楽曲の持つ圧倒的なキャッチーさ
――まずは、『わたしを旅行につれてって』を聴いたときに感じた想いから聴かせてください。
寺嶋由芙(以下、由芙):「80年代」「(松田)聖子ちゃーん!!」と思いました。今回の楽曲はコンペで選ばせていただいたんですけど。候補曲が全部で105曲集まった中、私も選曲に参加し全部聴かせていただきました。「今回は夏をテーマに」など、事前にスタッフさんたちとは狙いや意識面を共有して選曲をスタート。この楽曲の持つ圧倒的なキャッチーさへみんな惹かれ、「これでいこう!!」と決まりました。
私自身、選曲にまで参加したことで「私は、こういう曲調が好きなんだ」というのを改めて感じられたし、同じ夏をテーマにしても、いろんな表情が生まれることを知り、凄いなと勉強になりました。
――他にも、気になる曲たちはあったわけだ。
由芙:ありましたー!!。「次のアルバムに入れたいね」とか「ライブで歌いたいね」など、どのタイミングで実際に楽曲にできるのかはわからないですけど、「何時かは歌いたいな」と思う素敵な曲はいっぱいありました。
プライベートでもゆるキャラは持っていきます
――『わたしを旅行につれてって』の何が素敵って、歌詞に出てくる清楚な女の子の心模様なんです。
由芙:歌詞に出てくる女の子は、もうビックリするくらいに可愛いくて、歌ってても嬉しくなります。歌詞を書いてくださったいしわたり淳治さんには「夏のドキドキする感じをテーマに」とお伝えしたんですけど。けっしてメロディー数の多くない楽曲にも関わらず、これだけドラマを感じさせる言葉をはめてくださったのはありがたいなと思います。歌詞を読んだだけで、この女の子の気持ちや物語をつかめるのも、さすがいしわたりさんだなと思いました。
――男性なのに、ここまで乙女心を理解していますからね。
由芙:そこが不思議ですけど、素敵ですよねぇ。
――彼氏に旅行へ誘われた彼女は、いろいろ心配するあまり、あれこれたくさん旅行鞄へ詰め込んでしまいます。女性の場合、好きだったり気になる人から誘いをかけられたら、余計なことを考えては、心配のあまり荷物を増やしてしまうものなのでしょうか?
由芙:きっと、そうなると思います。私自身も、普段から荷物は多いほう。やっぱり、いろいろ心配になっちゃいます。
――そんなに多いんですか?
由芙:私の場合はですが、ライブ用の衣装や化粧品、目的地によっては、その土地のゆるキャラのキャラクターやぬいぐるみを絶対に持っていくように、何時も大荷物です。そのぶん、着替えを含め私服に関しては畳んでも皺にならず、しかも薄くなることを基準に選んでいます。なので、荷物としてかさぶるフワフワのスカートなど乙女はちょっと封印。そのぶん、ゆるキャラを増やしたりなど、私の場合そちらのほうを大切に優先しています。
――さすがにプライベートとなると、荷物は少なめになります?
由芙:いえ、今年のゴールデンウィークに家族旅行で大分県に行ったんですね。目的は、湯布の"ゆーふー"くんをと、ハーモニーランドというサンリオキャラクターのテーマパークへ行くためでした。うちの家族はみんなゆるキャラ好き。だから旅行鞄には、ゆーふーくんのグッズと大分のゆるキャラのグッズやサンリオのキャラクターグッズを持っていったので、けっこう荷物は多かったです。
――それ、仕事ではなくて…。
由芙:プライベートです。プライベートでも、ゆるキャラなどは持っていきます(笑)。だって、現地でキャラクターたちと会ったときに、「私も好きで持ってます」と言うと喜んでくれるじゃないですか。その喜んでくれる様を見たくて持っていっちゃいますね。
「持たなくちゃ」も大事なポイント
――話は戻りますが、『わたしを旅行につれてって』に出てくる女の子は、本当にいろんな備品を用意しては持っていきますよね。
由芙:きっとパジャマや傘も旅先のホテルや旅館にあると思うんですけど、それでも私も持っていくように、その気持ちはわかります。
――主人公の女の子はノーメイクの素顔を見られることにドキドキしています。女性の場合はみんなそうなのかな!?と、男としては想像してしまいます。
由芙 ドキドキすると思います。でも私、素顔よりも寝顔を見られるほうが嫌ですね。すっぴんもなかなか緊張しますけど、寝顔って自分でコントロール出来ないじゃないですか。変な寝言をつぶやいてたりしたら、それも恥ずかしいですからね。
――寺嶋さんは、移動中も起きてる人?
由芙:私、1回スイッチが切れちゃうと戻ってくるまで時間のかかる人だから、なるべく起きています。それにtwitterをしていると一瞬だから、移動もそんな苦じゃないかな!?。
――『わたしを旅行につれてって』の歌詞の中、寺嶋さんがお気に入りの部分も教えてください。
由芙:二番に出てくる「大事なぬいぐるみも」の部分です。そこの歌詞は、私が実際に各地のゆるキャラなどのぬいぐるみを持って移動しているのをわかったうえで書いていただいた部分なんです。私のことをよく知ってるヲタク(ファン)の人たちなら、ちょっとクスッとしてもらえるんじゃないかと思います。
――歌詞には「持ってく」じゃなくて「持たなくちゃ」と書いてるように、そこは使命感みたいなものなんでしょうね。
由芙:そう、使命感なんです。その「持たなくちゃ」も大事なポイントだと思っています。
夏ソングってアイドルとしては大事
――今回のシングルは、どの歌も「夏」をテーマに作りかったのでしょうか?
由芙:そうです。夏に出す作品だからこそ、夏らしさをすごく大切にした3曲になりました。しかも、いろんな夏を詰め込めて良かったなと思っています。
私、ソロアイドルとして活動を始めて今年で3回目の夏を迎えます。夏ソングってアイドルとしては大事じゃないですか。夏の曲を聞くことで、その子のやりたいこともわかれば、聞いててテンションも上がるように、すごく大事だなと私は思っています。
私の場合、活動を始めてからこれまで、「まずは持ち歌を増やさなきゃ」「ワンマンライブを自分の歌だけで出来るまで曲を作ってかなきゃ」というところから始めたから、季節感を大事にするよりも、何時でも楽しく歌える楽曲がまずは大事でした。
――なるほどー。
由芙:寺嶋由芙という存在を知ってもらうためにも、最初の頃は「夏しか歌えない」「クリスマスにしか歌えない」という遊び心を発揮出来る歌よりも、何時の季節でも歌える楽曲を作ることを最優先してきました。でもようやく、遊び心を持ったことも出来るようになったのを嬉しく思っています。中でも、『夏'n ON-DO』という音頭の歌は夏にしか歌えない、夏祭りで歌いたい曲だと思っています。
――確かに『夏'n ON-DO』を冬には歌えないもんなぁ。
由芙:でも逆に、飛び道具として冬に歌うのも面白いかも知れないです。そこは、上手く使っていきたいなぁと思います。
――完成した『わたしを旅行につれてって』、今の寺嶋さんにとってどんな手応えを持った楽曲として仕上がりましたか?
由芙:まさに、旅行の準備をしながら聞いて欲しい歌です。もちろん旅行中にも聞いて欲しいし、ちょっと遠出をするときや、あれこれ準備をするときに聞いてると、その準備が楽しくなれるからいいなと思います。
――『わたしを旅行につれてって』は、80年代歌謡曲が好きな人にもフィットしそうですよね。
由芙:当時のアイドル歌謡曲が好きな人は好きそうな曲調だと思います。
その一体感は素晴らしいなと思っています
――80年代歌謡曲といえば、今回、早見優さんの歌った『夏色のナンシー』もカバーしています。
由芙:私は今、『ロート製薬「スキンアクア」』のCMの中で『夏色のナンシー』の替え歌を披露しています。そのご縁がきっかけとなって、シングルでもカバーさせていただくことになりました。まさに、今回のシングルが「夏」をテーマにしているからピッタリだし、表題曲の『わたしを旅行につれてって』が80年代歌謡テイストを持った楽曲ですから、曲調は異なるけど、同じ80年代テイストの歌ということでカバー出来たことは嬉しかったです。
――すでにライブでも披露しているんですよね。
由芙:はい。うちのヲタクたちみんなが♪恋かな♪♪YES!!♪と掛け合いしてくれてるように、その一体感は素晴らしいなと思っています。
――寺嶋さん自身、カバー曲を歌うことへ新鮮さを感じてました?
由芙:私、過去には岡村靖幸さんやシーナ&ザ・ロケッツさんなどアーティストの方々の楽曲をカバーさせていただいた経験はあるんですけど、アイドルさんの曲をカバーするのは初めてなんです。だから新鮮さよりも、歌うときは緊張のほうが先に来てました。