逆境を力に変えて出来た人気番組
ある時、ネット上にてこんな陰口があった。
“Kis-My-Ft2ってブサイクじゃない?”
そんな陰口を知ってしまったKis-My-Ft2メンバー達は、もちろんショックを隠せない。しかし、話はそれで終わらなかった。
《だったら、誰もが認めるカッコイイ男になってやろうじゃないか!》
そうして始まった「キスマイBUSAIKU!?」は、脱ブサイクを本気で目指す彼らが男らしさを磨く番組。
放送中はTwitterなどのSNSも盛り上がり、気付けば2012年に特別番組で放送された時から早3年と、息の長い番組となりつつある。拡大スペシャルの際には、サプライズゲストとして彼らの大先輩に当たる中居正広が登場している。
番組内で結成された「舞祭組」
紹介する舞祭組は、まさにこのスペシャル放送時に生まれた新ユニットで、グループ名の「ブサイク」は中居が命名したもの。後にジャニーズ事務所社長であるジャニー喜多川が、漢字を当て「舞祭組」となった。メンバーはキスマイで後ろのポジションに当たる、横尾渉・宮田俊哉・二階堂高嗣・千賀健永の4人。結成理由は、映画やドラマに出演などソロの仕事もこなす残りの3人に比べて、全く注目されていない所から。
ジャニーズなのに、ブサイク。
こうしてデビューした彼らの初シングル『棚からぼたもち』は、全て中居のプロデュース。作詞・作曲になかいさんが加わって制作された楽曲は、ブサイクを隠す事なくさらけ出している。一体、ジャニーズとしてのカッコよさはどこに?
棚からぼたもち
----------------(中略)
舞祭組 舞祭組 ole
舞祭組 舞祭組 オレ?
舞祭組 舞祭組 ole
舞祭組 舞祭組 オレ?
≪棚からぼたもち 歌詞より抜粋≫
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僕たち四人で大丈夫なのか?
たしかに輝きは、ない(ない!)ない(ない!)ない(ない!ない!ない!ない!)
いきなり注目厳しいかな
ところで自信も、ない(ない!)ない(ない!)ない(ない!ない!ない!ない!)
お家には家族 地元に友達いるのに 堂々胸張って帰れないなんで
「くじけねーぞ」
≪棚からぼたもち 歌詞より抜粋≫
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「ジャニーズの歴史にない曲調」とメンバーの1人である二階堂はコメントしたそうだが、聴くからに曲調だけではない。
“俺達4人で大丈夫なのか?”
大丈夫なのか?ではなく、やるんだろ!とツッコミたくなる出だし。自信が「ない!」と断言する力強さに加わる合いの手…脱ブサイクの精神はどこへ?
だからと言って、彼らが謙虚なのかと言えばそうでもない。サビ部分ではユニットに参加していない玉森・藤ヶ谷・北村の名前を取って、合いの手として使用している。そうしてやっと、彼らは3人の後ろから前に出られたのかもしれない。
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トークの時間は(ガヤガヤガヤガヤ) オレらの時代が(キタキタキタキタ)
こんな企画もほんとたまたま(ガヤ、キタ、タマタマタマタマ)
≪棚からぼたもち 歌詞より抜粋≫
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そんな隠れた優越感を味わうだけでは飽き足らなかったのか、PVにもこの3人を登場させている。ここまでいくと、使えるものは使ってしまおうという魂胆が見え見え。
彼らが舞祭組と名付けられた理由には外見からというよりも、こうした内面からきている事がよくわかる。
潔さもまた、男の美学。
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だから僕ら結局棚からぼたもち(ガヤ、キタ、タマタマタマタマ)
≪棚からぼたもち 歌詞より抜粋≫
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そりゃそうだよ、としか言いようがない。しかし、ここまで包み隠さず心の内を出すというのも簡単にできるものではない。潔さと取れば、それもまた1つの美学。気持ちの良いカッコよさ、とも取れる。
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でも俺らいないとお前ら輝けない
≪棚からぼたもち 歌詞より抜粋≫
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少なくとも、こんな事を言っているうちは気付くのに時間はかかるだろうが…。彼らのブサイク脱却は、そう遠くはないはずだ。
それまでもう少し、自分だけが知っているカッコよさを満喫するのも悪くない。
TEXT:空屋まひろ