学園生活部の4人が歌う『ふ・れ・ん・ど・し・た・い』
2015年に放送されたアニメ『がっこうぐらし!』そのオープニングテーマとなったのが学園生活部の4人が歌う『ふ・れ・ん・ど・し・た・い』だ。明るくポップな曲調に、自分たちの仲の良さや夢についてが可愛らしく表現されている。4人とも人気な女性声優で、曲には振り付けもあるので聴くだけはもちろん、踊っても楽しめる曲になっている。
このアニメは作中に登場する学園生活部の4人を中心に描いた、可愛いほのぼの系アニメだ・・・最初だけは。衝撃的な第1話の後半を見るまでは誰もがそう思う内容だった。
主人公の幻覚で楽しく描かれていた空間が一変、現実は感染したゾンビ達が学校中を動き回る!絶望的地獄絵図な光景が、彼女達が暮らしている本当の世界だった。
なぜカタカナ??
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シタイから!
シタイなら!
シタイとき!
シタイでしょ!?
いっしょに!
(はい!)
≪ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌詞より抜粋≫
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この歌詞には触れていいものだろうか・・・皆はなぜカタカナで書かれていると思う?確かに1話以降もほのぼのしている回はたくさんあるが、曲調や歌詞が明るいのも1話のインパクトを最大限強めるためのものだ。
アニソン歌詞の中にはアニメの内容を思わせる表現が入っていても不思議ではない。当然、これだけ「シタイ」という文字がカタカナで入っているということは、やりたい事という意味には思えない。これは感染によって人間からゾンビに変えられてしまった街中の人々のことを表しているのだ。
まっすなSOS!!
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わたしたちはここにいます!
フレンドなら ともだちでしょ
(そうだ!)
「すき」って言ってみた
(だいすきっ)
≪ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌詞より抜粋≫
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ストレートにSOSが伝わってくる。「わたしたちはここにいます!」この歌詞だけびっくりマークがついており、助けを呼んでいるようだ。「ここには夢がちゃんとある」の歌詞と繋げると「わたしたちはここにいるよ!誰か助けて!まだ夢や未来を諦めずに生きてるよ」とSOSを訴えかけているのが分かる!
アニメ第7話では、主人公の発案により全員で手紙を飛ばす回がある。幼児退行で現実逃避している主人公とは別に、他のメンバーは生存者にSOSが届くようにと願って飛ばしていた。
次の歌詞「フレンドなら ともだちでしょ」は、1つはただの英単語に対する回答、2つ目は彼女達以外の避難者(同じ状況で生き残っている仲間)、そしてさらに学校にいる制服を着たゾンビたちに向けられているもの、部活のメンバー同士が言っているもの、この4つを兼ねたものだ。
帰るのは危険!!
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放課後なら当たり前のこと
さぁさ集まれ こっそり帰るな
(こらー)
≪ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌詞より抜粋≫
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第1話で主人公が間違えて家に帰ろうとし、周りから心配されるシーンがある。この部活は帰ったら最後、街に溢れているゾンビに襲われ感染してしまう。だから帰ってはだめだと押している歌詞だ!
部活は遊びじゃない!?
----------------確かに部活は遊びではないが、普通の部活なら楽しみでやっている人も多い。しかしこの学園生活部は深刻な毎日をただ過ごすだけでは気が滅入るということで作られており、避難や生活に関わる活動をしているので遊びではないということだ。
部活動だね 活動しちゃうね
遊んでるんじゃありませんっ!
≪ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌詞より抜粋≫
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わたしたちは楽しんでる!
24時間 はしゃいでる
屋上に まっ赤な太陽
かなり叫んでみた!
(元気でーす!)
≪ふ・れ・ん・ど・し・た・い 歌詞より抜粋≫
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作中で主人公は幻覚を見ているため、終盤まで1人だけ普通に学校生活を楽しんでいる。しかしそれが他の3人の救いにもなっていて、思いつきで遠足や体育祭などを企画して楽しんでいる。これが「わたしたちは楽しんでる!」の表すところだ。
「屋上に まっ赤な太陽 かなり叫んでみた」まっ赤な太陽が救難信号を彷彿とさせる。作中でも、きっと助けが来るというようなセリフがあり、とても重要な彼女達のメッセージと言える。
この歌の曲調が明るいのは第1話の衝撃を増幅させるためであり、視聴者も一緒に平和な世界から絶望の光景へと引きずり込むのが目的だ。それを味わったからこそ、作品とは合わない歌詞の本当の意味に気づくのである。
『ふ・れ・ん・ど・し・た・い』歌詞
TEXT:SHIN