爆発的ヒットととなった『千本桜』
今やニコニコ動画ユーザーだけでなく、幅広い層の間で知られ愛されるボーカロイド曲。その中でも人気曲は数々ありますが、特に爆発的なヒットを起こした曲として必ず挙げられるのが、黒うさP『千本桜』。一時期は社会現象レベルにまで盛り上がり、現在でも愛され続ける理由は何なのでしょうか? ここではまず、いかほど愛されているのか、そしてなぜ愛され続けるのかを見ていきましょう。
無数のカバーで愛される!しかも音楽だけじゃなく…?
原曲、そして歌詞はこちら。
いま改めて聴いても、サウンド・歌詞いずれからも独特な世界観が感じられる楽曲ですね。和、古き日本、何かを揶揄するかのような…?
千本桜は、原曲のその爆発的人気から、カバーも多数生まれています。その人気っぷりを感じるために、いくつかカバーをご紹介しましょう。
これぞネ申!まらしぃ氏によるピアノカバー
ニコニコ動画などで大人気のピアニスト・まらしぃ氏によるピアノカバー!
「1人オーケストラ」と喩えられることもあるピアノという楽器ですが、それに思わず納得せざるを得ないような内容ですね。ベース・伴奏・メロディ、全てが2本の手だけで作り出されているとは信じがたいくらいの迫力の仕上がりです…。
世界へ躍進続ける和楽器バンドのカバー!
世界でも人気を集めつつある和楽器バンドによるカバー!
原曲のロックサウンドを踏襲した上で、尺八や琴の踊るような音色、ボーカル・鈴華ゆう子さんの渋くも若く美しい歌声が見事に合わさったアレンジ。YouTubeのコメント欄を見ても、世界中から絶賛の声が寄せられていることが分かります。
あのラスボス・小林幸子も紅白歌合戦でカバー
千本桜カバーを語る上で欠かせないのが、”ラスボス”小林幸子によるメガ幸子カバー。単なる演歌歌手に留まらぬ小林幸子を象徴づけた超大規模演出で話題になりましたね。
ボーカロイド・初音ミクの「千本桜」を熱唱し、背景などにコメントが流れる弾幕演出では「鳥肌やべ」「泣けた」「幸子スゲーーーーーー」「やっぱり幸子ーーーーー」といった声で大盛り上がりだった。
【紅白】“メガ幸子”本番は見事成功 弾幕演出も盛り上がる | ORICON STYLE
上手すぎ!バイオリン&ドラムの超絶ストリートライブ
こんな演奏が路上で繰り広げられたら、さすがに足を止めずにはいられないですよね…。今まで見た路上ライブの中で一番良かったなぁ pic.twitter.com/2E01RgeT8g
— 松井城治 (@jorijeri) 2016年8月4日
バイオリンとドラム(+オケ)でのカバー。とにかく両者の手数が半端じゃない。
驚きの「小説 千本桜」
そして千本桜のカバーはなんと音楽に限りません。小説すら生まれています。何故ここまで愛され続けるのか?
初めは単なるボーカロイド曲として公開された『千本桜』。一体どうしてこれほどまでに人気を集め、そして愛され続けているのでしょうか。その議論は多く行われていますが、よく言われているのは「日本的」であったから、というもの。
まず大きなポイントは、この曲が「ヨナ抜き音階」を駆使したメロディを持っていること。(中略)5音階からなる「ヨナ抜き音階」は明治時代に「唱歌」のメロディとして普及し、日本人にとって最も親しみやすいものだ。
『千本桜』はなぜ国境を越えて愛されるのか?CTS feat.初音ミクの動画が英語圏で話題を集める背景|Real Sound|リアルサウンド
(発表したのが)ちょうど震災の年だったんですよね。それで日本を応援するみたいなイメージで捉えられたのかなと。曲にもジャパンっていうイメージがあって、それは大正ロマン的なものだったりもするんですけど。僕自身も当初から応援歌みたいなものとして、作っていたので。
黒うさP 「CHART insight」インタビュー ~『千本桜』の作曲者に聞くヒットの理由とボカロ文化のゆくえ | Special | Billboard JAPAN
メロディという意味でも、歌詞・楽曲全体で描きたかった世界観という意味でも、日本的なものになっている。それが見事に実を結び、われわれ日本人の多くの心に響くこととなった、と考えると納得できそうですね。