かりゆし58にとって最後の楽曲かもしれなかった「アンマー」
20歳という門出に、華を添えてくれる1曲があります。それは、メンバー全員が沖縄出身の4人組バンド、かりゆし58が歌う「アンマー」です。かりゆし58は結成後、数々のレコード会社にデモテープを送り続けた努力が実り、1つのインディーズレコード会社と契約することになります。しかし、なかなか思う様な結果を残せず、会社から次の曲で結果を出せなければ…と、契約打ち切りの危機に直面してしまいます。
意味はお母さん
自分達の最後の楽曲になるかもしれない。そんな場面で彼らがリリースしたのが、沖縄の方言で”お母さん”という意味がある「アンマー」です。かりゆし58は、この楽曲で見事第39回日本有線大賞新人賞を受賞し、まさに「アンマー」は、彼らにとって母体となる大きな1曲になりました。
アンマーは、作詞作曲を手掛けたボーカル前川真悟と、彼の母との実話を基に製作されています。
歌詞で赤裸々に綴られていく前川少年の姿は、決して親孝行な子供だとは言えません。
母の強い心と深い愛
しかし、そんな彼の姿以上に、曲中で確かな存在感を放つのは、母の強くブレない心と愛情です。喧嘩と夜遊びに明け暮れた時も、職に就かずお酒ばかりの荒れた生活を送っていた時も、自分を変えようと唯一好きだった音楽をやると決断をした時も、お母様は迷わず彼を支え、見守り続けます。
母から注がれていた愛情に気づき、自分の愚かさを偽らない言葉と想いで綴られている「アンマー」は、多くの人の若さや経験と共鳴し、胸を揺さぶります。
そして、それぞれの心に”自分を支えてくれる大切な人”を映し出してくれます。
アンマー 歌詞
「ごめんね」を「ありがとう」に変える
アンマーよ 私はアナタに言ってはいけない 決して口にしてはいけない言葉を加減もせずに投げつけてはアナタの心を踏みにじったのに
アンマーよ アナタはそれでも変わることなく 私を愛してくれました
自分が20歳となるという事は、自分の家族との絆も20年経つという事でもあります。
20年という長い年月を振り返れば、傷つけあったり、喧嘩をしたこともあるでしょう。
特に思春期と言われる時期なんて、不安やイライラから八つ当たりをしてしまったり、思ってもいない事を言ってしまったり、自分を想ってくれている事が鬱陶しくて突き放してしまったり…。
思い返せば、そんな時ほど、そんな時に限って、きちんと謝れていません。
言えずに残ってしまったままの”ごめんね”は、此処らで”ありがとう”に変えてしまいましょう。
笑顔になってくれる事を考えたり、喜んでくれそうな物をプレゼントしたり、一緒の時間を過ごしたり。
時には、自分が何かを成し遂げたり、ひたむきに頑張る事で、感謝は相手に返していく事が出来きます。
感謝を選ぶことは、自分が貰った物を大切な人返していく、渡していく為の1歩になるのです。
大切な人に心から感謝
20歳という節目には、自分が出来なかったことを数える為の”ごめんね”ではなく、これから出来ることを見つけていける”ありがとう”の方がお勧めです。手紙や言葉で、相手に”ありがとう”と言えることは、とても良いことだしカッコいい。
でも、重要なのは、言えるかどうかではなく、心から思えるかどうかです。
感謝したい人と自分の気持ちを、きちんと心に想い浮かべることが出来るのならば、それだけで良いのです。
大人として毎日を送っていくことは何かと大変で、必死のあまり、色んな事を忙しい仕事のせいや、時間が無いことのせいに出来てしまいます。
目まぐるしく騒がしい日々に踊らされ、自分にとっての大事な事や大切な人を忘れてしまわない様に、「アンマー」を通して、感謝する心を今のうちから積み立てておきましょう。
鍛えておきましょう。練習しておきましょう。
人生という茨の道を歩いていく上で、感謝できる心は持っておいて、損はありません。
TEXT:柚香