受賞の先にある責任と覚悟。「グループとして売れなきゃ始まらない」
──昨年末の「日本レコード大賞」新人賞、そして今年6月の「MUSIC AWARDS JAPAN」最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞の受賞と、まさに快進撃が続いています。改めて今のグループの手応えや心境を教えてください。
渡辺真(以下、渡辺):本当にありがたいことに様々な賞をいただきましたが、僕たち自身に「手応え」みたいな慢心は全くないんです。決して自分たちだけの力ではなく、ファンのみなさんや支えてくださるスタッフのおかげで獲れた賞。だからこそ、この賞をいただいた後、自分たちがどう活動を広げていけるかが大事だと思っています。今回の3rdシングル『恋の中央線』はものすごくキャッチーで耳に残る曲なので、ここで一気に「MATSURI」という名前と楽曲を広げていきたいですね。
──賞を獲ったことで、グループ内の意識や雰囲気に変化はありましたか?
渡辺:選んでいただいた以上、そこには必ず「責任」が伴うと思っています。賞の名に恥じないパフォーマンスを届けていかなければいけませんし、注目していただく機会が増えたからこそ、初めて観に来てくださった方に「MATSURIってすごく良いじゃん!」と思ってもらえるステージを常に心掛けています。

――小野寺さんはいかがですか?
小野寺翼(以下、小野寺):渡辺も言った通り、周囲の環境に恵まれて獲らせていただいた賞なので、満足感は特にないです。それどころか、レコード大賞でもMUSIC AWARDS JAPANでも、共演させていただいた受賞者の皆様の背中や圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにして、「自分たちはまだまだここに並べる存在じゃない」と痛感させられました。喜びや感謝と同じくらい、「グループとしてもっと売れなきゃ何も始まらないんだ」という現実を突きつけられたというか。
――喜びと同時に、身の引き締まる想いがあったと。
小野寺:そうですね。でも、それは自分たちが一歩ずつ進んでいるからこそ抱く感情なのかなとも思っていて。もし結成直後の右も左もわからない時期だったら、「うわあ、すごい人たちと共演してる!」で終わっていたかもしれない。酸いも甘いも経験してきたこの数年間があるからこそ、あの場所に立った時に「これじゃまだまだ甘い、もっと成長しなきゃいけない」と全員が本気で感じられたんだと思います。

実在の駅名が連なるキラーチューン!『恋の中央線』の衝撃
――そんな強い覚悟の中で届いた3rdシングル『恋の中央線』ですが、デモや歌詞を最初に受け取ったときはどんな印象でしたか?橋爪健二(以下、橋爪):第一印象は、とにかく「キャッチーすぎるくらいキャッチー!」でした(笑)。だって、歌のサビやAメロ・Bメロで、ここまで実在する駅名をひたすら連呼する曲ってなかなかないじゃないですか! これまでのMATSURIは『アヴァンチュール中目黒』や『アガベの花』のように、大人の色気や哀愁を魅せる楽曲が多かったので、一気にガラッと雰囲気が変わって「これを僕らが歌ったらどうなるんだろう!」とワクワクしました。
──レコーディングで実際に歌ってみていかがでしたか?

橋爪:めちゃくちゃ面白かったです! 僕は1番の「国分寺」というパートをいただいたんですけど、ディレクションで「国分寺に感情を込めて歌ってください」って言われて(笑)。
「国分寺に感情……!?」ってスタジオで頭を抱えました。
渡辺:僕もディレクションに入っていたんですけど、ブースからずっと「国分寺、国分寺……」と声だけが流れてきて、正直ちょっと面白かったよね(笑)。
橋爪:国分寺で何があったのかを必死に妄想した結果、「国分寺駅でめちゃくちゃ激しくフラれた男」になりきって歌いました。人生で国分寺に降り立った経験があって本当によかったです。あれがなかったら、もっと迷子になっていましたね(笑)。
渡辺:でも、すごく切ない“泣き”の入ったいいテイクが録れたよね!

松岡卓弥(以下、松岡):歌詞の面白さでいうと、2番でまさかの「埼京線」が登場するんですよ! しかも歌詞に〈浮間舟渡(うきまふなど)〉が入っていて。昔、レコーディングなどで浮間舟渡によく行っていて、今回そのパートを僕が歌わせていただいているんですけど、まさか歌の歌詞になる日が来るとは思わなくてすごく面白かったです。
──中央線から埼京線へ移り変わるストーリー展開も秀逸ですよね。
松岡:秋元(康)先生が「2番は埼京線にしてくれ」と仰ってこの構成になったそうなんですが、新宿での乗り換えも含めて情景がリアルに浮かびますよね。歌っていて本当に楽しいです。
柳田優樹(以下、柳田):僕は中央線の〈武蔵境〉を担当したんですけど昔友達が飲食店をやっていて行ったことがあったので、街の景色を思い浮かべながらすっと感情を乗せることができましたね。

――皆さん、担当の駅があるということですもんね。
松岡:そうなんですよ! ちゃんと6等分されているんですよね。
小野寺:我々も歌っているうちに自分たちの担当駅にどんどん愛着が湧いてきて。ファンの方も「推しの担当駅に行って看板の前で写真を撮りました!」ってSNSに載せてくれたりしていて、そういう広がりもすごく嬉しいです。ゆくゆくは担当駅に降り立ってロケしたり、YouTubeを撮ったりしてみたいですね。
――(笑)。鈴木さんはいかがですか?
鈴木渉(以下、鈴木):駅名が並ぶポップさがありつつも、『恋の中央線』というタイトル通り、この曲を通して新しく出会う方とも、ずっと応援してくださっている方とも、心の“中心”で固い絆(線)を結んでいきたいなと思いながら向き合いました。……あ、真面目な話の後にあれなんですけど、僕が担当した1番の〈三鷹〉という3文字には、文字通り命を懸けています!「僕はもう三鷹しか知りません!」くらいの熱量を込めて叫びました(笑)。

松岡:でも、本当に〈三鷹〉は印象に残るよ!
小野寺:情報解禁されて数日しか経っていないのに、ファンの方から「渉くんの三鷹が早く聴きたい!」って声が上がっているくらいで。たった3文字でしっかり爪痕を残しているのは素晴らしいなと思います。
鈴木:ありがとうございます! 僕、ジブリが大好きなので、三鷹の森ジブリ美術館がある三鷹を担当できて本当に光栄でした(笑)
アドリブが生んだボーカルの厚みと、大人ならではの妄想劇
──レコーディングの中で、アレンジや歌い方でこだわったポイントはありますか?
渡辺:僕はラストのフェイクを担当しているんですが、全体の音を聴いた時にもう少しガツンとくるフックが欲しくて。アドリブで「中央線、中央線〜!」というフェイクを付け足させてもらいました。
松岡:え、あれアドリブだったの!? 知らなかった!
渡辺:そう、現場でみんなの歌声を聴きながら「ここにもう一声足したいな」と思って入れたんです。メンバーの声が重なっていくにつれて楽曲がどんどん立体的になって、その場で新しいアイデアが生まれていく作業は本当に楽しかったですね。

松岡:アイデアを出せば、パートが増えるんだ(笑)。というのは冗談で、レコーディングは本当に楽しかったですよ!
柳田:歌詞を追っていくと、聴いている人も一緒に電車に乗って移動しているような感覚になれるんですよね。〈新宿で絡めた指 池袋でそっと離す〉とか、情景描写の美しさはまさに歌謡曲の真骨頂だなと。この短い移動時間の間に、二人の間に一体何があったんだろう……って。
鈴木:新宿から池袋なんて、埼京線ならたった5分ちょっとですからね! そのわずかな時間にどんなドラマがあったのか。

橋爪:あと、〈きらり光る指輪 ねえあなたは川越の女(ひと)なの?〉というフレーズも意味深ですよね。「川越の女ってどういうこと!?」って、みんなで色々と妄想しちゃいました(笑)。
柳田:「実は今日が初デートなのかな?」とか、「もしかして訳ありの恋……?」とか(笑)。聴く人のシチュエーションによって物語が何通りにも広がるのが、秋元先生の詞の本当に素晴らしいところだと思います。
──さらに、今回はダンスパフォーマンスも見どころだそうですね。
渡辺:今回の振り付けは、DA PUMPのTOMOさんが手掛けてくださったんです! キャッチーな「中央線ポーズ」を取り入れてくださったり、サビもライブでお客さんと一緒に踊れるような楽しい振り付けにしていただいて。耳で聴いても楽しくて、目で観ても一緒に踊れて楽しい、MATSURIらしいエンターテインメントが詰まった一曲になりました。
メンバー作曲の哀愁歌謡から、熱狂のラテン&名曲カバーまで
──そしてカップリング曲も非常に豪華な仕上がりです。まずは、「ライライライ」。
小野寺:デモを聴いた瞬間から「新しいMATSURIの大人の色気や情熱を表現できる」と確信していました。振り付けに関しても、僕と松岡でコレオグラファーの方と「もっとお客さんにわかりやすく届けるにはどうしたらいいか」をディスカッションしながら作り上げました。情熱的なラテンのノリは『恋の中央線』とはまた違ったアプローチなので、大切に届けていきたいですね。
柳田:後半のアウトロなんて完全にサンバカーニバルですからね! 「サンバといえば、お祭り(MATSURI)だろう!」と。ライブでファンのみなさんと一緒に熱狂できるような、キラーチューンに育てていきたいですね。

――さらに『天秤座の男』は、なんと渡辺さんが作曲を担当されたとか!
渡辺:はい! 念願が叶いました。去年の年末にメンバーそれぞれが「2026年の目標」を掲げた際、僕は「MATSURIのために絶対に1曲書き下ろす」と宣言していたんです。グループのことを想って一番最初に書き上げたのがこの『天秤座の男』だったので、秋元先生に選んでいただけた時は本当に光栄でしたし、大きな自信になりました。昭和歌謡の哀愁をギュッと詰め込んだメロディになっています。
鈴木:真さんがこうして夢を形にする姿を間近で見ていて、すごく勇気をもらいました。40歳を迎えてもなお、夢を諦めずに挑戦して叶えていく背中は本当にかっこいいですし、若い世代の方や同世代の方にも「何歳からでも夢は追えるんだ」というメッセージとして受け取ってもらえたら嬉しいです。

――そして、通常盤には郷ひろみさんの名曲『お嫁サンバ』のカバーも収録されます。
柳田:誰もが知る大レジェンドの代表曲ですから、歌わせていただく責任とプレッシャーは凄まじかったです。でも、僕たちの武器は「お祭り騒ぎの一体感」。原曲への最大限のリスペクトを込めつつ、MATSURIらしいエネルギッシュなリバイバルに仕上がったと思います。ライブで盛り上がること間違いなしの仕上がりです!
松岡:『お嫁サンバ』はずっとカバーしたかった憧れの楽曲だったので、収録が決まった時は本当に嬉しかったです!
わずか数文字に宿る男の情熱。3rdシングルに刻まれた、それぞれの“推しフレーズ”
――歌詞メディア「UtaTen」恒例の質問です。今回のシングル収録曲(『恋の中央線』『ライライライ』『天秤座の男』『お嫁サンバ』)の中から、皆さんの「推しフレーズ」を教えてください!
小野寺:早い者勝ちですよね! 僕は絶対に『恋の中央線』の〈うれしはずかしサンライズ〉です。
松岡:あー! 先に言われた! 俺もそこ好きだったのに!
小野寺:最高ですよね!〈うれしはずかしサンライズ〉って、一度耳にしたら絶対に忘れられないじゃないですか。令和のSNSでミーム化してバズってほしいくらいキャッチーで大好きなフレーズです。
柳田:僕は『ライライライ』から、〈一度抱かれてみないかい?〉を選びたいと思います。現代の日常会話ではまず使わない言葉ですよね(笑)。でも、だからこそ歌謡曲の歌詞としてものすごく際立つ。「これぞ昭和の男の情熱!」という色気とストレートさが炸裂していて、歌っていてグッときます。

橋爪:じゃあ、僕は、その優樹くんのフレーズに続く『ライライライ』の〈いつものヒールは脱ぎ捨てればいい〉を推したいです! 〈バイバイバイ 過去は過去/ライ ライ ライ 俺が未来〉からの、このフレーズなんですよ。
柳田:いいね! 前段の〈俺が未来〉っていうのもいいんだよな。
橋爪:そうなんですよ! ヒールを脱ぎ捨てて男の胸に飛び込んでいくような、大人のドラマチックなやり取りが目に浮かびますよね。この男らしい熱い包容力を推したいです。
渡辺:僕は自分が作曲した『天秤座の男』の落ちサビ、〈天秤座の男なんか 本気じゃなかった/気づいたら知らぬ間に一途の愛〉ですね。今回、作曲だけでなく歌割りも担当させてもらったんですが、この落ちサビは何度もシミュレーションして「絶対に卓弥と優樹くんだ」と決めていたんです。二人の歌声が合わさることで、切なさと大人の色気が最大限に引き出せたんじゃないかなと思っています。

松岡:結果的にはどうでしたか……?
渡辺:いやあ、感動しましたよ! だってレコーディングを終えてハイタッチしたもんね! 素晴らしい表現で応えてくれて嬉しかったです。
松岡:嬉しい!! そして僕の推しフレーズは、『恋の中央線』のサビの〈だって中央線 中央線/Choo-Oh Train〉ですね! 文字面を見ただけでも「ん!?」って二度見してしまうインパクトがありますし、メロディもダンスも本当にキャッチー。子どもからお年寄りまで、誰もが口ずさめて自然と笑顔になれる、まさにMATSURIの真骨頂と言えるキラーフレーズです。

――では、ラスト鈴木さんはいかがですか?
鈴木:僕は……やっぱり命を懸けているので「三鷹」一択です!
一同:(爆笑)。
渡辺:「三鷹一択」ってなんだよ!(笑)
柳田:駅名のフレーズって意外と歌うと難しいんですよね。なので、ぜひみなさんにもカラオケで挑戦してみてほしいですね。特に〈三鷹〉は難しいもんね!

鈴木:あっ、ごめんなさい……というのは半分冗談として(笑)、真面目な推しフレーズを挙げるなら『天秤座の男』の〈二人の世界 鍵を掛けてしまいたくなる〉です。大人になると、誰かに夢中になって周りが見えなくなるようなシチュエーションってなかなか経験できないじゃないですか。胸の奥底に眠っている情熱や、若かりし頃の狂おしい感情を呼び起こしてくれるような感覚があって、すごくロマンチックで好きですね。……でもやっぱり、一番は〈三鷹〉です!
渡辺:あはは(笑)。結局、〈三鷹〉!
日本中に福を届ける。全国ツアー、そしてその先の景色へ
――現在開催中の2ndコンサートツアー『歌門福来 〜歌う門には福来る〜』は、全国10ヶ所・全20公演というMATSURI史上最大規模の動員数となります。どんなステージを届けていきたいですか?柳田:ツアータイトルにある通り、僕たちのライブを観てくださる全ての方に「元気」と「福(幸せ)」を届けるツアーにしたいですね。1stツアーからさらにパワーアップした歌声とパフォーマンスはもちろん、昭和歌謡の名曲カバーも盛りだくさんなので、初めて来てくださる方でも絶対に楽しんでいただけます。会場を出る頃には全員を幸せにして帰す約束をしますので、ぜひ遊びに来てほしいですね。

――最後に、グループの今後の夢や読者へのメッセージをお願いします。
渡辺:僕たちが結成当初から掲げている「紅白歌合戦出場」や「日本武道館単独公演」という大きな夢は、今もずっと変わらず胸にあります。でも、まずは目の前にあるこの2ndツアーを全力で成功させて、応援してくださるみなさんと一緒に次のステップへ進むことが今の最大の目標です。MATSURIという名前の通り、音楽を軸にしながら、どんなジャンルにも挑戦して日本中を明るく照らしていきたいと思っています!

TEXT 笹谷淳介
PHOTO 鈴木健太(モブ)
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【インタビュー】
— 歌詞・音楽情報メディアUtaTen(うたてん) (@utaten) November 3, 2026
MATSURIが放つ大人の遊び心と覚悟。
3rdシングル『恋の中央線』で駆け抜ける、
歌謡ポップスの新境地
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#MATSURI #恋の中央線
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