大黒摩季の名曲「あなただけ見つめてる」
大黒摩季の名曲といえば、「あなただけ見つめてる」。
この楽曲は、90年代に爆発的人気を博したアニメ、「SLAM DUNK」の初代エンディングテーマとして流れていた曲。
わずか三ヶ月でミリオンセラー!
同アニメのテーマ曲のなかでは、WANDSの「世界が終わるまでは・・・」、ZARDの「マイフレンド」などの名だたるヒットナンバーを抑え、歴代一位のセールスを記録している。発売から三ヶ月足らずでミリオンセラーになり、大黒摩季の曲では「ら・ら・ら」に次いで二番目のヒット曲になった。
アニメの最後に、ゴール前で跳躍する桜木の静止画とともに、この曲のサビが始まるのがとても印象的で、覚えている方もいらっしゃるのではないだろうか。
スラムダンクといえば…?
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主人公の桜木花道が、湘北高校に入学してすぐに同級生の赤木晴子に一目惚れをし、彼女のすすめでバスケ部に入り、バスケットボールにのめり込んでいくというストーリー。
晴子への一途な思いに後押しされ、バスケの世界で桜木の才能は開花していく。
そんなストーリーなのだが、「あなただけ見つめてる」で描かれる女性は、好きな人に一途になることで、どうなっていくのだろう。
歌詞をみてみよう。
描かれている女性はどんなヒト?
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あなたがそう 喜ぶから
化粧をまず止めたわ
どこにいても捕まるようにポケベル持ったわ
車も詳しくなったし
サッカーさえも好きになったわ
迷っているけど この人に一生ついて行こうと決めた
≪あなただけ見つめてる 歌詞より抜粋≫
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「あなただけ見つめてる」の女性は、彼と付き合う以前はかなりイケイケ(死語)な女の子。
週末になるとバッチリ化粧をし、パーティーに繰り出していくような女性だった。
「便利だった男の子達整理した」と歌詞にでてくるように、たくさんの男の子達を周りにはべらせてきた、そういう女性。
そんな女性が、ひとりの男性と付き合うことで変わっていく様を描いているのが、この「あなただけ見つめてる」のストーリーである。
まず彼女は、化粧を辞める。
相手の男性の好みに合わせたのだ。
どこにいてもポケベルの呼び出しひとつで彼の元へ。
男性の趣味である車やサッカーに詳しくなり、話が合うようにする。
以前はそんなものに見向きもしなかった彼女だったのに。
彼女は一見、彼の好みの女になるために努力する、いじらしい女性に映るかもしれない。
だが、彼女の行動は徐々にエスカレートしていき、自分の性格や生活スタイルまで変えてしまう。
この曲の最後は、こんな歌詞でしめくくられる。
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あなただけ見つめてる
そして他に誰もいなくなった
地味に生きて行くの
あなた好みの女 目指せっっ!! Love Power
あなただけ見つめてる
独りで待つ二人だけの部屋
あなたの微笑みはバラ色の鎖
行けっっ!! 夢見る 夢無し女!!
≪あなただけ見つめてる 歌詞より抜粋≫
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彼女に残ったのは、大好きな彼氏だけ。
自分の我がなくなり、従順に彼のそばにいることだけが一番の「夢」になったのだ。
好きな人から打ち込めるものを与えられ、世界が広がったスラムダンクに対し、「あなただけ見つめてる」は彼そのものに打ち込んでいって彼以外を失ってしまう。
この歌詞の内容、スラムダンクのストーリーへの皮肉になっていないだろうか。
スラムダンクが自身では初のアニメタイアップだった大黒摩季。
アニメのストーリーになぞらえて、こんなにエッジの効いた歌詞を書いたのだったら…とても気が利いている。
TEXT 毛布