王道ヒロイック・ファンタジー漫画
現在少年マガジンで連載中の「七つの大罪」。王道のヒロイック・ファンタジーに胸が熱くなりますね。
主観を思いっきり交えて語りますが、いやー、ほんっと良い作品です。
本作の作家、鈴木央(すずきなかば)さんは、もともと週刊少年ジャンプで連載作品を持っていたかたでした。それだけに王道バトル漫画の押さえるべきところをしっかり押さえています。
世のファンタジーバトルもの好きが熱狂するのもうなずけます。見たことないよ!ってかたのために、簡単にあらすじをご紹介します。
「七つの大罪」とは?
かつて王国転覆をはかったとされる伝説の逆賊・<七つの大罪>。今もなお執拗に、そのお尋ね者を追うは、王国の要、一騎当千の聖騎士たち。しかし、切なる想いを胸に秘め、<七つの大罪>を捜す一人の少女が現れた時、世界の様相を一変させるとびきりの冒険が始まった!
痛快無比のヒロイック・ファンタジー、開幕!!
(引用元:オフィシャルHPより)
その人気ぶりから考えれば当然かもしれませんが、昨年末から今年3月まではアニメも放送されました。
人気アニメを支えた主題歌
さて、そのアニメ版を大いに盛り上げていたのが主題歌。オープニングはなんといきものがかりでした。
楽曲は『熱情のスペクトラム』。「熱情」というワードからして既にアツい!この曲、音楽自体も大変素晴らしいのですが、歌詞もまた大絶賛したくなるほどのものでした。
まず始まりから。
サビから始まるタイプの楽曲で、否応なしに印象的なリフレインが耳に残ります。
熱情のスペクトラム
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鳴りやまぬ 愛をさけぶよ すべてを抱いて ここにいるんだ
ひかりはそこにあるよ
ゆずれない 想いを架けて 希望の果てを 僕は生きるよ
夢をつないだ 君と
≪熱情のスペクトラム 歌詞より抜粋≫
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王国中の民への溢れんばかりの愛を抱えて闘うことを決めた王女エリザベスの想いが見事に表現された素晴らしいリフレインです。
「夢をつないだ君」はまさにエリザベスと、主人公メリオダスのことでしょう。
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新時代をいつか僕らの手で生み出すんだよ
優しい君の声もきっと世界を変えられる
≪熱情のスペクトラム 歌詞より抜粋≫
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次に、これはメリオダスの視点でしょう。一人称が「僕」なのはボーカル吉岡聖恵さんに「俺」とは言わせられないしこれで自然ですね(笑)
作中、エリザベスはよく泣きますし、よく叫びます。想いを訴えようと。そしてその声で人々が動くシーンもあります。作詞をした水野良樹さんは原作を読みこんでいることがうかがえる一節ですね。
ここまででも十分素晴らしいのですが、最も素晴らしいのはブリッジの部分です。
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悲しみに負けたくないんだよ 怒りに打ち克ちたいんだよ
揺らぐ脆さも向き合って越えたいんだ
だから僕は君に言うんだ たとえ誰かが笑おうとも
ともに生きるその声を守り続ける
≪熱情のスペクトラム 歌詞より抜粋≫
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よく泣くエリザベス、そして怒りをきっかけに内なる自分に意識を乗っ取られて暴走してしまうメリオダス。この二人のことがこの一節の中に詰まっています。
原作をよく知る人ほどグッとくる部分でしょう。
そして、この世界を守る存在である聖騎士を総て敵に回してでもエリザベスを守るというメリオダスのことが表現されています。
物語としっかりとリンクした歌詞
アニソンとひとくちに言っても、アニメの内容とほとんど無関係な歌詞を書くアーティストも中にはいます。そんな中いきものがかりの『熱情のスペクトラム』の歌詞とアニメの内容のリンクの仕方は完ぺきで、勤勉な作詞を水野さんが心がけたことがうかがえます。
本来、いきものがかりの歌詞は、特定のイメージを聞き手に持たせないことをコンセプトにしています。
そんな中、これだけアニメのイメージを明確に聞き手に与える歌詞を書いたことは、少なくとも近作では異例と言えるでしょう。
今後イベントの開催だけでなく、いきものがかりのライブでも演奏されるであろう『熱情のスペクトラム』。歌詞の内容も踏まえて聞くとより一層曲の良さがわかることと思います。
TEXT:杉原潤