もしも…
──話が前後してしまうんですが、MOSHIMOというバンド名の由来は?
岩淵:私が曲を作る時に妄想して作ることが多いんですよ。例えば、知り合いになった男の子に対して、“もしもこの人と恋に落ちたらどんな恋愛するんだろう”とか、泳ぐのが好きなので、“魚になって泳いだらどんな気持ちなんだろう”とか…。
私は将来死ぬなら恐竜に食べられて死にたいんですけど、“もしも恐竜に食べられたらどれくらい痛いんだろう”とか、“もしも”で曲を作ることが多いのでバンド名をMOSHIMOにしました。
“もしも”って妄想するだけなら可能性は無限大だなって思っているのでそういう意味も込めています!
──“この人と恋に落ちたらどんな恋愛するんだろう”ですか。じゃあ例えば本多さんと岩淵さんが恋に落ちたらどんな恋愛すると思いますか!?(笑)
岩淵:(食い気味で)ちょっとそれは厳しいかもしれない!!!(笑)
宮原:考える時間が勿体無い(笑)。
岩淵:デートの段階で「ごめんね」って言ってると思う(笑)。
本多:なんでみんな俺をいじるの!
一瀬:まんざらでもない感じじゃん!
岩淵:仮病使ってデートすら行かないですね!(笑)
MOSHIMOはトントン拍子?
──これからも仲良くやってください!(笑) では、次の質問に行きたいんですが、MOSHIMOは結成から1年半で今のポジションまで来て、すごくトントン拍子のように見えます。全国にリスナーがいるんだっていう実感する瞬間とかありますか?岩淵:全国に聴いてくれている人がいるっていう実感はありますね。CHEESE CAKEの時より、私たちのことを知ってくれている人が増えました。
でも、正直CHEESE CAKEの頃から考えると、トントン拍子ではなかったです。ようやくここからだという想いと、責任感や覚悟みたいなものの方が大きいですね。
──では近々の目標として今岩淵さんが思っていることは?
岩淵:単純に聞いてくださる方が多いのは嬉しいですし、もっといい曲を書いて、次のCDにつなげたいと思います。ライブとCDを通して、みんなで一体感を作れる楽しいものを作りたいです。
──逆に本多さん、宮原さんは今のポジションにいることをどのように思われますか?
本多:連絡を取っていなかった人から「カラオケで見たよ!」って突然連絡が来たりとか、何気なくフラッと寄ったレコード屋に自分たちのCDがあった時は広まってるって感じる瞬間ですね。
一瀬:CDショップの定員さんが応援してくれていることも多くて、すごく愛情のあるポップとかを書いてもらっていたり。
岩淵:すごい聴き込まないとわからないだろうな、っていうところまで書いてくれていたりするんです。
宮原:僕の実感としては、この1年半は本当にあっという間でしたね。
4人で会話している時はいつも「もっと、もっと」って求めてる会話をしているんですよ、将来のこととか。できるだけ長く4人で音楽やっていたいんで、僕も全然満足はしてなくて、プレッシャーだったり嬉しい気持ちだったりがごちゃごちゃになっている感じです。
一瀬:あとMOSHIMOとして最近嬉しかったことは、この前のワンマンライブがSOLD OUTしてたくさんのお客さんが来てくれたことですね。まだ満足はしていないんですけど。
CHEESE CAKEの最後のライブの時に、ライブハウスのチケットが売り切れるくらい人が来てくれたんですけど、僕たちは高を括っていてMOSHIMOで自主企画ライブをやるってなった時にもみんなついてきてくれると思っていたんです。
だけど30人も人が来ないっていうようなライブがあって現実を叩きつけられてからMOSHIMOとして1から作り上げていかなきゃって良い意味で反省して、そこから1年半かけて積み上げてきた結果で、本当にファンの皆さんに感謝の1年でした。
ミニアルバムについて
──収録曲の曲順はどのように決められたんですか?
岩淵:これはCDを聴いていて飽きない抑揚のある流れがいいなって話をして決まりました。飛ばさないで全部聴いてもらいたかったんで、そういうことを意識しました。
──『命短し恋せよ乙女』のデモを聞いた時のみなさんの感想は?
一瀬:最初デモは僕が作ってきたんですけど、実はみんないまいちピンときてなかったんですよ。
でも「絶対いい曲になるから!」って磨いて磨いてみんなで作り上げていったんですけど、その作業が楽しかったです。今までなかった流れだったので。
最終形態は自分の中でも見えていたんですけど、それをメンバーに伝えるのがなかなか難しかったんで、曲が育ってくれた達成感がありましたね。
岩淵:メロディーと歌詞のハマリを最優先で考えたので、途中色々変わったりもしました。「命短し恋せよ乙女 君をこらしめに行こう」っていうところのハマリがすごいよかったんで、そこからどう作ろうってレコーディングギリギリまで悩みました。
──歌詞に関してはいかがですか?
岩淵:曲の制作を始めた時に、ご飯を食べに行った友達が彼氏に浮気をされていて、「私、2回目なのに許しちゃった。」「好きって辛い!」っていう話を聞いて、これはテーマとしていいなって思ったんです。
好きだからつい相手のことを許してしまう“どうしようもない気持ち”を描こうと思って作りました。
一瀬:この世界観を岩渕が持ってきてくれたことによって、締りが良くなりました。その友達のエピソードがすごくありがたかったです。
──ご自身の体験というよりはお友達からのインスピレーションを受けて制作されたんですね。
岩淵:そうですね、私はそういう気持ちが昔は理解できなくて“浮気されたら別れりゃいいじゃん!ロクでもない奴だ!”っていう風に思っていたんですけど、“好きだから許しちゃう、どうしようもない!!”っていう感情が1年前くらいにようやくわかったんで、その友達の話を聞いた時に自分が経験した恋愛と重なって、私の体験と彼女の体験を組み合わせて作ったっていう感じです。
──こう言う内容なのにポジティブに聴こえるのは皆さんが目指しているところだったんですか?
岩淵:悔しいけどライトな感じで言えちゃうと意外と前向きに進めちゃうというか、のりこえられちゃうんだっていう経験があるんで、そういう想いも込めてです。
一瀬:『命短し恋せよ乙女』っていうのも、思いっきり恋を楽しまなきゃ!っていうメッセージもあります。
──歌詞は女の子目線の女の子のための曲っていう感じですよね、男性メンバーからしたらこの歌詞はいかがですか?
宮原:男って、好きだ好きだって引きずってた感情が少し時間が経つと、ちょっと恥ずかしくなるんですよ。でもこの曲って好きなことに対して開き直ってるじゃないですか、「好きだよ、好きだから無理、お手上げ!」みたいな(笑)。
だから僕は男性への応援ソングにもなるというか、楽しめって言ってくれてる気がして、最初聴いた時からいいなって思いました。
本多:僕は、そういう人間がいるんだな、今度から気をつけよう!って思いました(笑)。
僕はあんまり干渉したくないし干渉されたくないタイプなんで、まだこの感情がよくわかんないんです。
宮原:人を好きになったことがないんですよ(笑)。
本多:そうなんですよ、だからそういう恋愛ができればいいなって思いつつ。将来の僕への応援ソングだと思ってます。
──「始まりは、そう…ABC」っていうフレーズがとても印象的ですが、このフレーズを閃いた瞬間は?
岩淵:そこはレコーディングの直前までハマらなくて。大人な部分を描きたいんですけど、ABCを生々しく言うのも違うんだけど、そこまでいっちゃったことを書きたかったんです。
これをポップにライトに書くには思った時にたまたま“恋のABC”を思い出して歌ってみたら可愛いから、これだ!!!と思って。
でも今の高校生とかは「ABCってなんですか?」って聞いてくるんですよ(笑)。
宮原:本気で質問されたら辛いんだよね(笑)。
岩淵:でも興味を持って疑問に思ってくれるのは純粋に嬉しいです!
宮原:このフレーズを「大人でしょ!」って持ってくるポチが子供やったね(笑)。
ピックアップフレーズ
──このアルバム収録曲の中から皆さんのお気に入りのフレーズをご紹介いただけますか?一瀬:僕は「始まりは、そう…ABC」(笑)
ここのアレンジは元々ブレイクじゃなかったんですよ、だけどブレイクにして言葉だけ浮かせたオフがいいなって後からドラム叩きなおしてもらったところで、このアルバムの中で一番締まってるところだと思います。
宮原:僕は結構、失敗が怖くなってネガティブになることが多いんですよ。
その時に『ミラーボール』の「不可能なんて無い世界は 夢を見ることさえできなくて 失敗だってできやしない」っていうところを聴いてると、“そっか、そもそもそっちも楽しもう!”って思えるフレーズで素晴らしいなって思います。
岩淵:私は『ジレンマ』の「優しい言葉 悲しい涙 無意味なモノは1つも無かったよ」っていうフレーズですね。
CHEESE CAKEからMOSHIMOに変わるとき、自分がどんなに想っても人の気持ちが変わらないという現実を受け入れるしかないことを知ったけど、そういうことって時間が解決してくれるし、周りが頑張れって言い続けてくれたこととか、泣いたこととかも今になっては歌詞にできているし。
経験になって前に進めているっていうところで大事なフレーズです。
本多:僕は『星になれ』の「誰かのためにと流した汗は あぁ輝くよ」。頑張って誰かのためにやった結果が出ようが出まいが、1人のためにでもなればよかったのかなって。
最後に
──最後になるんですが、インタビューを見てくれた皆さんに一言お願いします。
本多:こうやって記事にしていただいて広まっていくのは嬉しいですし、これを読んでくださった方に何か1つでもグッとくるものがあればいいなと。
そしてCDを手にとって、ライブに遊びに来ていただいて、共感できるものを見つけていけれるようなバンドになればいいなと思っています。
一瀬:MOSHIMOは歌詞を大事にしているバンドなんで、素直に表現するところもあれば何回も読まなきゃわからないような仕掛けとか韻とかがあったりするので、歌詞をたくさん読んでもらいながら聴いてもらいたいなって思います。
岩淵:このミニアルバムはCHEESE CAKEからMOSHIMOに変わるときに作った曲がたくさん入っています。
苦しいことは時間が解決してくれるけど、そんなときに1曲でも私たちの曲が救いというか心の支えになってくれればいいなと想って書いたので、是非前に進もうとしている人や壁にぶつかっている人にも聴いてもらいたい1枚です。
宮原:やっぱり音楽って、自分が求めているタイミングで出会うものだと思っていて、この記事を読んでくれた方は、きっと何かの縁があってたどり着いてくれたんだと思うので、今の自分の感情と重ねるところだったり、日常の何かしらに当てはまるような曲を見つけて聞いてくれたらなって思います。よろしくお願いします!
TEXT 愛香
PHOTO 片山拓
リリース情報
2016年9月21日リリースMOSHIMO 1st mini album
「命短し恋せよ乙女」
TRACK LIST
1. 命短し恋せよ乙女
2. ジレンマ
3. 大嫌いなラブソング
4. ミラーボール
5. 猫かぶる
6. 星になれ
LACD-0278 / ¥1,600(tax in.)
レーベル: Lastrum
PROFILE
前身バンドであるCHEESE CAKEのVo&Gt:岩淵紗貴、Gt:一瀬貴之に、Ba:宮原颯、Dr:本多響平が加わり、2015年4月に福岡にて結成。純真、憂鬱、皮肉など複雑な女心をリアルに描く歌詞、可愛いのに凛とした独特の響きを持つ歌声、吸引力抜群のカラフルなサウンドで、中高大学生を中心とした若い世代に人気の新世代ギターロックバンド。
オフィシャルリンク
■公式サイトhttp://band-moshimo.net/
https://twitter.com/MOSHIMO_BAND
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