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【インタビュー】瀧川ありさ「パーソナルな部分を伝えられる一作」東京をテーマにした新譜で全曲解説 (2/3)


いかに雪感を出せるかに挑戦していきました。

――『snow train』は冬の景色を連想させる感涙のバラードですね。

瀧川ありさ:この曲は冬の時期に出来た曲なんですが、これまで冬の曲ってなかったんですよ。
真冬な曲が欲しかったので、そのテーマに作曲家の重永さんと話し合ってサビのメロディーから広げていきました。歌詞もあえて雪とは一言も言わずに、いかに雪感を出せるかに挑戦していきました。


――歌詞は雪を例えた表現が多いですね。

瀧川ありさ:そうですね。頭の二行が最初に出てきたんですが、「白い息が」って言っている時点で冬なんだろうなって想像できるようにというか。皆さんが聴いていて頭の中でより風景が広がる言い回しが出来たら良いって思って書きました。


――叶わない想いが溶けて消えたというフレーズがグッと来てしまいますね。

瀧川ありさ:これも想像しながら書いたんですけど、片想いってこういう事もあるんだろうと…。そういう体験している子に、この曲が寄り添えれたらと思います。


――サウンドを作るときは冬の景色を想像して作られるのですか?

瀧川ありさ:そうですね。季節を特定したりします。何月何日ぐらい?とか。(笑)
例えば7月でも初夏か、暑くなっちゃったかとかだけで変わると思うので、その辺りは凄く考えますね。1月か12月かで、結構違くない?って(笑)
12月だとクリスマス感が出ちゃうし、それも良いんだけど、1月の空けた雪の感じを出したくて。少しクリスマス要素もあるんですけど、クリスマスのハッピー感はないですね。


――歌詞では「それじゃ、また」って綴られていますが、曖昧な関係を表現されていますか?

瀧川ありさ:ずっと中途半端な関係だと思うんですよ。最初に出てくるフレーズの「君方面のベンチ」って言ってる時点で、この主人公は負けちゃっているんです。普通だったら見送れよって感じなんですけど、その子側に自分がついちゃっているから恋愛としては片思いをこの一行目から表現しています。

「それじゃ、また」って期待を込めて言っているので、また会えると思うんですよ。次があって欲しいという自分の希望を込めている所で。言いたい事が沢山あるんだけど、言えないから「それじゃ、また」に会えますようにと願いを込めてます。


――サビも「報われない救われない」という「い」で終わる悲しい単語が続きますね。

瀧川ありさ:そういう所は意識している所ですね。悲しい単語を並べてやろう!と思って(笑)サビに関しては、恋愛に関わらずと思って書いた部分で。
何に対してもそうですけど、報われないし、救われないしという絶望的な時ってあるじゃないですか?そういう時にも聴いて欲しいなって思います。色んな目標があるのに、一人ぼっちでなぜ上手くいかないんだろう?ってなるときに、この曲で置き換えてもらえたら嬉しいです。


――『snow train』で印象に残っている歌詞はありますか?

瀧川ありさ:「口に出さずに話しかけた言葉だけが降り積もる」が結構、雪と自分の想いを繋げられたかなと思います。



――こういった言い回しをされるという事は、言葉のストックをお持ちなんですね。

瀧川ありさ:言葉のストックはしているんですけど、新鮮味は無くしたくないので、書くときは書くときで新しい言葉にする事が多いです。
一回書いて温存して後で読んでも良いなって思ったら良い歌詞だと思うんです。そういう事はしてますね。


一番素の自分に近い曲

――『FRIENDS』はジャズバーで聴きたくなるような大人な楽曲ですね。

瀧川ありさ:この曲は今までになかったサウンドを作りたいなって思っていて。こういうファンクっぽいテイストの曲が好きなんですけど、今まで一度も作った事がなかったんですよ。

そういう想いからメロディーと歌詞を作っていったんですけど、歌詞もこれまでの感じではなくて、外人さんが歌ったときに笑顔で歌っていてグッときそうなフランクな歌詞に出来たらいいなって思ったんです。


――友達を題材にしていますが、瀧川さん自身こういう心境になったんですか?

瀧川ありさ:これは一番素の自分に近い曲です。幼馴染に向けて書いた気持ちでもあるし。女の子って友情が重かったりするじゃないですか?でもそれをお互い言い合う訳ではないんだけど、一緒に過ごして一杯呑むだけでも次の日から頑張れるような気がするなっていつも思っていて。
みんなそれぞれが思うであろう事を、東京の友情に合わせて「待ち合わせの東口どんなに人で溢れかえってても」というシーンも取り入れたりしました。


――「君が笑う世界がいい」という直球なメッセージが響きますね。

瀧川ありさ:普段は言えない部分をサビで、大切だって事を言いたいなって思って。側にいれくれれば良いし、笑ってくれれば良いっていうのを表現したかったんです。


――『FRIENDS』は、今作の中でも歌い方にパンチがありますよね。

瀧川ありさ:そうですね。この歌録りに一番時間をかけたんですけど、コーラスワークも初めて五層くらい重ねて歌って。ファンクっぽいフレーズも入れていったら、逆に歌が弱く聴こえてきちゃったりして、そこでコーラスに合わせるように歌も何回か録りなおしたんです。それが自分のボーカルとしての表現力の幅が広がったかなって思います。


――『FRIENDS』の中で気に入っているフレーズを教えてください。

瀧川ありさ:「君がいる世界がいい 付かず離れずでもそばにいてくれたら この街で過ごすことも悪くない気がする 不器用なDay by day」が好きですね。
この街で過ごすことも悪いじゃなくて、悪くない気がするっていう所のつかず離れずな感じと、皆が抱えるそれぞれの不器用なDay by dayがある。あと、不器用だけど君がいるから補え合えるっていう所が書きたかったんです。



――「不器用なDay by day」はキーがかなり上がっていますが、歌うのが大変そうです。

瀧川ありさ:体力がいりますね(笑)そして、「不器用なDay by day」の部分は、何の英語を入れようか?って思って、色々な単語を試してたんです。一番気持ちよくなるのが「Day by day」だったので、これにしたんですよね。


私の天邪鬼な感じが出せたなって。

――『only one』はハッピー感が強いテイストな片思いソングですね。

瀧川ありさ:そうですね。この曲は、夏の海の家とかで弾き語りをしてたら楽しいだろうなっていう曲を作りたいなって思って。東京でもお台場とかあの辺の港な感じが出せたら良いなって思って作りました。歌詞も私の天邪鬼な感じが出せたなって。


――瀧川さん、天邪鬼なんですか?(笑)

瀧川ありさ:天邪鬼です(笑)だって「only you! be with youなんて言葉はあんまり好きじゃない」って言っちゃっていますからね。
恋愛ソングでもあるけど、あなただけとか、一緒に側にいてみたいな事って不完全な感じがして、あんまり言いたくなくて。だけどタイトルが『only one』っていうのが、「only you」と違う部分で、相手を尊重しているんです。


――瀧川さんは、あまり想いを伝えるのが苦手だったりしますか?

瀧川ありさ:この一行目の「喜ぶのが下手な僕 君がしてくれたこと」の通りですね。喜ぶのが本当に下手で、サプライズをしてもらってもどういうリアクションをしたら良いのかわからなくて。(笑)
本当はすごい嬉しいのに、「あっ、ありがとう!」みたいな人っていると思うし、みんな自覚してないと思うので、言葉にしてみようかなって思って書きました。


――『only one』で印象に残っているフレーズはありますか?

瀧川ありさ:「雨上がりの虹を見つけ君のことばを思い出す ひとりの時も誰かと生きているんだ」です。
東京で生きていると一人ぼっちの時間も多いんですけど、そんなときもふと思い出す存在がいたりとか、誰かの言葉に支えられていたときって誰かと生きている感じがするんですよ。一人の意味でも、田舎と東京じゃ意味が違うのかなって思っていて、側にいてくれる感じがするんです。



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1991年、東京生まれのシンガーソングライター。 奥田民生率いるユニコーンをはじめ、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、最近では西野カナといった人気アーティストを発掘してきた、伝説のスカウトが惚れたグロッシーヴォイスと、風景を描くように紡ぎだされる歌詞とメロディーが魅力。 ▶公式サイト:htt···

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