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【インタビュー】川嶋あいの15周年ベストアルバムで想い出す学生時代の記憶 (1/2)

デビュー15周年を迎え10年ぶりのベストアルバム『川嶋あい15th Anniversary BEST』をリリースした川嶋あいに周年を迎えた気持ちや、リアレンジされたヒット曲で魅せた新たな一面や、そのこだわりについて伺った。

川嶋あい15周年ベストアルバム

──15周年ですね。初めて川嶋さんの楽曲と出会ったのがもう15年前か〜って驚いちゃいますけど、川嶋さんご自身はこの15年っていう年月をどういう風にとらえていらっしゃいますか?

川嶋あい:15年は長く感じていますね。16歳のときにデビューしたんですけど、レコーディングとかライブとか初めての経験が10代のときにたくさんあって、それから自分の音楽の道が始まって。15年経ったのかと思うとあっという間にも感じますけど、やっぱり長いなっていうのが正直な感想ですね。


──今の時代音楽を15年続けるって相当難しいことだと思いますけど、川嶋さんの音楽がその時々のニーズや時代に合わせて変化していったところってありますか?

川嶋あい:意識して狙ってやってた感覚はないんですけど、ただ振り返ってこのアルバムの30作品を改めて聴いてみると、時代に合わせて作ったんだろうなと思います。この曲はこの年だからこそこういうメロディーラインにしたくて作ってたんだろうなとか。
書き方は変わってないですけど、メロディーを生み出すときにどこか時代背景とかそういったものも感じながら作品にしていったんだろうなとは思いますね。


──難しいことですよね。どちらかと言えば音に関しては時代に合わせて意識せずとも変化があったということですけど、歌詞の内容はずっと変わってない感覚ですか?

川嶋あい:そうですね。歌詞に関しては意外と思われるんですけど、メロディーありきの歌詞なんですよ。メロディーからまず作ってそれに一番居心地のいい言葉をあてていくっていう作業を一番こだわって大事にしてるので、もし歌詞ありきでこの言葉入れたいと思って書いたとしてもメロディーと違和感あるなと思ったら絶対書き直しますし、そのメロディーを生かせるような言葉を選んで書いてきたってことが一番変わらない、これからもずっとそういう書き方ですね。


──だから川嶋さんの曲っていやらしくないというか、売れることを狙ってる感じがないんですね(笑)。音か歌詞かどちらかの主張だけが強い感じもなく、スッととメロディーと歌詞が一緒に耳に入ってくるんです。

川嶋あい:ありがたいですね。言葉もやっぱり語尾が「あ行」の方が伝わりやすいなって思ったり、すごく細かく考えちゃうんですよね。けっこう構築してメロディーに合うようにひたすら考えて書いてるので、その一体感を感じていただけるのが一番嬉しいです。


──では歌詞を書く方が時間がかかるような?

川嶋あい:そうですね。時間かけてますね。


──なるほど。時代に合わせて音楽を…と先ほどの話なんですけど、今回3曲リアレンジされてますよね。その3曲について説明頂けますか?

川嶋あい:まず『旅立ちの日に…』は今卒業ソングとして色んな学生の子たちに卒業式で実際に歌えてもらえてる楽曲だということで、原曲は王道のJPOPバラードなんですけど、異国感のあるノスタルジックなラテン風のリズムもあるような全然違った世界観のものでベストは収録してみようと思いました。
『My Love』に関しては、この曲で私のことを知ってくれたという方もたくさんいらっしゃるような曲で、あいのりっていう番組の主題歌になって書き下ろしました。私のライブの中でも一番盛り上がる元気な楽曲で、それをより最大限にパワーアップして打ち込みも激しくした『My Love』を収録してみたくてチャレンジした楽曲になっています。
『compass』は、私漫画がすごく好きでワンピースの大ファンなんですけど、映画のワンピースの主題歌のお話をいただいたときにすごく壮大なバラードを書いてほしいというオーダーがありまして、悩みながら苦しみながら書いていった曲です。改めて今回再レコーディングしてみて、レンジも広くてダイナミックに歌わないといけない、っていうハードな曲だなと痛感しました。またこれも原曲とは違ってリズムを出して皆で歌えるような世界観で書いてみた楽曲です。


──『compass』の原曲はアニメのイメージも相まって、涙なしでは聴けなかったです。

川嶋あい:本当ですか!


──はい!リアレンジでは軽やかな感じになりましたよね。今までのバージョンだとライブでは聴き入って涙流してって感じだと思うんですけど、こっちのバージョンで歌われたとしたら確かに皆で歌えるような感じに。

川嶋あい:そうですね。明るい要素が加わりましたね。


卒業ソングがおしゃれなBGMに。『旅立ちの日に…』

──では『旅立ちの日に…』から触れさせていただきたいんですけど、これは“海外感”とおっしゃられましたが大人な感じになったんですね。

川嶋あい:そうですね。上品な。


──BGMとしても聴けるような、卒業ソングとして聴く以外のところでまた活躍しそうなテイストになってですよね。音の使い方とか楽器とか色々こだわりがあったと思うんですけど、音に関してのこだわりをうかがってもいいですか?

川嶋あい:音に関してはピアノじゃなくてアコーディオンを主軸に書いてみたいと思ったんですよね。そこでノスタルジーな雰囲気が出るんですよ。アコーディオンという楽器をこれだけフィーチャーさせたのもこの15年間の中で初めての作品だったんです。
ほんとに独特な世界に誘ってくれるので、軽やかなんですけどお洒落に上品にも聴いていただけるような作品にしたかったですね。


──アコーディオンを使うとノスタルジックになるとか、先ほども語尾を「あ行」にすると伝わりやすいということをおっしゃっていましたが、これまで15年やってきたからこそある自分の中の統計みたいなものがあるんですか?

川嶋あい:そうですね。研究を重ねて自分で分析しながら、もちろん失敗も繰り返しながら学んだことを次の作品で生かしてっていうことで、アレンジやメロディーを歌詞に当てはめて実践するようにはしています。


──この曲は2回目のアレンジというような感覚じゃないですか。中学時代に『旅立ちの日に・・・』を作って、あいのりの主題歌として『明日への扉』になって、さらにどんどん曲を成長させていくというか、色んなアレンジで既存曲を出していくということは今後また別の曲でもありそうですか?

川嶋あい:この曲だけじゃなくてベストアルバムの中でもこういうアレンジにしたら面白いだろうなと思ってる曲は他にも何曲かあったりするので、それを例えば作品にしなくてもライブで表現できたりするタイミングもあるかもしれないですよね。もしかしたら1回きりかもしれないですけど、拒ますにチャレンジしていきたいなと思ってます。


──例えばどの曲をやってみたいなっていうのがあれば伺ってもいいですか?

川嶋あい:『空はここにある』とか逆に原曲の『compass』みたいな壮大な世界観で作るとちょっと変わってくるかなって思ったり。あとは『絶望と希望』のアコースティックバージョンというかラテン風なのも面白いと思いますね。


──ラテン系って最近ハマられてたりするんですか?

川嶋あい:ラテンは昔から好きなんですよね。ボッサ系というかそういうリズムが。なので自分の昔の曲をシングル曲ではないんですけど、たまにボッサ風にしてもらってライブだけで届けてる曲もあったりしますね。


──ラテン風の曲だけでまとめたライブみたいなのも見てみたいですね。

川嶋あい:それいいですね。たぶん日本人の血に絶対好きなものとして流れてる気がするんですよ。


──分かります。

川嶋あい:ポルノグラフィティさんの曲とか。


──めっちゃ分かります!

川嶋あい:ですよね。『サウダージ』とか。


──わかります!!なんですかね、日本人の耳との相性がいいんですかね。

川嶋あい:ほんとにそう思うんですよね。リズムを感じて心地いいですよね。


──情熱的で、ちょっとセンチメンタルな感じがいいですよね。日本人に絶対誰でもある感覚だったんですね、これ。

川嶋あい:そう思うんですよね。


時代感がより出た『My Love』

──なるほど。続いては『My Love』ですね。こちらは音数が増えて今風というかキラキラした感じに生まれ変わりましたけど、当時のMVとか久しぶりに見ると本当に時代感が出ていて懐かしい感じがしました。川嶋さんもめちゃめちゃ可愛くて(笑)。

川嶋あい:いやー、恥ずかしい(笑)。恋愛ドラマをイメージして撮りましたけど。男の子女の子みたいな感じにして。


──全役やられてましたもんね。

川嶋あい:そうですね。バンドも全部やっちゃうみたいな(笑)


──まさか、実際録音してる音はご自身で弾かれてるんですか?

川嶋あい:いえいえ、違います(笑)。でもPV撮るときに初めてドラムを教わったりとか。


──初めてだったんですか?

川嶋あい:はい。でも全然弾けてないですけど。一応頑張って初めて教わってみたいなのもありましたね。


──すごい…。今回リアレンジしたバージョンでまたMVを制作するって話はないんですか?

川嶋あい:今回はないんですけど、今後出す作品で、また新しく昔の曲をさかのぼって撮るのもいいかなって。


──絶対こういういい曲は何度でも出したほうがいいですよね。『My Love』は緩急つけるというか落とすところは落とすみたいな見せ方をしたということでしたけど、盛り上がりをつけることで音以外に歌詞の伝わり方も変わってくると思うんです。アレンジするにあたって緩急をつけようと思ったきっかけがあったんですか?

川嶋あい:緩急つけたら、多分より凸凹なところが出て面白いアレンジの要素になっていくかなと思ったんですよね。原曲は疾走感だけに溢れたようなバンドの生の音が引っ張ってる感じなんですけど、キラキラ感の方を大事にして落とすところは優しく緩やかに落として、盛り上げるところは一気に音を熱くしてっていうメリハリを意識して取り組んだところはありますね。


──アレンジするならそれくらい変えちゃえ!みたいな感じもあったんですかね!?

川嶋あい:そうですね。せっかく15周年として出すアルバムなので色んな感じ方があると思うんですけど、これくらい大胆にこの3曲はやってみようと思いました。


──バンドサウンドから離れたのは驚きましたね。アレンジしてもこの曲はバンドだろう!と思っていたので(笑)。

川嶋あい:打ち込み系でも意外とまろやかになるところもあって、成立はするんだなと思いました。


──また今の若い世代の方も当時出た頃はまだ生まれてなかったくらいの子たちがこっちのバージョンでまた好きになってもらってっていうことで。

川嶋あい:ぜひ恋の歌として聴いていただきたいですよね。

次ページ : 卒業ソングの女王の意外な作曲法

シンガーソングライターの草分け的存在である川嶋あい。 2003年にI WiSHのaiとして人気番組の主題歌「明日への扉」でデビュー。 2006年からは本格的にソロ活動をスタート。 代表曲の「旅立ちの日に・・・」は卒業ソングの定番曲として大人気を誇る1曲となっており、卒業式シーズンには、サ···

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