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「抱きしめたい」は「殺伐としたジャングルの中」で作られた歌だった

1996年にデビュー、2002年に活動停止とどちらかといえば短いスパンでの音楽活動であったにも関わらず、その中でも心に残る新しい形の楽曲を発信していたユニットがいた。「Jungle Smile」。ボーカルの高木郁乃と、作曲編曲を行なっていた吉田ゐさおの2人組である。有名な曲に「片思い」があり、1997年全日本有線放送大賞新人賞を受賞している。

EXILEの妹分ユニット Love がカバーした曲

またEXILEの妹分ユニット「Love」がカバーしたこちらの方は43回日本有線大賞で新人賞を受賞している。彼女達の歌はどれも大人になる前の比較的若い世代に向けられた歌詞が多いのだが、その中でも今だ印象に残る一曲がある。それは、Jungle Smileの「抱きしめたい」だ。

抱きしめたい 歌詞



――――
大嫌い
あなたいつも笑っていて
強くてかわいくて人気者で
大嫌い私 グズでのろまで
誰にも必要とされてない…

頭もよくていつも隙がなくて
私などきっと馬鹿にされてる
本当は話し掛けてみたくて
友達になりたいと思ってて
――――

思春期を表現した歌詞

いきなりマイナスな感情から始まる歌詞。マイナス以外の何物でもない。自分の事が嫌いで嫌いで仕方がない。元々若い世代に向けた歌詞が多いとは言ったが、その中でも断トツに思春期を表現した歌ではないだろうか。

作詞はボーカルの高木郁乃となっているが、勝手なイメージではあるが、「いつも笑っていて、強くてかわいくて人気者」は彼女のイメージにぴったりなのである。ショートカットが似合っていて笑顔が可愛くて、とんでもないが彼女自身が自分を嫌いというなんて信じられないのだ。いや、もしかしたら嫌いだった自分を乗り越えてこその彼女の笑顔だったのかもしれない。

――――
うらやましく思ってたあなたが
ひとり肩震わせて泣いていたよ

ねぇあなたもひとり怯えてるの?
みんな惨めで弱いのかな
もっと勇気があったなら
私あなた抱きしめてた
――――

私のための歌かも?

うらやましく思う側、うらやましく思われる側、どちらも経験した彼女だからこそ、この歌は出来上がったのかもしれない。歌手で成功し華やかに見える世界に踏み入れてはみたが、「惨めで弱い」のはみんな一緒であったことに気づく。

しかし彼女達の歌はどの歌も1番初めのフレーズから、どきっとさせられる。「片思い」に関しては「叶わない恋だと知ってても〜」と始まるのだが、こちらもパンチが強い。まさに今恋に悩む人や惜しくも玉砕してしまった人ならば、私の為の歌だと思って聞いてしまうはずだ。

――――
私もひとり怯えてるよ
ちっぽけで情けないんだよ
もっと勇気があったなら
私あなた抱きしめてた

ねぇみんな同じだけ孤独で
同じように怯えてるなら
なにも怖がることないんだね
私あなた抱きしめるよ
――――

疲れた時に、聞きたい歌なんだ

活動停止となっている今なのだが、調べてみた所特別支援学校やお寺やギャラリーや、様々な所でライブ活動をしているみたいだ。本当に彼女達らしいなと思う。この「Jungle Smile」の由来であるが、「殺伐としたジャングル(のような都会)でも、いつも笑顔でいられますように」という想いがこめられている。

同じ輪の中に入り、同じ方向を向かなくてはいけないとなりがちな今の世の中に、彼女達の歌はこれからも必要だ。

ふと疲れてしまった時、私は彼女達の歌をよく聞く。「なにも怖がることはないんだよ」と、そっと寄り添い抱きしめてくれるから。

TEXT:石川艶香

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