そんななか、優しく背中をおしてくれるような隠れた名曲がメジャー1stミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」に収録されている「タイトルコールを見ていた」である。
“誰だって間違っていない”ということは分かっていても、自分ばかりが世間からのけ者にされていつまでたっても報われないような気がしてしまう。そんな時に聴いてほしい一曲だ。
忘れらんねえよの「タイトルコールを見ていた」
「流行のラーメンやに並ぶような奴らを見下して
ひとり富士そばに入る
金が足んねえってことに気づく」
さわやかな裏打ちとPOPなメロディーから始まる。それとは裏腹になんとも不器用でかっこわるいと思われる歌詞だろう。流行のラーメン屋にならんでいる人を見下してしまうほど、ひねくれている自分。
しかし、ひとりで富士そばに入ってもお金が足らないほど情けないのが現実だ。短い言葉でありながらも劣等感に覆われている状況が伝わってくる。
「分かってんだ 誰だって間違っちゃいないよ
分かってんだ 誰だって間違っちゃいないよ」
冒頭で毒をはいたような歌詞であったが、世間が悪い訳ではないことは分かっている。流行のラーメン屋に並んでいるような人たちにも悩みだってあり、自分1人が不幸なわけではないのだ。
自分がもうちょっと強くならないといけないことは十分に分かっている。なんとも胸が締め付けられるフレーズだ。
悔しさをバネに目標へ突き進む強い意志が込められた歌詞
「タイトルコールみてたら 僕の名前はなかった何をすれば あいつみたく飛べるの」
タイトルコールとはテレビや舞台などにおいて、始まりにタイトルを言ったり表示したりすることだ。この楽曲においての“タイトルコール”とは“表舞台”や“主役”といった言葉に似たものを感じる。
さえない自分はタイトルコールなんてものがほど遠く感じ、輝いている人達と比べて非常に悔しいのだ。同期や後輩が売れて行ってメディアに取り上げられている様子を見て、不安に思っていた「忘れらんねぇよ」とリンクする部分がある。
「タイトルコール見てても 僕の未来は無いよな
そりゃそうだな 僕もいつか 飛ばなきゃ」
他とくらべて“そりゃそうだな”と悟ったような歌詞だ。それでも“いつか飛ばなきゃ”と未来への希望を歌っているのだ。
1番のサビでは目立って大勢から愛されている“あいつ”への悔しい気持ちがあらわれているが、“僕も飛ばなきゃ”という表現から悔しさをバネにし目標へ近づこうという強い想いが伝わる。
孤独と向き合いながら未来へ歩み続ける
「この町で僕ら探す 僕らの未来を探す君は行くの 僕も行くよ
さよなら」
まだまだ未来へ向かって頑張ると明るい終り方だが“さよなら”と歌っている。この“さよなら”こそがこの曲のカギとなっているように思う。タイトルコールに憧れ、明日につきすすむために“孤独”はつきものだから。
今の自分を受け入れて、見えないところでも頑張り続けて行こうという「忘れらんねぇよ」のまっすぐな姿が現れたかのような楽曲である。