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手嶌葵が歌う「東京」は優しい

手嶌葵が2017年11月22日に発売した自身初のEP盤に収録され、タイトル名にもなっている「東京」。2017年4月3日からテレビ東京系ワールドビジネスサテライトのエンディングテーマに採用され、彼女の柔らかく染みる歌声は、平日の夜にそっと彩りを添えている。

手嶌葵の「東京」



東京 ビルの灯り
無数の 眠れない 理由が煌めいている


思えば、東京の夜はとても明るい。

東京のシンボルとも言える東京タワーに始まり、お店の看板、車のライト、タクシーの行灯、そしてビルと家の灯り。

東京という場所は、多くの”灯り”で埋め尽くされている。灯りがあるという事は、そこに誰かが居るという事。

夜遅くまで灯りの下に居る人は、どんな人なのだろうか?

明日が 来る前に 片付けたい 仕事があると
あなたは 一人きりで 弱い自分と 戦っている


オフィスビルにともる灯りは、働く人を照らしている。

終わらない仕事の為、好きな仕事の為、家族や自分の為、お金の為、目標の為など、人が夜遅くまで仕事をする理由は様々だ。

働く事は決して易しくない。誰もが仕事という枠組みの中で葛藤や我慢、悩みを抱えながら、それでもまた今日も仕事と向き合っている。

頑張った仕事の帰り道、人知れず戦う姿を映し出してくれるこの曲を聴けば、瞬くビル灯りも違って見えてくる。

「遅くまで働いて大変だなあ」が「あそこにも踏ん張っている人が居る」に変わり、戦っているのは自分だけでは無いのだと勝手に勇気付けられる。

1人張りつめ硬くなった心がほぐれて、明日の為の強さをもう一度持つことが出来る。

「東京」はこの地で頑張る人への子守歌であり応援歌である

さみしさで 未来さえ
曇って見えない目も
涙なら そっと洗い流せる


家にともる灯りは、その街に暮らす人を照らしている。進学や就職を機に、東京で新しい暮らしを始める人も多く居るだろう。

慣れない環境と親しみのない土地で過ごす毎日は、楽しいことばかりではない。

周りや環境に馴染もうと頑張るほど余計な力が入って、色んなことに敏感になりすぎてしまう。

空虚感や焦りでいっぱいの夜に踏みつぶされそうな時もある。そんな風に自分が絡まってしまう時は、一層のこと泣いてしまおう。

泣くことは負けることでは無いし、泣くことが必要な時もある。それに泣くことは、思うほど悪くない。

涙で寂しさと強がりを洗い流してしまえば、見えてくるのはこの街で泣きながらでも前に進もうとしている自分自身なのだから。

「東京は冷たい街」という言葉をよく聞くけれど、少し見る角度を変えてみれば、東京は頑張る人、踏ん張る人でいっぱいだ。そう思うと、そんなに寂しい街じゃない。

灯りの下で頑張ろうとする私達の力んだ肩に、そっと毛布をかけてくれる様なこの曲はどこまでも優しい。

その優しさに、また巡ってくる明日も頑張ろうと思わせられる。

「東京」は、私達の手を取ってくれる子守唄でもあり、見守ってくれる応援歌でもあるのだ。

TEXT:柚香

1987年、福岡県出身。 「The Rose」を歌ったデモCDをきっかけに、2006年公開のジブリ映画「ゲド戦記」の挿入歌「テルーの唄」でデビュー。 2011年には映画「コクリコ坂から」の主題歌担当。 その後、2016年には「明日への手紙」がTVドラマ主題歌に起用され大きな話題となり、2021年には、高視···

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