平井堅らしい、美しいバラード曲
今年でデビュー20周年を迎えた平井堅。その第一弾としリリースされたのが38枚目のシングル『君の鼓動は君にしか鳴らせない』。TBS系のドラマ「ナポレオンの村」の主題歌として書き下ろされた一曲だ。
「ナポレオンの村」は、唐沢寿明演じる「スーパー公務員」浅井栄治が、過疎化が進み存続が危ぶまれている限界集落を立て直すために奔走するストーリーである。
活気のない町に呼応するように元気のない村人や、町起こしに失敗し続け存続を諦めてかけている役所の人々を巻き込んでいく壮大なエンターテイメント作品だ。
近年は、安室奈美恵とコラボレーションした『グロテスク』、平井堅自身がインド人に扮したPVが話題になった『ソレデモシタイ』など話題作を提供してきたが、今回は「これぞ、平井堅！」ともいうべき力強く、美しいバラードとなっている。
この曲で描かれているのが、困難や葛藤を抱えている現状を何とか打破しようと立ち向かう人間の姿だ。
君の鼓動は君にしか鳴らせない
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何の取り柄も無いからさ 淋しそうに君は少し笑った
諦めたものを数えて その声は小さくなった
≪君の鼓動は君にしか鳴らせない 歌詞より抜粋≫
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大学受験に失敗し続けている受験生、就職試験を全滅した就活生、仕事で失敗続きのサラリーマン。そんな時、大抵の人間は「自分はなんてダメな人間なのだろうか」、「自分なんてどうせ凡人だからさ。」と自信を失ってしまう。
自分の持っている良いところを忘れ、どうして良いのか分からずに、次の一歩が踏み出せなくなる。そんな思いを抱く瞬間を誰しも経験するはずだ。
この曲はそんな時、「何度負けても立ち上がろうよ！君の人生は君にしか変えられないんだよ！」と背中を押してくれ、「ヒーローなんだよ！」と自信を与えてくれる。
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失ってみなきゃ 取り戻せないだろう 涙の重さ知る君こそがヒーロー
倒れた同じ数 また立ち上がればいい 君の鼓動は君にしか鳴らせない
君は明日のヒーロー 僕らは皆ヒーロー
≪君の鼓動は君にしか鳴らせない 歌詞より抜粋≫
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また、この曲には「日々の挫折や諦めの中で自分の手の中にあるものを忘れているだけで、実はそこにちゃんと美しさはあるんだ。」という平井堅からのメッセージが込められている。
見失ってしまったと思っている自分の中の「大切なもの」は一人一人の心の中で今日も生き続けている。そんなことを気づかせてくれる一曲だ。
TEXT：井本佳孝
