2015年上半期で外せない1曲
2015年上半期も終了し、音楽ブロガー達がこぞって上半期のベストを発表している。また、各種販売店・販売サイトでも上半期の売上ベスト発表などが発表されている。
上半期にリリースされた様々な楽曲の中で、皆さんは何が一番お気に入りだっただろうか?
手前味噌ではあるが筆者も上半期ベストを選んだ。その中で、この曲だけは外せないと思ったものがあった。れが今回取り上げる『もんだいガール』。きゃりーぱみゅぱみゅが今年初頭にリリースした新曲だ。
この曲の何が外せないか。答えは単純明快だ。『もんだいガール』はかっこいいのだ。
今までの曲とは少し違う『もんだいガール』
最近のシングル、『もったいないとらんど』『ゆめのはじまりんりん』『ファミリーパーティー』この3曲と新曲は方向性が全く違う。
どう違うか。きゃりーはインタビューで『もんだいガール』についてこのように語っている。
「これまでにない、かっこいいサウンドと、攻撃的な歌詞」「これまでのファンタジーでラブリーな曲とは違い、かっこいい尖った感じ」
2013年からのシングル3曲はファンタジックで可愛らしいタイプだった。音楽的にも、歌詞の面でも真逆と言ってよいほどだ。
サウンド面では『ファッションモンスター』を思い出す尖った印象がある。今回はロックをイメージしたというわけではないだろうが、ストレートな展開とポップなだけではないメロディが胸に刺さる。
歌詞の面でも『ファッションモンスター』のイメージと重なる。
もんだいガール
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あたし もんだいガール
退屈したくないわいわ
キミも もんだいがある
普通になんてなれないでしょ
あたし もんだいガール?
まともがまともを求めるの?
あたしは もんだいガール
もんだいガール もんだいガール
≪もんだいガール 歌詞より抜粋≫
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曲タイトルをこれでもかとシンプルに繰り返すサビは言いようもなく強力だ。字数も展開もごくシンプルな歌詞ゆえにそこに乗るメロディもパワフルに響く。
テクノポップを基調としながらもロックのような力強さを感じるあたりはまさに『ファッションモンスター』的だ。「もんだいガール」と「もんだいがある」と発音で似た言い回しの連用もきゃりーの楽曲には定番。
しかし近作では影をひそめていただけに、この感覚を懐かしく思う向きもあるだろう。
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答えるただリクエストに そんなおりこうになれない
じゃまするやつらにキラキラ メイクアップしたいやいやい
≪もんだいガール 歌詞より抜粋≫
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この部分は中でも特に注目したい。
「い」の音で総て韻を踏んでいる中で、三つ目のフレーズだけ韻から外れている。しかし、その中でも「ら」で韻を踏んでいる。
こういった部分にリズミカルさというか、きゃりーの楽曲のテクノらしさがある。
歌詞に意味があるようで実のところそんなに意味がない。音の質感を重視した言葉選び。ここがファンの求めているきゃりーらしさであると言えるだろう。
「攻撃的」とはまさにこのこと
この部分の歌詞が攻撃的であるのはきゃりーの発言の通り。「やつら」だとか「そんなにおりこうになれない」なんて前のシングル3曲でのきゃりーの方向性には考えられなかった表現だ。
『ファミリーパーティー』は家族の絆をテーマにしたアニメ映画「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」のテーマ曲だった。登場人物であるひろし(しんちゃんの父親)を題材にしたであろうメッセージ性と物語性を重視した歌詞には攻撃的な言葉など入れられようはずもない。
その前の2曲にしてもファンタジックで夢の世界のような歌詞だった。
『もんだいガール』のような歌詞を入れていたら、それこそ「大問題」になっていたことだろう。普通のJ-POPに入れたら問題になりそうな歌詞をさらりといれる大問題な『もんだいガール』。
「普通になんてなれないでしょ」とは、まさにこの曲自身のことを言っているのかもしれない。
個性を確立させた彼女に敵なし!
J-POPの中でも特異な立ち位置を確保しているきゃりーぱみゅぱみゅ。
筆者のような音楽オタクにも受けが良いのはこうしてサウンドにも歌詞にもギミックがたくさんあるからだ。
上半期この曲をチェック漏れしてしまった人は是非この機会に聞いてみてほしい。
TEXT:杉原潤
993年1月29日生まれ 東京都出身 / アーティスト 2011年夏、中田ヤスタカ(CAPSULE)プロデュースによるミニアルバム「もしもし原宿」でメジャーデビュー。2012年5月にリリースした初のフルアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」は、オリコンデイリーチャート初登場1位、さらにiTunesでも···