深い喪失感の中で光を与える曲
大切な人が、突然目の前から去ってしまったとき。大きな喪失感と、言いようのない不安に、気持ちが揺らいでしまいます。
眠れない夜を過ごし、日々に支障がでてしまうなんてことも。
そんな、どうしたらいいのか分からなくなっているときに、こんな曲があれば、少しは心も落ち着くのではないでしょうか。くるりの『Jubilee』という曲です。
Jubilee
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そう 行かなくちゃ
このバスに乗れば 間に合うはず
外はまだまだ灰色の空
くすんだ窓に指で描いた花びら
≪Jubilee 歌詞より抜粋≫
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あなたは今、バスに乗って、「新しい場所」に行くところ。「このバスに乗れば 間に合うはず」。そう思っています。
なにに間に合うのかと言えば、それは具体的な到着時間のことなのかもしれないし、夢を叶える道を進んでいくのに間に合う、だったり、新しいスタートを切るのに間に合う、だったり。
人生のポイントごとの時間に間に合わせようとする気持ちと捉えることができます。
お別れはとても悲しいものですが、大切な人と別れたあと、あなたはもう、歩き出しているのです。新しい道に。
外はまだ灰色の空で、気持ちのよい道程とは言えないかもしれないけれど、とにかく歩いていきます。
あなたの進む道を照らす
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失ってしまったものは
いつの間にか 地図になって
新しい場所へ 誘ってゆく
≪Jubilee 歌詞より抜粋≫
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その道の途中で、以前、別れてしまった人とのことが、思い出されることもあるでしょう。
その人と話したこと、その人と過ごしたうちにわかった自分のこと。そんなひとつひとつが地図になって、あなたの進む道を照らします。
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Jubilee
歓びとは 誰かが去るかなしみを
胸に抱きながらあふれた
一粒の雫なんだろう
≪Jubilee 歌詞より抜粋≫
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ジュビリーとは、「歓び」という意味。
なんでお別れが歓びなのか、その頃にはあなたにもわかっているはずです。悲しいお別れをして、しばらく時間が経った後。ふとあなたの胸によぎる、楽しかった宝物のような思い出。
それは、あなたが得た歓びに他ならないからです。
別れをどうにか乗り越えた先に
くるりというバンドは、京都の大学の音楽サークルから結成されたバンドで、もうデビューして20年ほどになります。
ボーカルの岸田繁の紡ぐ歌詞は、とても詩的で文学的。今回紹介した曲も、特別きらびやかな言葉が並んでいるわけではないのに、すごく綺麗な歌詞といえるでしょう。
「チオビタ」のCMソングとして、聞き覚えがある人もいるかもしれませんね。
タイトルに書いておいてなんですが、「上手なお別れの仕方」なんてものはありません。誰にだって、どんな別れでも悲しいからです。でも、このコラムが、悲しいお別れをしたあなたの、ひとつの道筋になれたら。
あなたには、別れをどうにか乗り越えた先に、幸せがあるということを忘れないで欲しい。
大切な人と別れた少し後にこの曲を聴くことによって、救われる人がいるであろうことを、私は信じてやみません。
TEXT 毛布