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いきものがかり『あなた』が教科書にも載せられる名曲である理由

90年代から続く王道のJ-POPを現代にアップデートさせる音楽性で幅広い世代から人気のアーティスト、いきものがかり。ライブにいくと、10代から60代まで支持層は想像以上に広い。

教科書にも載るほどの名曲を生み出すいきものがかり


90年代から続く王道のJ-POPを現代にアップデートさせる音楽性で幅広い世代から人気のアーティスト、「いきものがかり」。ライブにいくと、10代から60代まで支持層は想像以上に広い。

勿論、その人気の秘訣は音楽だけではない。J-POPでは歌詞の重要度がとても高い。そのど真ん中で現代J-POPの代表とでも言うべき位置にいるだけあって、歌詞の面でも隙がない。

なにせ、代表曲『ありがとう』は高校の音楽の教科書に載ってしまうほどだ。

J-POPとして定番ソングであるだけでなく学校教育の現場で使われても違和感がない曲。この件だけで見てもいきものがかりの作詞・作曲の強みが分かるというものだ。

特定のイメージを与えない曲作りを

いきものがかりの歌詞の面での強みは、インタビューでたびたび語られている通り。「特定のイメージを聞き手に押し付けないこと」これはメンバー3人に共通している歌詞の暗黙のルールのようなものだ。

「聞き手が自由に曲を受け取れるようにしたい」とはギターの水野さんの言葉。自分を当てはめながら自由に解釈できる間口の広さが魅力だ。

例えば先述の『ありがとう』序盤で出てくる「街」にしても「いつもの街」と表現される。ここで東京だとか新宿だとか特定の地域の名前を出さない辺りがまさにコンセプトの現れている部分だ。

そういったいきものがかりの強みは「家族」をテーマにした番組「7daysTV かぞくって、なんだ。」(日本テレビ)に使われた今回の新曲でも変わらず活かされている。

あなた


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あなたと ただあなたと 言葉をつないで
よろこびや 悲しみを 分かちあえたら
いつの日か いつの日にか さよならがくるとき
こころから 泣けるように 笑いあえるように
この道をならんで歩いた
傷ついたときもあったね
あなたもわたしも涙をぬぐった
“これから”という今をなんども
一緒に生きていくよ
≪あなた 歌詞より抜粋≫
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曲中で何度も繰り返される『あなた』が誰なのかは終始語られることはない。

聞き手にとっての「あなた」が父親なのか、母親なのか、息子なのか、娘なのか、それとも恋人なのか妻なのか。自由な解釈が聞き手に委ねられている。

作詞を手掛けたメンバーの水野さんはインタビューでこう語っていた。
「家族をテーマに書こうとしたけれど、家族といっても千差万別で、これが家族だというものはない」「色んなカタチの家族の中にいる色んな人が聞いて、それぞれが自分なりの想いを重ねながら聞いてほしい」

悲しいことが起こった家族もいるだろう。《過ぎていく季節を悲しまないで》とそんな人の気持ちを傷つけることもなく、優しく寄りそうこの曲。

うまくいっていない家族もいるだろう。そんな人には《誰かと生きることはむずかしいことだけど》とも語りかける。

全体に優しい歌詞が魅力で、感動的ですらある。

●いきものがかり『あなた』MV


「あなた」が誰なのかは、あなたが決めること


歌詞は勿論だが使われている音色の1つ1つ、イントロの音1つをとってみてもあらたなマスターピースとして先々まで消えることはない"名曲の輝き"を持っていると思う。

これは『ありがとう』を超えるのではないだろうか。また教科書に載ることも考えられる。

お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。自分にとって大切な人を思い浮かべながら歌詞を読み、じっくりこの新たな名曲に浸って欲しい。

TEXT:杉原潤

吉岡聖恵(Vo.) 水野良樹(Gt.) 山下穂尊(Gt./Harmonica) ⼩・中・⾼校と同じ学校に通っていた⽔野良樹と⼭下穂尊が、1999年2⽉1⽇に「いきものがかり」を結成。 ユニット名は、2⼈の共通点が⼩学校1年⽣の時に⼀緒に⾦⿂に餌をあげる「⽣き物係」をしていたことによる。 地元の厚⽊・海⽼···

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