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なぜアンチが出ないのか。改めて知っておきたいLOVE PSYCHEDELICOという邦楽と洋楽の完全融合体。

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LOVE PSYCHEDELICOはKUMIとNAOKIの二人からなるユニットである。1997年に青山学院大の音楽サークルで結成された。メディアへの露出は少なく、楽曲制作とライブを中心に活動している。LOVE PSYCHEDELICOといえば、70年代のブリティッシュロックバンドを彷彿とさせる飾り気のないバンドサウンドに、ボーカルのKUMIのネイティヴな英語を織り交ぜた独特の歌詞が特徴だ。

公開日:2017年7月8日 更新日:2020年4月25日

Column

Mary


日本では、このような洋楽からのインスピレーションを強く受けているバンドは風当たりが強い。それは、日本の文化に根付いた海外への劣等感が原因だ。昨今、海外での実績をあげている日本のバンドも増えてきている。グラミー賞受賞、そしてロックの殿堂入りを果たしたB’z, 全英チャート1位を獲得したX JAPAN、マディソンスクエアガーデンでの単独公演を果たしたL’Arc〜en〜Ciel、海外ツアーを精力的に行うONE OK ROCKなどが挙げられる。

これらのバンドに共通するのは「スキルの高さ」「カリスマ性」、そしてなにより「洋楽と邦楽の融合」だ。本来、破壊や権力への反発の象徴だったロックに応援メッセージを込めたり、歌謡曲のエッセンスを入れたり、ベタなラブバラードを歌ったり、いわば日本の大衆に受け入れられやすい要素をうまく練りこんで昇華したのだ。

そしてそこに確かなスキルを裏打ちする事で玄人にも好まれ、ロックに馴染みのない人にも浸透した。しかし、インターネットの普及により簡単に海外との比較が出来てしまう現代。誰にでも海外基準の物差しが手に取れるところにあるがゆえ、少しでもその洋楽とJポップの配合バランスがズレているとすぐさま洋楽ファンに苦言を呈されてしまう。

例えば、B’zですら「洋楽のパクリだ」と揶揄される事が多い。ギタリストの松本孝弘もこの手の意見には辟易しているようで、「聞く側のセンスの問題」と言っている。全編英詞の曲を書いてみれば「発音が悪い」などと他でもない日本人から言われてしまう始末だ。ただありきたりな日本語にロックをくっつけただけでは劣化版と言われ、真似をすればパクリと言われる。日本でロックバンドが受け入れられるには洋楽と邦楽の絶妙なハイブリッド感が重要な要素なのだ。


そのハイブリッド感で言えば、LOVE PSYCHEDELICOは群を抜いている。1stアルバムが160万枚以上を売り上げ、商業的にも成功しながらアンチが出ないLOVE PSYCHEDELICOの魅力を今一度知るべく、2000年に発表されたシングル「Last Smile」を例にしてその魅力をひとつずつ紐解く。


胸の中 腕の中 悲しみは 君とmelt away
夢で逢えたって 一人泣いたって
君はchange your way 響かない 届かない

(中略)
運命線からother way それから憂いてる風ともget away
放たれたくとも君は目の前でlast smile



まず、英語と日本語の共存が実にうまくなされているところに注目したい。日本人が書く英詞は得てして野暮ったくなりがちだ。その原因は「日本語で考えた歌詞を英訳する」という行程にある。英語に存在しない日本語もあり、逆もまた然り。それを余すところなく言葉に置き換えようとするとバランスの悪い、なんともとってつけたような英文になってしまう。本来の意図を伝えようとするがあまり、英文特有の言葉の韻やリズムが崩れてしまうのだ。

その点では帰国子女であるボーカルのKUMIの力量がモノを言う。全体的に暗めの曲調の中、文末に英単語を入れる事ですっと空気を抜いており、重くなりすぎない。そしてその多くが「way」という音で終わる。これは歌詞の中の「運命」「憂い」と言った単語、また「夢で逢えたって 一人泣いたって」と末尾を母音の「え」で終わるところの韻を踏んでいる。日本語と英語のリズムの違いを、同じ音で揃えて調整している。それにより、実に違和感なく相反する二つの言語が共存している。

なんとなく聞いただけでは日本語か英語か、日本人か外人か、なんだこれ?と思ってしまうリスナーもいたのではないだろうか。ラジオで問い合わせが殺到したのもうなずける。


I wish we could see the light of heaven
いっそ天の光で照らしてほしい
I don’t know the color of sea, but there’s no reason
海はどんな色をしてたっけ なぜか思い出せないよ



海の色がわからないのは大事な人が離れていく悲しみのせいだ。色鮮やかだった世界が色をなくしていく様子を物語っている。ここは歌詞の中でも感情が特に表に出ている部分だが、そこをあえて全て英文で書いている。短くシンプルだが、切ない想いが詰まっている箇所だ。さもKUMIが灰色の海を見ながら独り言のように呟いているような映像が浮かぶ。

この短いフレーズでエキゾチックな情景を描き出せるのは、幼少期をサンフランシスコで過ごしたKUMIならでは。日本人にはない発想から生まれる表現は、日本人が持つ海外アーティストへの劣等感を消している。

こうした歌詞の独特の世界観は、古き良きロックンロールを踏襲したアレンジが土台にあればこそだ。気をてらわず、素直にビートルズなどオールドスクールの要素をふんだんに盛り込むことで洋楽ロックの様式美が保たれ、コアなファンの反感を買わない。そしてKUMIの帰国子女ならではのネイティヴ発音、そしてパワフルかつ適度に力の抜けたボーカルが、「洋楽の二番煎じ」になることを防いでいる。しかし、あくまで歌詞の大部分を占めているのは日本語だ。LOVE PSYCHEDELICOは日本のバンドであることは揺るぎない事実なのだ。

日本のロックファンが渇望する世界基準の和製バンドとしてこれ以上の適役はいない。まさにLOVE PSYCHEDELICOは完璧な洋楽と邦楽のハイブリッドバンドなのだ。今年結成20周年を迎える彼らからますます目が離せない。

KUMIとNAOKIにより1997年結成。 2000年4月21日、シングル『LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~』でデビュー。 2001年1月に発表された1stアルバム『THE GREATEST HITS』は200万枚、翌年2002年1月に発表された「LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA」も100万枚を超え、2作連続ミリオンとなる驚異的なセ···

この特集へのレビュー

男性

センちゃん

2020/04/25 18:45

calling youとKISSのI was made for lovin'youがサビの部分で酷似してる気がします。気のせい?

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