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ストーンズの"サティスファクション"は何が「満足できない」のか

The Rolling Stonesの"(I Can't Get No) Satisfaction"は、1965年に発表されました。タイトルでもあり、曲中なんども繰り返される歌詞フレーズ"I can't get no satisfaction"は、「まったくもって満足できやしない」といった風に訳せます。一体何が「満足できない」というのでしょうか、というのが今回のお話です。
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'Cause I try and I try and I try and I try
I can't get no..."

――――

"試しても、試しても、とにかく試しても、
ものにできやしねえ…"
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チャック・ベリーの「サティスファクション」

"I can't get no satisfaction"のフレーズは、作曲者の一人であるキース・リチャーズが思いついたフレーズだといわれています。共同作曲者のミック・ジャガーによると、Chuck Berryの”Thirty Days"という曲の中に同じようなフレーズがあり、ここから着想を得たのではないかと語っています。

ではその"Thirty Days"の該当部分をみてみましょう。

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If I don't get no satisfaction from the judge
I'm gonna take it to the FBI and voice my grudge
If they don't give me no consolation
I'm gonna take it to the United Nations"

――――

"判事に満足できなけりゃ
この恨み節をFBIに取り合ってもらうぜ
それでも彼らが慰めてくれなかったら
俺は国際連合に掛け合うつもりだ"
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一行目に現れるsatisfactionの語の印象が消えないうちに、三、四行目でconsolation、United Nationsの押韻関係が成立するという、すぐれたテクニックがみえます。また内容も単に語呂合わせにとどまらないユニークなもので、ロックンロール詩人チャック・ベリーの豊かな才能が感じられる歌詞です。

試してもものにできないストーンズの苛立ち

これに対し、ストーンズの方はどうでしょう。"Thirty Days"とは違い、この曲はタイトルフレーズに"satisfaction"を含んでいます。その語を印象付けようと、彼らは一番でそれに対する押韻を試みます("infomation"や"imagination”)。しかしそれ以降はその試みを諦めてしまいました。わずかに"reaction"という語を使用したのみです。そのため、詞としてはやや統一感を欠いている印象を受けます。

まあ韻が多ければエライというわけではありませんし、「ろくでもないインフォメーションのせいで、ついイマジネーションしちまったじゃねえか」という表現は十分面白いですが、それはさておき。

当時、彼らのレパートリーは当時カバー曲ばかりで、オリジナル楽曲の製作はまだ始めたばかりでした。ストーンズが憧れのチャック・ベリーの作詞テクニックをお手本にしていたとしたら、この曲は出来損ないの歌詞と感じていたかもしれません。「試しても試しても、ものにできやしねえ」と。

伝えるところによれば、彼らは当初この曲をシングルとしてリリースすることをかなり渋ったといいます。

「満足できない」曲が「満足できる」結果に

ところが、メンバーの反対を押し切ってリリースされたこの曲は瞬く間に注目を集めます。イギリスはおろか全米でも1位を獲得、全世界では500万枚の売上を記録する大ヒットとなったのです

「満足できない」まま世に出してしまった「満足できない」という曲は、皮肉にも「満足できる」結果を残しました。それどころか、The Rolling Stonesを巨大な怪物バンドへと変貌させる契機となったのです。

TEXT:quenjiro

The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)は、ミック・ジャガー(Vo.)、キース・リチャーズ(Gt.)、ロン・ウッド(Ba.)、チャーリー・ワッツ(Dr.)によるイギリス・ロンドン出身のロックバンド。 1963年6月7日、チャック・ベリーのカバーであるシングル『Come On』をデッカ・レコードよりリリ···

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