『君のシアワセ』は「誰のことも 傷付けない」
──そして新曲が『君のシアワセ』ですね。これはまた新たな恋愛年表の1ページを飾ってくれる曲になるんだろうなと思います。私はサビのシャープな感じが、女性らしさが出るメロディーだと感じました。
MACO:すっごく分かります。メロディーが切ないですもんね。
──いつも曲が先で歌詞をつけていく感覚ですか?
MACO:歌詞は常に書いてるので、曲がきたらそれに合わせて作っていく感じです。
──フレーズ毎にためているのでしょうか。
MACO:フレーズもあるし、詞でどさっと書くときもあるし、2、3行のときもあるし、好きな仕草だけ書くときもあるし。でも『君のシアワセ』に関しては、ドラマの台本をいただいた上で書き下ろしをした曲で。サビの切なさも聴いてる人がぐっとくる曲を選んで私がドラマに書き下ろした感じですね。
──書き下ろしなんですね。
MACO:今回の『東京センチメンタルSP~御茶ノ水の恋~』はスペシャルバージョンで一夜限りだったんですよね。いつも主人公の方が、恋に破れるというか狙った相手を落とせなくてまた違う恋の旅に出る、みたいな、現代版寅さんのような人で。でも今回のスペシャルドラマでは追いかけるだけじゃなくてライバルの相手に好きな女性を譲るという物語だったんですよ。くるりさん今回はすごく大人の行動だー!思って。相手の幸せを思っての行動だなって。
──ご自身の体験からは生まれてこないようなことまで書けたっていう感覚ですか?
MACO:そうですね。私、好きな人譲ったことないですもんね。あと三角関係みたいなのにもなったことないので。でもそういった意味では台本をもらったときの衝撃と大人の恋愛の潔さ、去り際が恰好いいみたいなキャッチフレーズだったんですよね、今回のドラマ。だから去り際が素敵だな曲を書きました。
──去り際感を反映させた歌詞はあったんですか?
MACO:「誰のことも 傷付けない」っていうBメロですね。誰のことも 傷付けない=自分の中だけで好きな気持ちを完結する。好きだと伝えないまま。最終的な手段はこの場所でただ見守っていることだけ。
──めっちゃ含みますね。
MACO:だからすごくいいのが書けたなって自分で思いました。
──ちなみにサビから書いていった順番はありますか?
MACO:1番で1回仕上げてって感じでした。ほんとにもう物語の感じで書いてって。2番は別日に書いたんですけど、すぐ書けました。
──「誰のことも 傷付けない」にそこまでの含みがあるとは。
MACO:そう。「誰のことも 傷付けない」すごくこれ切ないなと思って。
──伝えないっていうことが傷つけないことに繋がるってやっぱり切ないですね。
MACO:そういう大人の行動を取ったけど、2番のAメロでは「嬉しそうにはしゃがないで 寂しそうに 笑わないで…」っていう願望をぶつけていますね。
──こんな感情が出てくるってすごいですね。
MACO:だって自分と結ばれている人が嬉しそうだったり楽しそうだったりすると、同じ風に喜べたりするんだろうけど、結ばれないって分かっている人が楽しそうにしてたらちょっと寂しくて切ないじゃないですか。「なんでそんな楽しそうにするの」っていう本音の2番の歌詞ですね。
──これは書き下ろしという事なのでまた感覚が違うと思うんですけど、例えば今まったく恋をしてないというか失恋もしてなければ超ノーマルな時期ですってときに、恋愛の曲って書けますか?
MACO:私たぶん恋してないと歌詞書けないと思いますね。
──感覚を思い出すのって恋をしてないとすごく難しいなと思って。先ほど「誰のことも 傷付けない」ってフレーズには触れていただいたんですが、この曲の中からご自身的にプッシュしたいフレーズを挙げていただけますか?
MACO:2番のサビなんですけど「他の誰かじゃない 君だから好きだった 祈る 君の」で終わっているんですよ。それでまた最後のサビでちゃんと「君の幸せ」って言えるんですけど、「祈る 君の」ってちょっと詰まっている感じがここで感じられるかなって。
──この計算し尽くされた感じずるいですよね。「祈る 君の」で止めてまたサビにいくっていう。上から順に書いていくうちにここで1回止めよう、そしてサビにいこうみたいな。
MACO:違う歌詞でもいけたんですけど、でも「君の」で終わるとぐっとくる度数がまた変わるかなと。