1. 歌詞検索UtaTen
  2. 特集
  3. J-POP
  4. 歌詞コラム
  5. Plastic Tree
  6. 「悲しい恋と失われゆく記憶」に真摯に寄り添う、Plastic Tree『アローンアゲイン、ワンダフルワールド』のリアリズムと優しさ

【歌詞コラム】「悲しい恋と失われゆく記憶」に真摯に寄り添う、Plastic Tree『アローンアゲイン、ワンダフルワールド』のリアリズムと優しさ

純愛ラブストーリーはどんなに若者の活字離れが叫ばれても書店の店先を賑わせる。

公開日:2017年1月13日 更新日:2017年5月24日


この記事の目次
  1. ・Plastic Tree 最新情報
  2. ・最新リリース情報
  3. ・配信情報
  4. ・ライブ情報
  5. ・ゲーム情報
  6. ・Plastic Tree Profile


純愛ラブストーリーはどんなに若者の活字離れが叫ばれても書店の店先を賑わせる。恋の物語はいつの時代も注目の的だ。勿論、ヒットチャートを盛り上げるのも、色とりどりのラブソング。

中でも、多くの人を魅了してやまないのが、恋人との永遠の別れを描いた悲しい物語だ。身を切るような悲しみを描いた楽曲は数多くあるが、特にリアルで美しい詞世界が特徴的な楽曲を長年制作し続けているのが、来年でメジャーデビュー二十周年を迎えるヴィジュアル系バンド・Plastic Tree

ボーカル有村竜太朗がメインコンポーザーとなり綴られる物語性と鋭い言語センスの光る歌詞、更にシューゲイザーサウンドを基調とした幻想的で疾走感のある曲調がヴィジュアル系ファンの枠を飛び越えた人気を誇る彼等だが、その楽曲の中でも随一の切なさを誇る「永遠の別れの物語」を描いた曲が、『アローンアゲイン、ワンダフルワールド』だ。



意味深なカタカナが並ぶタイトルから溢れ出す、リアルで優しい悲しみの世界に触れてみよう。


幕開けを告げるのは、ギターによるとてもシンプルなイントロ。ちょうど合唱曲の伴奏のようなイメージのメロディは、冒頭から浮遊感のあるサウンドを魅せてくる事が多い彼等には珍しいパターンだ。

「もー、会えないんだな。嘘みたいだな。眠り方も忘れたみたい。
いずれにせよ、夢の外だ。君がいないんじゃなぁ。」


有村のうわ言のように儚い歌声が、簡素な程のオケを彩る。 「君の事を想って眠れない」と言うような表現は使い古されたものだが、ただ「眠れない」のではなく「眠り方も忘れたみたい。」と言う言い回しを選んでいる点が、その悲しみを強調している。きっと、眠る方法すら忘れてしまう程に、眠れない日々が続いているのだろう。

「悲しみコードは爆音です。君の声も聞こえない、届かない。
ざわめく風が薫る、るる―――――――。」


続く歌詞では、彼自身の記憶が薄れていってしまっている事が綴られている。きっと、彼女と離れ離れになったのは昨日今日の出来事ではないのだ。それでも、彼は彼女の事を想い続けている。
人の記憶は声→顔と言う順番で失われていく、と言う研究結果があるらしい。このフレーズでは「君の声」にフォーカスが絞られている一方、2番では「切なさモードの残像です。君の顔も見えない、わからない。」と描かれているあたり、記憶が薄れてゆく過程がとてもリアルに綴られている詞である事がわかるだろう。

シンプルだったギターサウンドにベース、ドラムが加わり、サビに向けて少しずつ重奏的になってゆく。徐々に昂る感情が投影されたように、ギターが悲鳴のような音を上げ、サビに差し掛かった。

「アローンアゲイン
頼りない世界。グルグル、いつまでも回る。
うずまく心は七色。また会えるのかな?
ハロー、ハロー、届いたなら
悪戯にワンダフルワールド。」


ここでやっと、タイトルに冠される「アローンアゲイン」「ワンダフルワールド」と言う言葉が登場する。意訳すると「素晴らしい世界に再びひとりで佇む」と言うような意味合いになるかと思うが、これは彼自身の心もとない心理を表していると言えるだろう。
想い続けた彼女を失った彼は、彼女と出会う前の独りぼっちな自分に再び戻ってしまう。唯一手を取り合える相手であったはずの彼女がいなくなってしまった世界は、彼にとってとても頼りないものだ。そんな、味気ない世界を「ワンダフルワールド」と言い表すのは、ある種の皮肉のようなものなのかもしれない。

身を切るような嘆きは決して爆発することもなく、静かなトーンで2番まで続く。

「スカートの翼を広げてユラユラ、君、夢、幻。
うるさい涙が散らかる。まだ探せるなら、
ハロー、ハロー、何処にいるの?
意地悪なワンダフルワールド。」


彼は、夢幻のように淡くなってしまった記憶の中から、彼女の存在を手探りで探そうとする。無意識のうちに流れる涙すらも鬱陶しい程に、彼は彼女をどうしたって失いたくないのだ。

2番以降、夢の中をたゆたうようなディレイやボイスエフェクトが多用されるようになるが、大サビを前にして厚みを増したバンドサウンドが突然イントロと同じシンプルなものに戻る。まるで、記憶の海をさまよう彼を現実に引き戻そうとでもするかのような展開だ。
ほぼギターのみを背景に奏でられる有村の、今にもくずおれてしまいそうな声が紡ぐのはこんな言葉。

「あー、未来とかは手探りでも、あたらしい日々。ばかみたいだなー。
涙の向こう、君はなんて僕を叱るんだろう?」


どんなに哀しみに暮れていても、新しい日々はやってくる。「忘れたいのに忘れられない」と歌う悲しい恋の歌は多いが、結局いつかは消えるのが記憶だ。そんな世界の摂理に、彼はたったひとりで抗おうとしていたのだ。虚しさすらも含む嘆息と共に歌われるこの言葉からは、遺されたもののリアルな感情が鮮やかに浮き上がってくる。

しかし、そんな彼でも、涙の向こうに見える愛おしい彼女の姿に小さな希望を見出していたのではないだろうか。
何故なら、彼は自分自身の、過去の記憶にどうしようもなく縋り付いてしまう気持ちに対し、「ばかみたいだなー」と、あたかも笑い飛ばすような言い回しを使っているからだ。


この曲は、こんな歌詞で締めくくられている。

「アローンアゲイン
頼りない世界。グルグル、いつまで回るの?
うずまく心は七色。想い出で間違い探しだ!
スカートの翼を広げてユラユラ、君、夢、幻。
うるさい涙が散らかる。まだ探せるかな?
ハロー、ハロー、
何処かにいる君と僕、
ワンダフルワールド。」


「想い出で間違い探し」と言う言葉から、彼の記憶がだいぶ薄れてきている事が察せられる。間違い探しをしなければならない程に薄まった記憶の中で、「間違い探しだ!」とわざわざ明るく言い放つ彼の健気さが胸に迫る。
しかし、彼の胸にはこの時、きっと悲しみ以外のものが芽生えていたのではないだろうか。
彼は最後に、「どこかにいる君と僕」に向かって「ハロー、ハロー」と呼びかける。この「君と僕」とは、ふたりが過ごした幸せな日々の中に生き続ける「君と僕」の事のように思う。

淡々とした静かなメロディを抜け、大サビに入ったその瞬間、聴く者の胸の中にも、彼の抱く小さな、とても小さいけれど確かに輝く微かな光が、美しく広がるシューゲイザーサウンドに包まれ、優しく呑み込まれるような感覚と共に生まれるだろう。
それはまるで、恋人に限らず、「愛する人に愛されていた優しい想い出」に浸りながら、干したてのあたたかく柔らかい毛布にくるまっているかのような、懐かしく狂おしい感覚だ。


彼は、儚い記憶に縋るのではなく、「彼女と共に過ごした事」と言う事実にしっかりと向き合えるよう、これからも生きてゆくことを決める。
冒頭で歌われる「夢の外だ。」と言うフレーズからもわかるように、彼女と共にいた日々は彼にとって夢そのものだったのだ。
しかし、夢と言うものはいつまでも見ていられるものではない。だから彼は、「再び」この世界に「ひとりで佇む」

「アローンアゲイン、ワンダフルワールド」と言う言葉に隠された悲しい恋物語の結末には、優しくあたたかな一欠片の、光り輝く希望が残されている。


TEXT:五十嵐 文章

Plastic Tree 最新情報

最新リリース情報

Plastic Tree
New Single「インサイドアウト」
2018年7月25日発売

■「インサイドアウト」:PlayStation(R)Vitaゲーム「Collar×Malice -Unlimited-」主題歌
■「灯火」:PlayStation(R)Vitaゲーム「Collar×Malice -Unlimited-」エンディングテーマ


【初回限定盤A】 (CD+DVD) / \1,800(+税) / VIZL-1409
[CD]通常盤と同内容
[DVD]
「インサイドアウト」Music Video


【初回限定盤B】 (CD+ブックレット) / \1,800(+税) / VIZL-1410
[CD]通常盤と同内容
※豪華フォトブックレット付属


【Collar×Malice盤】 (CD) / \1,200(+税) / VICL-37412
[CD]通常盤と同内容
※ゲームジャケット仕様


【通常盤】 (CD) / \1,200(+税) / VICL-37413
[CD]
1.インサイドアウト
2.灯火
3.インサイドアウト(Instrumental)
4.灯火(Instrumental)

配信情報

iTunes Store、レコチョク、moraなど主要サイトにて、7月25日より配信。

Plastic Treeの旧作品はiTunes Store、レコチョク、mora主要サイト他、LINE MUSIC、Apple Music、AWAなど定額制音楽ストリーミングサービスでも一部楽曲配信中

iTunes Store:  
https://itunes.apple.com/jp/artist/plastic-tree/id151146953
レコチョク:  
http://recochoku.jp/artist/2000006145/
mora:  
http://mora.jp/artist/132118/all
Apple Music: 
https://itunes.apple.com/jp/artist//id151146953
LINE MUSIC: 
https://music.line.me/artist/mi0000000000fa7f16/album
AWA: 
https://s.awa.fm/artist/a25d92622945603ed217/?playtype=copy_artist&t=1492197063

ライブ情報

【Plastic Tree Autumn Tour 2018「in the other side」】
■2018/9/16(日) 仙台/Rensa [OPEN 17:00/START 18:00]
[問]クールマイン TEL;022-292-1789

■2018/9/22(土) 熊本/B.9 V1[OPEN 17:30/START 18:00]
[問]BEA TEL;092-712-4221

■2018/9/23(日) 福岡/DRUM LOGOS[OPEN 16:00/START 17:00]
[問]BEA TEL;092-712-4221

■2018/9/28(金) 名古屋/ボトムライン[OPEN 18:00/START 19:00]
[問]キョードー東海 TEL;052-972-7466

■2018/9/29(土) 大阪/なんばHatch[OPEN 17:00/START 18:00]
[問]キョードーインフォメーション TEL; 0570-200-888

■2018/10/6(土) 神奈川/神奈川県民ホール[OPEN 17:00/START 18:00]
[問] KMミュージック TEL; 045-201-9999

【チケット料金】¥5,800(税込)
◎3歳以上有料/3歳未満入場不可
◎オールスタンディング *10/6神奈川県民ホール公演のみ全席指定
◎当日1drink order *10/6神奈川県民ホール公演を除く

ゲーム情報

「Collar×Malice -Unlimited-」について
【製品概要】
---------------------------------------------
タイトル:Collar×Malice -Unlimited-
(読み:カラーマリス アンリミテッド)
対応機種:PlayStation(R)Vita
ジャンル:ラブ×サスペンスAVG
CERO:審査予定
発売予定:2018年7月26日

通常版 6,804円(税込)
限定版 8,964円(税込)
DL版 6,264円(税込)
ツインパック 11,448円(税込)

【スタッフ】
プロデューサー:島れいこ

ディレクター:吉田博明、尾河依

原画・キャラデザ:花邑まい
ちびキャラ原画:夏目ウタ

シナリオ:有野幸、小縞なお、砂原有季

音楽:MANYO

Plastic Tree Profile

1993年12月、有村 竜太朗と長谷川 正がPlastic Treeを結成。

精力的なLIVE活動で着実にファンを獲得し、1997年6月「割れた窓」でメジャーデビュー。作品は攻撃的なギターロックからポップなものまで多岐にわたり、ボーカル有村の特徴的な歌声とバンドの持つ独特な世界観で、唯一無二の存在として 確固たる地位を確立。その世界観は海を越え海外でも人気を集め、ワールドツアーを敢行するなど世界的にも評価の高いバンドである。

2012年にメジャーデビュー15 周年を迎え、レーベル移籍。その後もコンスタントにリリースを重ね、2015年には初の男子限定公演や主催イベントを開催。同年12月におよそ3年振りとなるニューアルバム「剥製」をリリースし、2016年3 月〜5月で春ツアー「剥製」を開催。8月には3年連続で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」出演するなど精力的にライブ活動を続ける中、8月17日にPlayStation Vita用ゲーム「Collar×Malice」オープニング主題歌「サイレントノイズ」をリリース。9月から全国ツアー「Black Silent/White Noise」を開催し、10月10日に東京国際フォーラムホールAでツアーファイナルを迎えた。2017年にメジャーデビュー20周年を迎え、1月25日にシングル「念力」を、6月21日にはシングル「雨中遊泳」をリリース。7月29日には周年“樹念”で初のパシフィコ横浜公演を開催。

9月6日にはトリビュートアルバム「Plastic Tree Tribute〜Transparent Branches〜」を発売。2018年3月7日には自身14枚目となるオリジナルフルアルバム「doorAdore」をリリース

Official Site
http://www.plastic-tree.com/

Label Site
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A023907.html

小説をモチーフにしたACIDMANの「…

みんなの心の凱旋門 レ・ロマネスクがス…