w-inds. is back again!
3人組ダンスボーカルユニットw-inds.。2001年のデビュー以来着々と人気を広げ、2015年には『第19回 China Music Award』の『アジアで最も影響力のある邦人アーティスト』に選ばれるなど海外でも絶大な人気を誇る。
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オールセルフプロデュースによる通算13作目のアルバム『100(ワンハンドレッド)』は10代でデビューした3人の歩みをふり返り、新しいw-inds.のはじまりを告げる作品となった。『100』を携えて全国11公演を回るツアーファイナルの会場は東京国際フォーラム。ファンの期待が高まる中、イントロが鳴るとステージ中央から橘慶太、千葉涼平、緒方龍一の3人が登場。オープニングナンバーは『100』の1曲目に収録された『Bring back the summer』。
「東京!一緒に楽しみましょう!Are you ready?」。続く『In Love With The Magic』でダンサンブルに加速するとノンストップで『Show You Tonight』へ進行。フロア映えするナンバーの連打で会場の温度がまたたく間に上昇する。
「大変な思いをしている人に届くように」
『100』を携えた今回のツアーではダンサーを入れないバックバンドのみの編成がとられている。“100”のシンボルマーク以外に余計な装飾のないステージは3人の歌とダンスを存分に味わうための演出でもある。
小刻みなシャッフルビートが心地よい『All my love is here for you 』、『I missed you』と続けざまに『100』の収録曲を披露する。“ジャンルレスなポップ作品”を目指したと言うように、ソウルフルなナンバーからシンセポップ色の強い曲まで時折ファルセットをまじえながら自在に歌いあげる橘。すっかり歌の世界に浸りきったところで4thシングル『try your emotion』を投入。ファンキーなアレンジで生まれ変わったキラーチューンに会場はハンドクラップでこたえる。3人のコンビネーションが決まると大きな歓声が沸いた。
「調子はどうですか!みなさん楽しんでますか?」(緒方)「いま大変な思いをしている人もいると思いますけど、そこに届くように」(千葉)「新たなはじまりになるようなステージにしたい」(橘)。自己紹介に続くMCでは3人のナチュラルなトークに笑いが巻き起こる。「むかしのナンバーをやります」と言ってはじまった『四季』。w-inds.とファンの絆を重ねあわせながら、巡りくる未来を抱きしめるように歌う。
現在進行形のポップスを披露
サックスのイントロから緒方と千葉が交互にマイクを握るメロウなヒップホップ『A Trip In My Hard Days』、緒方がエレキギター、千葉がキーボードを弾いて歌う『Do Your Actions』。最新作からの『Celebration』を挟んで重心の低いビートに合わせてラップする『THE RIGHT THING』。『100』の世界観に通じる現在進行形のポップスが次々と繰り出される。
メンバーのソロタイムでは、ステージに1人残った緒方の『ORIGINAL LOVE』や千葉が歌う『In your warmth』を披露。ピアノの伴奏に合わせて橘が独唱する『TOKYO』では途中から緒方と千葉も加わりドラマチックに歌い上げた。
「最終日の空気感は違いますね」(橘)。東京国際フォーラムで行われた初ライブをふり返りながら、話題はライブでのメンタルコントロールや自虐ネタ(「w-inds.の良いところ」)へ。息の合った掛け合いから今回のツアーのため用意したという決めポーズを披露すると会場は爆笑に包まれた。3人の仲むつまじさが伝わる一幕だった。
「満ちていくだけがすべてじゃない。欠けるから美しいものもある」という千葉の曲紹介からはじまった16thシングル『十六夜の月』。振り付けに合わせてペンライトを揺らす会場。スクリーンに映された月が夏から秋への切ない情景を描いた。
静と動の対比が心地良い『Temporary』
ライブも終盤へ。『Long Road』で交互にボーカルを取り会場にコーラスを呼びかけると、ファンキーな『SUPER LOVER』では会場をダンスフロアに一変させる。メドレーの最後はトロピカルハウス調の『We Don’t Need To Talk Anymore』。多様な音楽性を乗りこなすw-inds.の真骨頂といえるセットから現在の充実ぶりが伝わってくる。映像をバックに進化した3人のボーカルが映える『100』のリード曲『Temporary』。
アンビエントな曲調から一転してドラマチックなブレイクへ。静から動への対比が心地良く響く。シンセエフェクトが印象的な『The love』。音と光が生み出すグラデーション。その中央にたたずむ3人に思わず視線を奪われる。『Time Has Gone』、『Come Back to Bed』とEDMを基調にフロアと直結したサウンドが続く。感情の機微を表現するアクションと硬質なビートにも埋もれないソウルフルなボーカルが唯一無二の世界を形づくった。
「あっという間」(緒方)だったツアーファイナル。この日の模様を収録したDVD/Blu-rayの発売が決定している(12月12日発売)。MCで見せる和気あいあいぶりと「音楽あってのw-inds.」というストイックさのギャップは彼らの変わらない魅力だ。音の海を3人が舞う『Stay Gold』、Aメロとサビのコントラストが鮮やかな『We Gotta Go』と『100』からの曲を演奏し、最後は『Drive All Night』で本編をしめくくった。
「新たなw-inds.の姿を見せていきたい」
アンコールに応えて現れた3人。ピンクに彩られたステージで歌う最新シングル『Dirty Talk』は80sのトレンドを現行のビート感に落とし込んだ橘慶太オールセルフプロデュースの1曲。この日ファイナルを迎えた『100』ツアーだが、12月8日に香港公演が開催されることが発表された。
ツアーを終えた現在の心境を「幸せな気持ち。いろんな感情が入り混じっている」と語る橘。「ゼロから音楽をつくるようになってw-inds.への気持ちと支えてくれるみなさんへの感謝の気持ちが増してきた」。その思いを伝えるために「新たなw-inds.の姿を見せていきたい。より良いものをお届けすると約束するのでこれからもw-inds.をよろしくお願いします」と話すと会場から大きな拍手が送られた。エンディングは『100』のラストを飾る『Sugar』。
星の降り注ぐステージでメロディーが乱反射する。「また遊びに来てくれますか!?」客席とひとつになった空間で手を取り合って深々と礼。ステージには3人の軌跡を示す“100”という数字が輝いていた。
2時間30分に及ぶステージを歌とダンスで完走した3人。橘がMCで約束したように、音楽的な挑戦を続けるw-inds.のライブは、自分たちを愛してくれるファンに新しい景色を見せる約束の場所でもある。新たな約束の地へ向かうw-inds.。来たるべき創造の季節を予感させるツアーファイナルだった。
TEXT:石河コウヘイ
PHOTO:福岡諒祠
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