今までになかった、ポルノグラフティの新しい音
梅雨も終わりを迎えそうな6月の曇りがちな日々。それにジメジメした空気が加わって、そろそろ嫌気がさし始めている人もいるのではないだろうか。
そんな時、音楽で気分を洗い流してみたらどうだろう?
ポルノグラフィティの21作目となるシングル『Winding Road』は、そんな梅雨の日に聴いてもらいたい楽曲の一つ。
この楽曲はライブで「未発表曲」として披露された時から、「今までのポルノグラフィティの中でありそうでなかった楽曲」とも称されていた異色のナンバーである。
それは、イントロとアウトロでクロマチックハーモニカを演奏するという、他の楽曲にはない試みを盛り込んでいることが1つに挙げられる。ハーモニカが奏でる音は数か月に及ぶ猛特訓をした甲斐あって、バラード調のこの楽曲に余韻を残す良い演出をしている。
その後から続けて始まる『Winding Road』の世界を濃厚にしていると言えるのだ。
雨を優しい存在へと変えてくれる、『Winding Road』
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長く永い旅路に僕は君に恋した
季節めぐり時雨月 心をそっと濡らす
時が何か変えるならどうかどうかそっとして
君と歩く今だけ 静かに止まっていて
水辺のほとりに続いたWinding Road
こんな二人にはお似合いなんだろう
一つの傘が悲しい
≪Winding Road 歌詞より抜粋≫
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この楽曲、実際には秋から冬にかけての季節を歌った内容である。
しかし、時期はずれているものの季節を限定して聴くには勿体ないナンバーだと思うのは、この楽曲が、雨を優しい存在へと変えてくれるからだ。
切ない内容の歌詞であるし、2人の通る道はタイトルの意味でもある「曲がりくねった道」。決して平坦な道ではないだろう。そして最後には、罵るでもなく激しくぶつかるでもなく終わりを迎えてしまう。
聴いているだけで胸が締め付けられる内容だが、ハーモニカと共に生み出されるメロディが加わると、そんな彼らの上に雨が降ってくる。優しい雨が、しとしとと。
それだけの事なのに、内容は一変する。泣きもせず、静かに終わった彼らの代わりに雨が泣いているかのように。そう考えると一年の真ん中にやって来る梅雨というのは、半年分の涙の代わりに降っているのかもしれない。涙は、心の浄化作用だ。
あなたの心を照らす一曲
心と共にすっきりしない雨の日。そんな日は『Winding Road』を聴いてみてはどうだろう?
そっと心を濡らす世界に、気分はきっと晴れやかになるはずだ。梅雨の後に、真夏の太陽が待っているように。
TEXT:空屋まひろ