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Plastic Treeが「ネオ・ヴィジュアルの先駆け」と言われる理由とは?

皆さんは、Plastic Treeと言うロックバンドをご存知だろうか? 1997年のメジャーデビュー以来、その幻想的な雰囲気とキャッチーなギターロックのメロディ、そしてボーカル・有村竜太朗の中性的でやわらかい独特な歌声によって独自の存在感を放ち続けている、正に「知る人ぞ知る」実力派ヴィジュアル系ロックバンドだ。


皆さんは、Plastic Treeと言うロックバンドをご存知だろうか?

1997年のメジャーデビュー以来、その幻想的な雰囲気とキャッチーなギターロックのメロディ、そしてボーカル・有村竜太朗の中性的でやわらかい独特な歌声によって独自の存在感を放ち続けている、正に「知る人ぞ知る」実力派ヴィジュアル系ロックバンドだ。
海外の音楽イベントやアニメイベントなどにも招かれ、日本国内に留まらない人気でヴィジュアル系ファンの間ではよく知られている彼らは、「ネオ・ヴィジュアル系の先駆け」と言われている。

「ネオ・ヴィジュアル系バンド」とは、90年代後半から2000年代にデビューしたヴィジュアル系バンドを指す言葉で、X JAPANやLUNA SEAなどヴィジュアル系初期のバンドを見て育った若者達が「今度は俺達がヴィジュアルロックの世界に新しい風を吹き込むぞ!」と言う気持ちを持って結成したバンドの事だ。

では、そんな「今までのヴィジュアルロックバンドとはー線を画す」事を特徴とするネオ・ヴィジュアル系バンドの中でもPlastic Treeが“先駆け”と呼ばれる理由とは何なのだろうか?

Plastic Treeの楽曲の中に、『真っ赤な糸』と言う曲がある。2007年にリリースされた『ネガとポジ』と言うアルバムに収録されているこの曲は、ファンの間では名曲と名高い「別れ」のバラードだ。
エフェクトのきつくかかった浮遊感のあるギターの旋律が印象的なイントロを越えると、有村の儚げな歌声が静かに言葉を紡ぐ。


"硝子の空に 台風が来てるってさ すごい風だろ
それだけで ほら 笑う理由になる ふたりだよ"


彼の優しく甘い声がなぞるのは、ひと聴きではロックバンドの楽曲だとは気付きにくいほどに美しいメロディラインだ。さながら90年代の女性ミュージシャンの楽曲を彷彿とさせる旋律が、強めのディストーションがかかったギターサウンドで朗々と奏でられる様は、パンクや歌謡曲の雰囲気が強いそれまでのヴィジュアル系のイメージからは大きく異なっている。

彼らの楽曲の大きな特徴のひとつに、「シューゲイザー」と言うジャンルを取り入れた点がある。ディストーションの強いギターや浮遊感のある優しいボーカルが特徴的なこのジャンルは、彼ら以外にはdipやTHE NOVEMBERSなどが代表的な、ヴィジュアルロックに限らず日本のロックシーンではとても珍しいタイプの音楽だ。

そして彼らの楽曲の最大の魅力と言えるのは、その特徴的な詞の世界。

"話したい事が たくさんあった
生まれ変わるなら 君になりたいな"

"さよなら ああ 会えなくなるね 結んだ想い 真っ赤な糸
ゆびきり ああ やさしい嘘に 騙されながら いれたらいい"


このようにワンフレーズ抜き出しただけでもわかるほど、文学的で美しい歌詞。しかし、難しい表現は決して多くはない。ファンタジックで耽美的な世界を楽しむジャンルとして定着していたヴィジュアルロックとしては珍しく「現実的で生々しい感情」をやさしい言葉で描き出している。

そんな数々のPlastic Tree「らしさ」が楽曲の中で歯車のように噛み合ったその瞬間、彼らがヴィジュアルロックの世界に「新しい風」を吹き込んだ“先駆け”であることがわかるのだ。

「聴く」と言うよりは「包み込まれる」と表現すべき感覚を呼び起こすシューゲイザーサウンドの優しい轟音。そして胸を締め付けられる程に切なく、日々の中で感じる「別れ」や「挫折」などの哀しみを温かな言葉で表すやわらかな歌詞の世界。

そんな、優しい独特の世界観をもつPlastic Treeは、ヴィジュアル系ファン以外にも広く愛されている

8月に新曲をリリースする彼ら。今度はどんなPlastic Tree「らしい」世界を見せてくれるのか、今からとても楽しみだ。

TEXT:五十嵐文章

1993年12月、有村 竜太朗と長谷川 正がPlastic Treeを結成。精力的なLIVE活動で着実にファンを獲得し、1997年6月『割れた窓』でメジャーデビュー。 作品は攻撃的なギターロックからポップなものまで多岐にわたり、ボーカル有村の特徴的な歌声とバンドの持つ独特な世界観で、唯一無二の存在とし···

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