春が来る前に聞いて欲しい『orion』
幾分か日中は過ごし易くなりましたが、まだまだ夜になると寒い日が多いですよね。
春はもう少し先なのかもしれないですね。冬は寒いから嫌だーと下ばかり向いて歩かず、今日は空を見上げて歩いてみませんか?
夜空には美しい星が輝いていますよ。そこで暖かい春が来る前にぜひ聞いて欲しい一曲があります。それが米津玄師の『orion』です。
音楽で冬と夜を感じた
orion
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あなたの指がその胸がその瞳が
眩しくて少し眩暈がする夜もある
それは不意に落ちてきて あまりにも暖かくて
飲み込んだ七色の星
弾ける火花みたいに ぎゅっと僕を困らせた
それでまだ歩いてゆけること 教わったんだ
≪orion 歌詞より抜粋≫
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イントロを初めて聞いた時、背筋がぞくぞくってしました。音楽で冬と夜を感じる事が出来るんだって初めて思ったんです。
好きになった人ってその全てが愛おしいです。指先さえ眩しく見えるって、分かりますよね?女性なら分かるはず。
男性のすっと綺麗な指先に見入ってしまったことないですか?そして出会いも流れ星のように一瞬の出来事。不意に落ちてきて、いつも私達は迷ってしまう。
出会いは待ち構えていても見当たらない事が多くて、ちょっと目を離した瞬間に通り過ぎてしまう。ここでは「オリオン」と書かずに「七色の星」となっていますね。
女性が聴いても共感できる
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神様どうか声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから
もう二度と 離れないように
あなたと二人 あの星座のように
結んで欲しくて
≪orion 歌詞より抜粋≫
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米津玄師さんのファンって女性が多いと思うんですよね。だってこの曲、男性目線の歌なんですが、女性の私が聞いていても、あぁ、そうなんだよ、分かる分かるってフレーズが多いから。ここに出てくる「僕」は「私」であっても何の違和感もないですよね。
もっと言えば米津玄師さんの歌に出てくる二人は、いつもすれ違ってばかり。
対極にいて、磁石の同極のように、くっつきそうでくっつかない。そんな歌が多いんですよ。ラブソングとも言えない、失恋ソングとも言えない、この曖昧なグレーゾーンを歌に出来るのって、やっぱり米津玄師さんです。
なぜ、「orion」なの?
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夢の中でさえどうも上手じゃない心具合
気にしないでって嘆いたこと 泣いていたこと
解れた袖の糸を引っぱって ふっと星座を作ってみたんだ
お互いの指を星として
それは酷くでたらめで 僕ら笑いあえたんだ
そこにあなたがいてくれたなら それでいいんだ
≪orion 歌詞より抜粋≫
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沢山ある星座の中でどうして「orion」がタイトルになったのかなぁって。
オリオン座って空を見上げると結構簡単に見つかります。おっきくて、吸い込まれそう。好きな人もそうですよね。存在全てが大きくて、どんな人混みにいようともすぐ見つける事が出来る。ギリシャ神話のオリオンも、月の女神アルテミスと恋仲にあったけれども、結ばれなかった。
でも冬にはオリオン座の横を月が通りすぎるんです。
きっとお互いが、「そこにあなたがいてくれたらそれでいいんだ」と言っているような。星座達はいつでも私達を眺めていて、今この瞬間のもどかしい誰かの気持ちに、そっと寄り添ってくれている、そんな気がします。
TEXT 石川艶香