は、きっと誰もが感情移入できるのではないでしょうか。
「ハチミツ」aikoが描く・甘さと苦さの混在した等身大のラブソング

aikoの『ハチミツ』はインディーズ時代に発表され、その後メジャーシングル『三国駅』のカップリングとして収録された楽曲です。
初出の1988年のインディーズアルバム『GIRLIE』は廃盤のため、aikoの楽曲の中でも少しレアな存在と言えます。
『ハチミツ』というタイトルから甘い恋愛ソングを彷彿とさせますが、それだけではありません。
「苦いハチミツ」という歌詞から、彼を好きすぎて苦しくなる気持ちや、この恋を失うことへの不安が描かれています。
日常を切り取ったようなシーンは、聴く人が自分と重ね合わせて感情移入しやすいのではないでしょうか。
aikoが描くラブソングはとても定評がありますが、甘さと苦さの混在した『ハチミツ』は、彼女らしい等身大の恋愛が表現されていると感じます。
発表から40年近く経っても、色あせないaikoのラブソング『ハチミツ』。
恋する気持ちは幸せの中にいても、苦しみやせつなさを感じてしまうものなのかもしれません。
