一緒に居ることは当たり前?
一緒にいることが当たり前になると、与えられる優しさについ甘えてしまって、大切であることを忘れてしまう時がある。そんな時、改めて大切な存在に気付くのは全てが終わってしまった後だ。
なくしてから気付く存在が大きければ大きい程、その存在に焦がれてしまう…そんな夜がきっとあるだろう。やがて、新しい恋へ進みたくても、どうにもならない喪失となって、胸を焼く。
そんな時に聞きたい一曲『優しい光』
EXILEの通算31枚目のシングルとなる「THE HURRICANE ~FIREWORKS~」。このシングルの2曲目に収録されている「優しい光」は、そんな夜にこそ、ぜひとも聴いてほしいナンバーだ。メイン扱いではないながら、PVでは速水もこみち、市川由衣の豪華なメンバーが出演し、歌詞に沿った切ない恋の物語を見事に演じている。
ATUSHIの恋愛体験がベースになった
----------------この曲は「運命のヒト」同様、作詞者のATUSHIの過去の恋愛体験を元に書かれた曲で、歌詞にある『僕』の1人語りからわかるように、別れてしまった女性との思い出を描いている。
優しい光が そっと僕を照らしてる
”抱きしめたい” あの日の僕は
まっすぐにしか 愛せなくて
二人 歩いた公園 なにげない時間が過ぎ
いつも君は 黙ったまま 寄りそってくれたよね
≪優しい光 歌詞より抜粋≫
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しかし、ただ思い出に浸って終わるだけが「優しい光」ではない。魅力なのは、相手の女性への思いを伝えるサビの部分だ。
思い出と共に前へ…
そこでは終わってしまった思い出から一変して、“君は優しい月の光のようだった”、という感謝の気持ちと、“いつの日か自分も優しい光になって、君を照らしたい”、という誓いを述べる、『今の僕』の思いが込められた内容となっている。語り手である『僕』は、思い出を胸に前へ進もうとしているのだ。
この内容を踏まえ、一番聴いて欲しいのは3回目のサビ部分と共に流れるピアノソロ。「優しい光」では所々で月、夏の星座などの言葉が所々で用いられているように、夜空を見上げたくなるナンバーとなっている。
月も星も、どれだけ近く見えても手が届かない遠くにある印象だが、このピアノソロが加わることで、まるで夜空の下に立つ『僕』に優しい光が降り注いでいるような光景を浮かび上がらせる。
この演出が、曲の内容を更に引き立てていると言えるのだ。思い出に恋焦がれるだけでは終わらせない「優しい光」
。
思い焦がれるそんな夜には、EXILEが贈る感謝と誓いの歌で恋する気持ちを前へ進めて行って欲しい。
TEXT:空屋まひろ