嵐 大野智の初レギュラー主演作『魔王』
2008年、TBS系金曜ドラマにて『魔王』が放送された。韓国で放送された同名ドラマをリメイクした作品ながらお茶の間を賑わせ、その年は数々の賞を受賞をしている。
このドラマの主演を果たしたのが嵐のメンバーである大野智で、彼にとって連続ドラマ初レギュラー初主演となる記念すべき作品となった。
嵐の23枚目シングル「truth」
「truth」はそんなドラマの主題歌。嵐の23枚目のシングルとして同年に発売された作品。この曲は、ドラマ本編と重なる要素が含まれた歌詞内容となっており、シリアスな嵐を視聴できる貴重な楽曲。
普段とギャップがある真剣な顔ってドキッとしません?特に役柄に合わせたかのようなダーク大野くんは、さすが魔王!の一言。カメラ目線とはいえあんな顔で見つめられたら…落ちない人なんていないですよね?
隠された主人公の気持ちを表現している
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ゆらりゆれる光ひとつ 痛み癒すことなく消える
"I take your life forever, you take my life forever"
ひらり落ちる涙ひとつ 思い届くことなく消える
"I take your life forever, you take my life"
止まらない時に潜む 愛はきっと降り注ぐ雨のように
(こぼれ落ちた涙のあと 凍えそうな涙の色)
戻れない記憶巡る 全て奪われたこの世の果てに
≪truth 歌詞より抜粋≫
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この楽曲はサビに当たる部分以外、歌詞が重なるように歌われていることに特徴がある。
これは、大野智扮する主人公の気持ちをよく表していると言っていい。
例えば、最初の英詩を直訳すると、次のようになる。
「あなたは私の人生を永遠に奪ったから、私はあなたの人生を永遠に奪う」
英語なので何気なくスルーしてしまいそうになるが、理解できると結構怖い。
サブパートで歌っている当たりから隠している復讐心が伝わってくるし、表と裏の顔を持つ主人公の二面性がはっきりとわかる。
しかし、同じ歌い方をしていながら印象が変わるのが「truth」の面白いところ。復讐に躊躇いのないはずの主人公の気持ちに、変化が訪れるからだ。
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白く染まる花にひとリ 何も変わることなく誓う
"I take your life forever, you take my life"
≪truth 歌詞より抜粋≫
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パート分けすることで前半は、復讐心を掻き立てる内容だったのに対し、後半に入ると2つの気持ちがせめぎ合うように歌われている。主人公に、大切にしたいと想う人ができたからだ。
何としてでも復讐を遂げたい気持ちと、相手を求めてしまう気持ち。復讐者と普通の人としての主人公が、ここにはいる。
隠された主人公の内面を歌い上げた『truth』。
果たして、彼は復讐を遂行するだけの『魔王』でしかなかったのか?怖ろしさの向こうに眠る、彼の本心。
貴方はこの曲を、怖い歌だと思いますか?
TEXT 空屋まひろ