向井秀徳がフロントマンを務めるNUMBER GIRLは文学性の強い歌詞と、日本刀を振り下ろしたかのような鋭利なギターサウンドが特徴の今でも根強い支持者がいるバンドだ。SUPERCARのノイジーだけどどこか哀愁の漂うメロディは、それまで洋楽至上主義を唱えていたキッズ達をも虜にした。そんなバンド達がいなくなったシーンには物足りなさがあった。BUMP OF CHICKEN、RADWIMPSでは到底満足できなかった。
アジカンを初めて聞いた時の衝撃
そんな00年代前半ASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドがデビューした。メジャーデビューシングル「未来の破片」を初めて聴いた時の衝撃は今でも覚えている。爆音のギターとヴォーカル後藤氏の絶叫、そして抽象的な歌詞はそれまで物足りなさを抱いていた空白期間の鬱憤を全て晴らしてくれた。そのASIAN KUNG-FU GENERATIONのセカンドシングル「君という花」が現在の音楽シーンにもたらした功績は大きい。
4つ打ちのドラムから入る特徴的なイントロ、その4つ打ちに重ねるオクターブギターのリフは一度聴いたら忘れられない。無骨で男臭いヴォーカルもなんとも言えないエモーショナルさを生んでいる。ちなみに「エモい、エモ」の語源はASIAN KUNG-FU GENERATIONを表現する過程で出てきたと認識している。
君という花の功績
そんな「君という花」の四つ打ち+オクターブギターのダンスビートは意識すれば耳にしない日はないだろう、というくらい今日まで定番化している。現在活躍中のROCKバンドKANA-BOON、KEYTALKなどはそれら駆使する代表格のバンドだ。アニソンやJPOPシーンなどでも多様される。では何故、現在までにそこまで浸透したのか。それは日本人が4つ打ちに古来より馴染みがあるのも関係している。
元々、4つ打ちという1小節に4分音符が4回続く「ドッダッドッダッ」というドラムリズムは、盆踊りや音頭などの祭囃子で使われる和太鼓の基本リズムに似ている。日本人なら誰もが一度は踊った事のある、老若男女問わず聴いた事のあるリズムなのだ。そしてその4つ打ちをROCKとクロスオーバーさせて00年代前半、各ロックフェスティバルで続々とダイブ禁止令が出される中「縦ノリ」という新しい楽しみ方を提案したのがASIAN KUNG-FU GENERATIONなのだ。
時代背景も重なりASIAN KUNG-FU GENERATIONの代名詞となった4つ打ちとオクターブギターのダンスビート。それを世間に認知させた「君という花」が日本ロックシーンを変えたと言っても過言ではない。
1996年結成。後藤正文(vo.g)、喜多建介(g.vo)、山田貴洋(b.vo)、伊地知 潔(dr)による4人組ロックバンド。 03年メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにてNANO-MUGEN FES.を立ち上げ、2004年からは海外アーティストも加わり会場も日本武道館、横浜アリーナと規模を拡大。 2016年にはバンド結成20···