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『ワンピース』映画主題歌でなぜ怒りを欲するのか?GLIM SPANKYの『怒りをくれよ』

『ワンピース』原作者の尾田栄一郎が、ラジオで聴いてこのユニットを気に入り大抜擢。尾田栄一郎が選ぶのも納得なほど、松尾レミの独特なハスキーボイスが特徴的。亀本のギターが、この声を活かします。


GLIM SPANKYは、ボーカルの松尾レミとギターの亀本寛貴の2人組ユニット。まだ一般的にほとんど知られていない存在ですが、2016年の夏公開の『ワンピース』の映画主題歌に抜擢されました。『ワンピース』原作者の尾田栄一郎が、ラジオで聴いてこのユニットを気に入り大抜擢。尾田栄一郎が選ぶのも納得なほど、松尾レミの独特なハスキーボイスが特徴的。亀本のギターが、この声を活かします。

映画『ワンピース』の主題歌タイトルは『怒りをくれよ』。『ワンピース』の主人公、ルフィの生き様を歌っているかのような曲です。



“限界のピンチを本気で感じて初めて
本能が震えて新しい自分が目覚めるんだ”


「限界のピンチ」「新しい自分が目覚める」という歌詞が序盤で出てきます。強敵という戦い、ピンチになるたびに新しい自分の力を覚醒させてきたルフィの姿を、見事に歌詞にしています。

“怒りをもっとくれ 本気になりたいんだ
まだ全然足んねえな 怒らせてくれよ”


「怒りをもっとくれ」と歌うサビです。インパクトのあるフレーズ。人は、基本的には怒りをおさえて生活しています。『ワンピース』世界の住人ですらそう。強大な支配者に逆らわず、怒りをおさえた生き方を選びます。

しかし、「本気になりたい」ルフィは、違います。敵とも仲間とも全力でぶつかりながら成長していくのです。このルフィの本気の生き方を「怒りをもっとくれ」というフレーズで表現しているんですね。

“馬鹿は馬鹿げた夢 追うしか出来ねえんだ
試練何度越えようが満足を蹴り飛ばし行こうぜ”


「馬鹿は馬鹿げた夢 追うしか出来ねえんだ」このフレーズも良いですね。「海賊王になる」というルフィの壮大な馬鹿げた夢を歌っています。「試練何度越えようが」ここも、いかにも少年漫画らしいフレーズ。試練を乗り越えていくルフィの生き様。さらに「満足を蹴り飛ばし行こうぜ」と続きます。現状に満足せずに進めという歌。

松尾レミの歌唱力が、歌詞に説得力を持たせています。なぜ若くして、こんな歌が歌えるのか。


GLIM SPANKYは、もともと2007年に生まれています。文化祭のコピーバンドから始まり、2009年には閃光ライオットのファイナリストにも選ばれました。2010年にベースとドラムメンバーが脱退。2014年にメジャーデビューを果たし、今に至ります。ここまで来るのに意外と時間がかかっているんですね。決して平坦ではなかった道のりが、歌に奥行きを持たせているのです。

これまで、このユニットは『焦燥』や『大人になったら』など、大人になることへの焦燥感を歌った曲を発表してきました。そして、この『怒りをくれよ』も、そんな焦燥感の延長にある曲。

大人しくなるくらいなら、怒りをぶつけて全身全霊でぶつかろう。そういう曲です。「本気になりたいんだ」とは、自分達が音楽に対して本気になりたいという気持ちの表れでもあります。

この曲は『ワンピース』のルフィの生き様を描いているのと同時に、自らのユニットを鼓舞している曲でもあるんですね。

TEXT:改定木魚(じゃぶけん東京本部)

●GLIM SPANKY(グリム・スパンキー) 新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)からなる男女ニ人組ロックユニット。 アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。 2014年に1stミニアルバム『焦燥』でメジャーデビュ···

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