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サカナクションがこだわる日本語の美しさと言葉アソビ

既存曲であった『years』『スローモーション』などのMVを楽曲のリリースから4年の歳月を経て公開したりするなど、常に新しい音楽の楽しみ方を提案し続けている彼ら。
2007年のメジャーデビュー以来、日本のロック界を牽引し続けてきたサカナクション。確固たる地位を築いていながらも、この7月には音楽とアートの複合イベント『NIGHT FISHING』を自身でオーガナイズしたり、既存曲であった『years』『スローモーション』などのMVを楽曲のリリースから4年の歳月を経て公開したりするなど、常に新しい音楽の楽しみ方を提案し続けている彼ら。

そんなサカナクションの楽曲は、ロックとクラブミュージックを融合させたいわゆる「踊れる」ものが多いのがサウンド面での特徴だが、歌詞の側面から見てみるとよく分かるのが「日本語しか使われていないこと」である。厳密にいうと、タイトルや歌詞の一部分にカタカナ表記(もしくは英語そのままの表記)での英単語が使われていることはあっても、邦楽ロックやポップスによく見られる、日本語の歌詞の中に突如英文が混ざっていたりすることがほとんどない。それが故に、「日本語の持つ独特のリズム感」が生まれ、それが彼らの楽曲をより個性的なものにしている。そしてその効果が顕著に感じられる楽曲のひとつが、2014年3月にリリースされ自身初となるオリコンチャート1位を獲得した6thアルバム『sakanaction』の収録曲『なんてったって春』だ。
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▽なんてったって春/サカナクション
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南南西から鳴く風
なぜか流れた涙
なんてったって春だ

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80年代のアイドルである小泉今日子の大ヒット曲『なんてったってアイドル』を彷彿とさせるタイトルから受けるポップなイメージを持ちつつこの楽曲を聴くと、4つ打ちのシンセベースと抑揚が抑えられたメロディによるディスコサウンドの展開に心地よい裏切りを感じる。

そこへまた、フレーズの頭に「な」という音が繰り返されることによって生み出されるリズムが乗せられていることで、ずっと聴いていたくなるような中毒性も生まれてくるのだ。
しかしその歌詞はリズム感のみが重視されているわけではなく、全体を通して読むと「大人になっていくことの悲しみ」が十分に表現され、きちんと意味をも持たせているのだ。

サカナクションがそこまで日本語にこだわるのには、ボーカルの山口一郎が音楽を始めたきっかけのひとつがフォーク・ソングであったり、種田山頭火や寺山修司の俳句や詩に子どもの頃から触れてきたりしたことも影響しているのであろう。

このようにサウンドだけでなく歌詞にも独自のこだわりを持つサカナクションは、8月5日にCoupling & Remix Collection Album『懐かしい月は新しい月~Coupling & Remix works~』をリリース、そして秋からの全国ツアーが決定している。ぜひ実際に聴いて、またライブに足を運んで、サウンドだけでなくその歌詞にも注目してサカナクションだけが持つ情緒的な世界を堪能してみてはいかがだろうか。今まであまり気づかなかった、日本語の美しさと魅力を再発見できるかも知れない。

TEXT:Y.Fuku

2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。 日本の文学性を巧みに内包させる歌詞やフォーキーなメロディ、ロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまでこなす変容性。 様々な表現方法を持つ5人組のバンド。全国ツアーは常にチケットソールドアウト、出演するほとん···

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