友情と恋愛が描かれた作品『orange』
2016年から放送されているアニメ【orange】。この作品は、高校2年生になった主人公の高宮菜穂が、始業式の日に10年後の自分から手紙が届いていることに気づくところから始まっていきます。その手紙により、転校してくる成瀬翔が、10年後には事故で亡くなってしまっていることを知ってしまう…。ふいに届いた“手紙”をヒントにして、高宮菜穂と友人4人らが協力し、成瀬翔を助けようとする友情と恋愛を合わせたストーリーなんです。
そして、2016年8月31日に高橋優が歌うオープニングテーマ『光の破片』がリリースされました。
この曲は原作者の高野苺からオファーを受けた際に、orangeのために書き下ろした楽曲として知られています。原作ストーリーとの一体感はもちろん、キャラクター同士の友情や、仲間と見られる景色や時間の大切さが歌詞に表現されているんです。
ここからは、アニメのストーリーと歌詞を照らし合わせるべく、紐解いていきます‼一部、ややネタバレも含まれていますので、まだ作品をご存じゃない方はご注意ください。
アニメとリンクする高橋優の歌詞の世界
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形も色も違うビーズが
テーブルの上で光ってた
互いが互いを照らし合って
色とりどり輝いてた
≪光の破片 歌詞より抜粋≫
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「形も色も違うビーズ」は、6人の主要キャラクターを表していて、「テーブルの上で光ってた」に繋がるということは、教室で楽しそうに話している光景が想像できます。
実際に作中でもこの6人は常に行動を共にし、文化祭や体育祭などのイベントも一緒に楽しんでいるシーンが多いんです。
性格も色も違う6人が揃うことで、それぞれの良さを引き出したり、助け合ったりしていく。これらの描写が「互いが互いを照らし合って」という歌詞に詰まっているため、より伝わってきます。
また、この他にも高宮菜穂と成瀬翔の恋愛を応援したり、性格の悪い先輩に苛められている菜穂や須和を中心に皆で守ったりするシーンにも見事にハマって一致しています。
さらに、翔を想う菜穂、菜穂を想う翔の微笑ましい光景や、明るく楽しい日々を過ごしている6人の姿が「色とりどりに輝いていた」の歌詞に当てはまります。これは1人1人が個性豊かで、誰一人欠けてもこの作品は完成しないという思いまでも伝えているようです。
ピースが光を呼ぶ
――――寄り添い合いながら
ときに遠ざけながら
不揃いな欠片と欠片つなぐ
いつかの悲しみも
涙した思い出も
君の微笑みを彩る光
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物語が進んでいく中で、翔が落ち込んでいる原因が明らかになります。その後、須和の説得や菜穂の想いを知って少しずつ元気を取り戻していく。
さらに、菜穂と翔の関係も、これまでより近い関係になっていきます。近くになるにつれて、男女の恋愛でよくある心の距離が離れたりすれ違ったり。想いがきちんと届かなくなったりと切ないシーンがうまれます。
そんな風に寄り添ったり遠ざけあったりしながらも、お互いを友情や愛情を深めていく。突然とどいた“例の手紙”が「不揃いな欠片と欠片」をつないでいく。
作中で描かれる様々な悲しみ・涙した涙・それらすべての思い出が、微笑みを支える光になる。ここでも見事なシンクロをみせてくれます。
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イビツな欠片たち
ときには擦れ合い
光にかざした万華鏡のように
涙が流れても
一人きりでは叶えられない景色
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イビツな欠片たちはもちろん6人を指します。万華鏡は欠片が集まることによって綺麗になりますよね。これは、一人ではなく仲間がいることで最高の景色が見られるという意味でしょう。
特に翔にとって、それがどれだけ嬉しくて大切なのか・・・。翔の想いを推察すればするほど、この歌詞に重みを感じます。
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笑い合えたことも
ぶつかり合ったことも
僕の大切な宝物
かき集めたビーズで
何が作れるだろう?
色あせない光の欠片たち
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一人称が「僕」となっているため、きっとこれは翔目線の内容になっている。きっと作品を知っている人は誰もがそう想うのではないでしょうか。
また「かき集めたビーズ」というのは仲間と過ごした思い出の数々で、決して色あせることなく自分の中で光り続けていることですね。
さすが高橋優です。この作品のために仕上げた楽曲だけあって、歌詞の内容がこのアニメのストーリー展開とシンクロしていましたね。
そのため、歌詞だけを切り取ったとしても、まるでちょっとしたショートストーリーを見ているかのような感覚さえなります。
【orange】と『光の破片』も互いが照らし合うことで、最高の輝きを見せていたんですね!
TEXT:SHIN