「プラネタリウム」は怖い曲って本当?
2005年にリリースされ、大塚愛の代表曲の一つに挙げられる17thシングル『プラネタリウム』。同年放送のドラマ『花より男子』第1期のイメージソングとして使用され、作品の切ない世界観との調和により多くの視聴者の心に残る一曲となりました。
2024年7月12日には、THE FIRST TAKEにてグランドピアノの弾き語りで披露され、幅広い世代のリスナーから大きな反響を呼びました。
また2015年7月1日から配信がスタートし、2025年5月には累積再生数が1億回を突破。
リリースから20年が経ってもなお色褪せず、世代を超えて愛されていることが窺えます。
『プラネタリウム』といえば亡くなった恋人のことを歌っているという解釈をはじめ、様々な都市伝説が噂され、“怖い”と感じているリスナーも少なくないようです。
しかし、大塚愛本人が噂を全て否定しており、実体験をもとにした曲ではないことを明かしています。
そのため怖いという先入観を持たずに、切ない恋の歌として歌詞の意味を考察していきたいと思います。
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夕月夜 顔だす 消えてく 子供の声
遠く遠く この空のどこかに 君はいるんだろう
夏の終わりに2人で抜け出した この公園で見つけた
あの星座 何だか 覚えてる?
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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「夕月夜」は秋の季語で、夕暮れの空に出ている月やその様子を表す言葉です。
主人公は秋の夕暮れ空に顔を出した月を見ながら、帰路に着く子供たちの遠ざかっていく声を聴いています。
その情景から感じられるのは、寂しさや恋しさといった感情ではないでしょうか。
「遠く遠く この空のどこかに 君はいるんだろう」というフレーズからも、大切な人が触れられないほど遠くにいるものの、目に見えないだけできっとこの景色の中にいるはずだ、という切ない願望が伝わってきます。
その公園は2人の思い出の場所で、いつかの夏の終わりに一緒に見つけた星座を思い出しています。
答えのない呼びかけが一層切なさを引き立てますね。
大切な記憶があるから怖くても大丈夫

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会えなくても 記憶をたどって 同じ幸せを見たいんだ
あの香りとともに 花火がぱっと開く
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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「君」はもう会えない人ですが、記憶をたどれば一緒に味わった幸せを思い出せます。
そうして喪失感を埋めようとしているのでしょう。
ここでは「あの香り」の正体は明かされていません。
しかし何の香りかわからないことで、2人にだけ通じる香りの記憶があることが感じられます。
そして、リスナーそれぞれが自分の思い出と重ねられて共感しやすいでしょう。
思い出の香りに「花火がぱっと開く」音と光が加わり、意識を一気に過去へと連れて行きます。
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行きたいよ 君のところへ 今すぐ かけだして 行きたいよ
まっ暗で何も 見えない 怖くても大丈夫
数えきれない星空が 今もずっと ここにあるんだよ
泣かないよ 昔 君と見た きれいな空だったから
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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湧き出てくる「君のところへ」行きたいという真っ直ぐな想い。
そうはできないとわかっている主人公を支えているのは、一緒に見た空の景色です。
曇り空で星が見えない真っ暗な夜は不安を掻き立てるもので、主人公の心の中もそうした真っ暗な状況なのでしょう。
しかし、主人公の目には「数えきれない星空」が見えているので、「怖くても大丈夫」と言えます。
「昔 君と見た きれいな空」をいつまでも覚えているから、独りで怖く感じることがあっても泣かずに耐えられている、と伝える言葉が心に響きます。
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あの道まで 響く 靴の音が耳に残る
大きな 自分の影を 見つめて 想うのでしょう
ちっとも 変わらないはずなのに せつない気持ちふくらんでく
どんなに 想ったって 君は もういない
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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2番でシーンは変わり、かつて一緒に通っていた「あの道」へと向かっているようです。
おそらく周囲が静かな分、自分の靴音が大きく響いて聞こえるのでしょう。
「大きな 自分の影」には、まだ小さかった頃の2人の影を重ねて、時間の経過を感じているのかもしれません。
年月が過ぎたとはいえ、あの頃とは「ちっとも 変わらないはずなのに」、そばにいない寂しさがそうさせるのか、「せつない気持ち」が大きくなっていきます。
それでも「どんなに 想ったって 君は もういない」という事実が胸を締めつけます。
泣かないけど本当は泣きたい

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行きたいよ 君のそばに 小さくても小さくても
1番に 君が好きだよ 強くいられる
願いを 流れ星に そっと 唱えてみたけれど
泣かないよ 届くだろう きれいな空に
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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「小さくても」という言葉は、1番で「君」が空のどこかにいると表現していたことから、空に手が届かないちっぽけな自分だけどそばに行きたいんだ、という切実な想いを表していると解釈できるでしょう。
そして、好きという気持ちがあるから「強くいられる」とも歌われています。
その人がそばにいなくても、生まれた愛そのものが自分を強くしてくれるからです。
とはいえ、いつも強く前を向いていられる日ばかりではありません。
だから再び会いたいという「願いを 流れ星に そっと 唱えて」みます。
きっと涙はこみ上げますが、その美しい星空に願いはきっと届くと信じているので、また「泣かないよ」と約束します。
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行きたいよ 君のところへ 小さな手をにぎりしめて
泣きたいよ それはそれは きれいな空だった
願いを 流れ星に そっと 唱えてみたけれど
泣きたいよ 届かない想いを この空に...。
≪プラネタリウム 歌詞より抜粋≫
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ラスサビの「小さな手をにぎりしめて」のフレーズは、あの頃一緒に手を繋いだ「君」の手か、その頃の幼かった自分自身の手を指していると考えられるでしょう。
過去の記憶を抱き締めながら、“君のところへ行きたい”と切に願っているのです。
そして、ここで初めて「泣きたいよ」という言葉が出てきます。
これまで泣かないと決めていた主人公でしたが、恋しさが募れば募るほど熱い想いがこみ上げてきます。
2人で見た星空は「それはそれは きれいな空」で、1人で見る空には到底適いません。
「届かない想い」と知りながら、心の片隅では届いてほしいと流れ星に願う健気さが涙を誘いますね。
歌詞に一度も出てこない「プラネタリウム」がタイトルになっているのも印象的です。
大塚愛は昔からプラネタリウムが好きで、早送りで回っていく星の映像を見ながら地球の丸さを感じていたそう。
月日が流れ周囲がどんどん変わっても、まるでプラネタリウムにいるかのように、主人公がそこに立ち止まったまま「君」と会えることを願い続けている様子をイメージすると、より切なさが深まります。
「プラネタリウム」は心に沁みる夏のラブソング
大塚愛の『プラネタリウム』は、今はもうそばにいない愛する人を想い続ける気持ちが美しく描かれた楽曲です。様々な解釈はありますが、怖がらず素直な気持ちで歌詞を読み解くと、深い愛を感じられるでしょう。
夏の終わりに大切な人を想いながら聴きたい名曲です。
