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【インタビュー】亡き親友に捧げるGIFT。パンクロックで青春を歌う -後編-

北海道出身のシンガーソングライター佐藤広大が様々な人へ贈る『GIFT』。インタビュー後編では、パンクロックの青春ナンバー『約束の唄』などアルバム収録曲について伺いました。
前後半に分けたボリュームたっぷりのインタビュー、前半ではアルバムタイトルを『GIFT』にした理由についてや、「デート中の北海道あるある」なんて事までお伺いしました!



【前半はコチラ】
北海道の景色を詰め込んだ佐藤広大の最新作『涙雪』の歌詞を徹底解剖



インタビュー後半では『約束の唄』など収録曲にも触れていきます!
それではどうぞ!

音を感じてほしいプロポーズソング

──続いて2曲目の『Never Ever Let You Go』について。この曲はR&Bなので、歌詞に関しては音に寄せた感じですかね。

佐藤広大:そうですね、あんまり歌詞に関してはこだわりないですね。



──好きすぎて狂っちゃうと行くようなことを歌われていると思うんですけど、この静かなメロディーの感じでそういうことを歌われると、主人公たちは割と付き合っている時間が長いカップルのかなって想像しました。

佐藤広大:そうそう、これ、プロポーズソングのイメージですね。


──そういう細かいイメージもあったんですね。

佐藤広大:そうそう。直接伝えてないんだけども、“僕と結婚してくれ”みたいな、ちょっとしたプロポーズソングです。英語の歌詞の部分では、“僕のワイフ(妻)になってくれ”的な要素が入ってて。


──そうなんですね!

佐藤広大:そういう意味では逆に歌詞にこだわったところもありますね。言ってしまえば、この曲では2000年代前半のR&Bの表現をしたんですけど、R&Bのアーティストの歌詞ってこれぐらい適当なんですよね。逆にそこも寄せました。


──音から作られていったかと思いますが、どんな曲をつくろうみたいなとこから始まったんですか?

佐藤広大:underDOG っていう音楽チームがいるんですけど、例えば、Tyrese(タイリース)とかTank(タンク)とか、本当2000年代前半に活c躍したアーティスト、作家のR&Bチームの雰囲気を、今までやっていなかったので、やりましょうよって。で、今井大介さんがそっちのテイストをものすごく得意な方なので、今井大介さんに直接お願いして。「いいね、やろう、やろう」みたいな感じで始まりました。


──そしてそのざっくりしたイメージでっていうところから上がってきたのがこの曲っていう。

佐藤広大:そうですね。何曲かリファレンスと呼ばれるものを送らせてもらって、僕なりにAメロとかBメロ、バースの部分で言葉数多くして詰め込みたいっていうところもリクエストして。デモが出来上がってきて、これでいきましょうみたいな。


ブルージーな歌詞の『color』



──次の『color』はどなたが作曲を?

佐藤広大:『color』は、僕の一番可愛がっている札幌の後輩ですね。Tocchi(トッチ)っていうアーティストで、作家名がCraftBeatzなんです。やっと仕事が一緒にできたということで、実は僕の中ではかなり感慨深い楽曲になっていますね。


──そうなんですね。十人十色って言葉と『Color』の歌詞ともリンクしますし、『Color』ってタイトルだけでいろいろ考えさせられます。

佐藤広大:そうですね。まず、アルバムが『GIFT』で7曲入りじゃないですか。7曲は、七色(なないろ)なので、そこにも『Color』というのをかけていますし、あとは自分の色ですね。やっぱり何色がどうとかっていうよりも、自分色っていうのは何だろうかっていうところを見つめ直した楽曲。

なので、結構、露頭に迷っている学生だったりとか、夢とか自分の人生をちょっと恨んでしまっているとか、物事うまくいってない人たちに向けた『GIFT』の楽曲になっています。


──この曲を、例えばSNSのようなツールがずっとそばにあるような若い世代は聴いてどう感じるんだろうって、すごい気になります。

佐藤広大:本当ですね。夢だったりとか、やりたいことをスタートさせて、数年経つと本当に自分っていうものが分からなくなってくるんですよね。いろんなものの刺激があって、いろんなものに影響されて、その中で自分を保つのってすごく難しくて、ブレちゃったりするんですけど。ちゃんと自分の芯っていうものを、失ってないか?っていう問いかけの意味もあります。

それに、やっぱりわりと人ってカッコつけがちなので、外側ばっかり意識しちゃうんですよね。見え方とか、身なりだったりとか、そこばっかりに力入れてお金使って、中身めちゃ薄っぺらいじゃんってなったら、もうそこで夢を競っている人たちと大きく差がついてくるんですよ。

俺もやっぱりそういう節はあったし、中身をしっかり大事にしてほしいなっていうところをこの曲に、われわれ的には詰め込ませてもらってっていう感じですね。


──そのわりに、最後のほうに、「誰かに認めさせたいその為に取り組むのは正解?」って疑問系になっている歌詞だったり、「答えは俺には分からないけど」って、佐藤さんなりの答えに言及することを避けたのは、ある意味勇気のいる選択だったと思います。

佐藤広大:何だかんだ分からないんですよね、答えって。答えあったら誰でも成功しているし。
だけど、分からないけども、自分の信じる自分の色っていうのを表現して、結局、自分を信じるか信じないかだと思うので。分からないけど信じようっていう曲。

だから、ヒップホップな楽曲ですけど、歌詞だけでいうとすごくブルースのような歌詞の内容ですね。

ブルースって確か、自分の半径何十センチ以内のことをぶつくさ文句言ったりする感じのジャンルだと思うんですよ。だから、『color』に関してはそういったブルージーなリリックで、よりリスナーとシンガーとの距離が近い楽曲になったんじゃないかなと思っています。


天国の彼に唄った歌詞



──続いて、『約束の唄』について伺っていきましょうか。

佐藤広大:はい。これは、めちゃめちゃ僕的にはお気に入りの歌詞でございまして。


──この曲は本当に、メロディーと相まって歌詞が素直に刺さってくる。

佐藤広大:僕ね、泣き唄をアップテンポで歌いたいんですよ。泣き唄をスローで歌うのっていうのはわりとあるじゃないですか。だけど、アップテンポで泣かせられる人になりたい。それが、すごい僕の中では、1つの達成感の瞬間で、この曲もそのポテンシャルがある曲だなとは思っています。


──ああ、なるほど。

佐藤広大:みんなが盛り上がって、泣いて涙流しながら盛り上がるって、すごい不思議な光景なんですよ。

そのときって、皆さんと呼吸も合ったりする気がしてて。サビ前に一緒に息吸ったりとか、ここで一緒に息止めたりとかっていう共有がすごく感じられるんですよね。だから、そういう曲になってほしいなって思います。


──おお。できたときの達成感、すごかったんじゃないですか、これ。

佐藤広大:達成感もすごいですけど、スタンダードに歌ったらこのテイストにハマらないし、面白くないんですよ。なので歌い方もあっちのパンクっぽい路線に寄せたりしたから、これ誰?っていうぐらい他の曲と違ったりして、そこの不安はありましたね。


──そういう暑苦しい感じの佐藤さんの歌声も、良いと思いました。

佐藤広大:これは、『GIFT』っていう曲の続編の曲なので、5年後経って、“約束の唄を謳えてるか”っていうところで、今だから思うことを書かせてもらいましたね。

『勿忘草』っていう言葉が歌詞に入っているんですけど、これって青いお花で、青春の青でもあるじゃないですか。

それに、真実の友情という花言葉もあるということから、今回こういった内容で、“歳とっても青春は続くし、あのときの青春はまだ生き続けてる”っていう思いも込めています。

「俺は覚えてるけど、今度、お前は覚えているのかよ」って天国に問いかけている曲ですね。


──あぁ、すごく素敵です。佐藤さんのバックグラウンドを知っているとなおさら。

佐藤広大:これは普通に僕、自分じゃなかったとしても、そのストーリーを知ってたら泣いちゃいます。すげえいい曲だと思います。


──歌ってるときはどうですか?やっぱり、グッとくる瞬間もありますか。

佐藤広大:ある!気を緩めたらなっちゃうので、ちゃんと、スイッチ入れて泣かないようにしていますね。


──それが例えば、そのスイッチが切れちゃうような時ってどんなときに来ると思います?

佐藤広大:こんなこと言ったらあれですけど、ちょっと繋がれたって感じれる時があるんですよ。自分が天国の彼に向けて歌うってときに、1本の線がほわーって通って解放されるような瞬間があって。そのときにやっぱりグワーって涙腺が緩んじゃいますね。


──うわー。

佐藤広大:だから、あんまり、なるべく上向かないでお客さん見て歌うようにしていますけど、しばらく、でも、ライブで泣いてないので大丈夫だと思います。


──あえて今回『約束の唄』からに限定をさせて頂くんですけど、佐藤さんがいちばん好きな歌詞のフレーズについて聞かせてください。

佐藤広大:全部なんだよな、この曲。


──ですよね。この『四文字の魔法がある』って歌詞についても伺いたいです。

佐藤広大:うん、そこですかね。“がんばれ”っていう思いですよね。その魔法の言葉のおかげで続けてこれているので。

あと僕の好きなところは、「ちっぽけな花にさえそれぞれの開き方があるっていうことを教えてくれた」っていうところですね。僕自身も身の回りにも先に活躍している人とかもたくさんいて、結構比べちゃうので。

周りと比べられちゃうし、こういう音楽の世界も数字でもろに結果が出てくる世界なので、答え合わせしてしまうようでものすごく自分を追い込んでしまう要因でもあるんですけど。

でも、こういう俺みたいなちっぽけな、咲き方の悪い花でもその花なりの咲き方はあるっていう。不格好でもカッコ悪くても泥臭くても俺なりの咲き方があるから、そういったことを教えてくれたのはきっと彼なんだなっていうところですね。

泥臭くあきらめずやれっていうことを教えてくれたので、わりとここのフレーズに関しては今も勇気づけられる部分ですね。


──本当に素敵です…。

佐藤広大:これなんか、若者に少しでも届けられたらいいな。


──そうですね。『color』もそうですけど、誰かの夢の支えになる曲になっていくんだと思うな。

佐藤広大:ね、そういう曲を少しでも残せるのが、僕のこういうアーティスト活動での使命でもあると思うので。

別に今じゃなくていいですよ、10年後とかにこの曲に出会って変わるとか、それもあり得るじゃないですか。僕が死んでから、この曲に出会う若者もきっといるので。音楽が死なない限り。

なので、そういった可能性を本当0.何ミリでも残せて生きていけたらなと思うので、こういう曲は佐藤広大らしい曲になったと思います。


──そうですね。ありがとうございました。2018年バージョンの『GIFT』に関して、再度リスナーの方々に伝えるとすればどんなことですか?

佐藤広大:佐藤広大を集約する楽曲ですね。僕の、だから、プロフィール的な楽曲でもあると思うんですよ。

『GIFT』っていう曲で、シングルでデビューして、5年経って、『GIFT』っていうアルバムを今度出すのであれば、この『GIFT』っていう曲は、今になった佐藤広大が歌い直すべきだと思って入れたので。やっぱり『約束の唄』を入れたからには、これも入れないとストーリーとしてつながらないから。


──前のバージョン聴き返しながら、聴き返したりっていうのは敢えてしたんですか、今回?

佐藤広大:全くしなかったです。もし聴き比べたとしたら、改めてアレンジされた楽曲っていうか、トラックにどう乗せるのかっていうところでちょっと大人びた気はしています。


──それは、きっとファンの方も感じるんでしょうね。

佐藤広大:落ち着きが、やっぱりどうしても歳取ると出てきちゃうと思うんですね。


──ありがとうございました。では、今後のライブについても教えてください!

佐藤広大:11月23日が5周年記念のワンマンライブ&リリースライブin札幌ということで、11月23日、PENNY LANE 24(ペニーレーン24)というところで、お馴染みのホームでライブさせていただきますけれども、やっぱり5周年というのは最初で最後ですし、すごく特別な節目だと思うので大事にしたいし、皆さんと一緒に、ワイワイ楽しく、お祭り、パーティーのような感じで笑顔にできればなと思います。チケット発売中でございますので、よろしくお願いします。


──最後にインタビューを見てくれた皆さんに一言お願いします。

佐藤広大:今回の5周年アルバムっていうのも、今までで一番自分なりに自由に佐藤広大を表現させていただいたアルバムとなっていて、今回は全曲新曲の7曲入りなので、手に取った方にとってはものすごくボリュームのある1枚だと思うんです。

改めて、佐藤広大としては、音楽のジャンルにカテゴライズされないアーティストっていうのを証明できたのかなと思っているので。

引き続き、佐藤広大という『GIFT』というジャンルでこのアルバムを楽しんでもらって、12月のインストアライブのツアーとかも、アルバムを聴き込んで来てもらえたらもっともっと楽しめると思います。

来年に向けて非常に大きな、大事なターニングポイントになるアルバムなので、ぜひ皆さんにCDもそうですけど、配信でもチェックしてもらえたらうれしいです。カラオケでも歌ってください。お願いします。



Text:愛香
Photo:大西基
衣装協力:PANDEMIXXX

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北海道出身。シンガーソングライター。 大学在学時代にボーカルユニット「JACKPOT」、コーラスグループ「Symphony」のメンバーとして活躍し、2009 年より本格的にシンガーを目指す。 2016 年7 月にリリースしたシングルCD「My ONLY ONE feat. 宏実、YUTAKA(Full Of Harmony) は読売テレビ ・日···

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