ゼロ恋
ゼロ?恋?ゼロ?恋?と畳み掛けるように問いかける。この胸の感情をちゃんと告白して恋にするのか。ずっと打ち明けずに一歩も進めないゼロのままなのか。
片思い中の自分にどっちにするの?と自問自答しているようで、告白しない選択を「ゼロ」と言っている時点で心はもう決まっている。
出したい答えは決まっていてもそこに踏み出すまでには時間もかかるし自分を納得させる理由も必要。そんな精一杯の余裕のない女の子の心情がとても可愛らしく表現されている。
甘酸っぱい葛藤の中で恋へと逃げずに向かっていく強さを見つけだす。マーチングのリズムも相まって恋する女の子を全面的に後押ししてくれる片思いの味方ソングだ。
ハンブンコ
まだ相手の気持ちを確かめていないという意味で片思いではあるけれどイヤホンを渡される、帰り道に隣を歩けるくらいの距離感で“好きな人がいる”そのことに幸せを感じられている片思い以上両思い未満といった恋する幸福感に満ちている。
“幸せは2倍だけどハンブンコ“という歌詞は、一見、2倍にしたものを半分にしたら結局もとに戻ってしまうのでは?とも思えるが、あなたと過ごすと嬉しい・楽しい・恋しい、すべてが2倍になる。
だけどそのすべてを二人で分け合っていたい、そんな好きな人と“共有したい”という気持ちの表れ。“頑張る日に限って 目も合わない” “「帰ろう」って言葉に胸が高鳴って” “あなたがイヤホン渡して聴かせてくれた歌”という青春真っ只中の恋にピンポイントに当てはまる「あるある」を盛り込んだ王道共感ソング。
恋のテンキヨホウ
片思いの曲ばかりでこんなにバリエーションをもたせられることに驚かされる。
恋を占うという展開は定番でもあるがこの曲では天気予報にみたてて、この恋の結果は晴れるかな?涙の雨かな?と想像しながら、決意を固め告白へと踏み出していく女の子の内面を描く。
「ゼロ恋」も「ハンブンコ」も主人公の目線的には明るさと爽やかさを持っているように思えるが、この曲ではテンション的にもかなり情緒的で想いを秘めるタイプに思える。
こんな風に片思いソングを並べた中でも曲ごとに主人公の印象が変わる。それがwhiteeeenの強さである。
♡の魔法
メンバーのhimaが作詞に挑戦。クリスマスシーズンの高揚感とスペシャル感、といったサウンドに恋する気持ちの高まりを乗せて等身大のまっすぐな言葉が綺麗にはまっている。
歌詞にクリスマスのワードはでてこないけれど、サウンドとテンションで、その季節感を漂わせることに成功している。
イルミネーションや雪の煌めきと、隣りにいる「君」の眩しさがキラキラした世界観の中で繋がる。
“いつもと違うキミに見えたのは 私の♡が魔法をかけてたんだ”という歌詞で、ただクリスマスムードに流されたテンションなだけではなく、「君」がキラキラして見えちゃうのは私が恋をしているからなんだね、という着地がwhiteeeenらしい素直さと可愛らしさを兼ね備えている。
whiteeeenの今後の活躍から目が離せない
片思いソングと一言で言う中にも繊細なバリエーションでそれぞれの恋を丁寧に描き、全く違った主人公を存在させている。10代の恋愛にフィーチャーした限定した世界観の中で、丁寧に青春を描く。
しかし大人が聞いても忘れかけていた気持ちに出会えるだろうし、音作りの面でも満足できる内容だ。
全員10代のボーカルユニットとしてデビューしたwhiteeeenは4年目を迎え、メンバーのmeriが卒業し現在新メンバーのオーディション中。
いつからかGReeeeNの妹分というスタンスの枠を超えてwhiteeeenの世界観というものも確立してきている。
これから迎える新メンバーとともにその澄み渡る世界観をどこまで発展させられるのかに注目したい。
TEXT:阿璃守