ドラマ「今日から俺は!!」の主題歌
『男の勲章』は、オリジナル版がリリースされた年代こそ1982年だが、今や日曜夜の人気ドラマ『今日から俺は!!』の主題歌として出演者たちにカバーされている。「今日俺ダンス」なるものが流行り、オープニングで出演者たちが踊るダンスを真似する人が続出。原作となるマンガ自体も30年前のものだが、非常に注目度の高い作品となっている。
『男の勲章』はもともと、嶋大輔本人も出演していた「天まであがれ!」の主題歌であった。話題を呼んでいる「今日から俺は!!」と違い、ヤンキーとは関係のない作品である。
ではなぜ、「今日から俺は!!」の主題歌にも抜擢されたのか?『男の勲章』の歌詞を見ていこう。
80年代そのものの歌詞
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つっぱることが男の
たった一つの勲章だって
この胸に信じて生きてきた
≪男の勲章 歌詞より抜粋≫
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歌い出しの歌詞はまさに、つっぱりが当たり前に存在していた80年代の世の中そのものである。
今となってはつっぱることが男の勲章にはならならいが、当時はこのような歌詞がぴったりとハマったことだろう。
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泣きたくなるよな
つらい時もあるけど
いつも俺達がんばってきた
時の重さに 流されそうに
なった時でも
歯をくいしばりたえてきた
≪男の勲章 歌詞より抜粋≫
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当時の男らしい思考とも取れるのがこの歌詞である。弱音を見せず、涙を隠して強がる。
それこそが男の意地であり、男の勲章にも繋がる思考と言える。
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氷のように冷たい
世間の壁が
いつもさえぎる俺達の前を
胸にえがいた この夢は
ハンパじゃないから
かじかむこの手にぎりしめ
≪男の勲章 歌詞より抜粋≫
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世間の目は冷たくとも、決して折れることなく自分が信じる道を突き進む。それこそが男だと、拳を握りしめるところが男気に溢れている。
ただつっぱるだけではなく、そこには自分なりの意地と信念があるのだ。
つっぱりに掛ける思い
----------------この部分では、子供の頃に抱いた夢を決して忘れてはいないと、自分に言い聞かせている。
ガキのころ 路地裏で見た
夜空にキラめいた
流れる星を見て
誓った思いを
忘れちゃいないぜ
≪男の勲章 歌詞より抜粋≫
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たとえ世間にどんな目で見られようとも、あの日誓った思いを裏切らない。自分に嘘をつけないバカ正直なところがかっこいい。
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つっぱることが男の
たった一つの勲章だって
この胸に信じて生きて行く
≪男の勲章 歌詞より抜粋≫
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最後はこの歌詞で締められている。結局、つっぱることだけが男の勲章、プライドであり、守るべきものだと信じて生きている。
それは傍から見れば決してかっこいい生き方ではないし、愚かに見えるかもしれない。それでも自分は自分が信じた道を突き進むんだと言い張る姿がスカッとさせてくれる歌詞だ。
つっぱりマンガに見事にハマった
こうしてみると、『男の勲章』はまさに「今日から俺は!!」のために生まれたとも言えるほどにぴったりと作品にハマっている。
歌詞に「つっぱる」と出てくることもそうだし、涙を見せず、自分の信念を曲げないところも登場人物に当てはまるのだ。
もちろん、主人公の三橋は卑怯で、信念などとはほど遠い。しかし相棒の伊藤は信念の塊のような男だし、今井もバカ正直で自分にも人にも嘘をつけないタイプである。
また三橋自身も、卑怯とはいえ何か一つ筋が通っているようなところがある。
そうした意味で『男の勲章』がカバーされたことは必然だと言えるのだ。長い時を経て出会った、同じ時代を生きた楽曲と作品の出会いには、運命的なものを感じる。
TEXT:岡野ケイ