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【歌詞コラム】「Saravah Saravah!」高橋幸宏が残した未踏の音源

世界と日常的に勝負できる日本製音楽の創始者「YMO」。その中で殺人的ドラムテクニックを誇る高橋幸宏が、新録版『Saravah Saravah!』をリリースした。高橋の今の声と雑味のないクリアな音は、壮大な未知数と小粋な香りに満ちていた。

2019年3月9日


この記事の目次
  1. ・フォークソング 和製ミュージックのテクノへの進化
  2. ・伝統とライトな機能性が交錯する「SARAVAH!」
  3. ・故人への思い その先にある輝き「LA ROSA」
  4. ・フォークからテクノへの貴重な足跡が見える「SUNSET」
  5. ・外来種が日本製になる入り口的作品「BACK STREET MIDNIGHT QUEEN」
  6. ・自由にブレた坂本龍一 1つの答えのみ放った高中正義
  7. ・天才坂本龍一の多重性が光る「ERASTIC DUMMY」
  8. ・レジェンド高中正義の無駄遣いが憎い「PESENT」
  9. ・高橋幸宏 最新情報
  10. ・リリース情報
  11. ・LIVE 情報
  12. ・高橋幸宏 Profile

フォークソング 和製ミュージックのテクノへの進化

伝統とライトな機能性が交錯する「SARAVAH!」


シャンソン色の強いメロディでありながら、高橋幸宏の40歳ほど若返った少年風のボーカルが、古い香水臭さを取り去り、ライトなポップ感と、同時に、この先どのカテゴリーの音楽にも変化していきそうな予測不能なユーティリティー性を吹き込んでいる。

ボーカルの消えたエンディングは、奥ゆかしくかつ鋭角的なリズムを刻み、冴えた新鮮味となって迫ってくる。

故人への思い その先にある輝き「LA ROSA」

ただ美しいだけのメロディを、生理現象のように注ぎ込んでくる加藤和彦のアーティストとしてのイノセンスにはぞっとするものがある。

中盤の坂本龍一の重くダークなキーボードは、古さより、今のその先の風景を脳に投影させていく。

ラストの大村憲司のさりげないハイテクなギターワークには言葉がない。

いろんなことを考えて悲しくなるが、高橋幸宏の疲れ気味のしんどいボーカルが逆にこの曲について何も考えさせない半端ない垢抜け感をもたらす。

フォークからテクノへの貴重な足跡が見える「SUNSET」


前衛的香りのする高性能なイントロ。リズムはYMOが確立した乱拍子の片鱗がのぞく。
普通のフォークソングのメロディーにエレクトリックサウンド、ヘビメタ風のギターが響くが、これらはフレーズの一つ一つに見え隠れする不安定さ、メランコリックさにうまく溶け込んでいる。

テクノは最初からテクノだったのではなく、貧乏学生の甘ったれたフォークソングが二足歩行をし、スーツをまとい、ついに宇宙服に着替え、スペースに旅立つ・・・といった進化によって誕生したことが分かってくる。聴くたびにスッとする違和感を覚える絶品である。

外来種が日本製になる入り口的作品「BACK STREET MIDNIGHT QUEEN」



歌謡曲に美しく長い肢を生やしたような作品。アンニュイできらびやかな昔の香りがするが、音楽的構築は今のシーンを騒がすどの作品より複雑だ。ソフトより人間技の微調整の緻密さがかっこいい。和製外来ミュージックが、お茶の間のショーから、巨大市場のプレゼンテーションと化していく(しかも誰もそのバトルに気づかない)、ある種、黄金時代元年のテイストを持ったいい感じのナンバーである。


自由にブレた坂本龍一 1つの答えのみ放った高中正義

天才坂本龍一の多重性が光る「ERASTIC DUMMY」

曲のタイトルにも表れているように、芸術家・坂本龍一のくずれた姿が見える。坂本龍一単独のワークでは、ここまでの無邪気さは作品に反映されなかったはずだ。高橋幸宏への底知れぬ愛情と、そして高橋幸宏で存分に遊ぼうとする意図が見える。

サビのメロディーはキャッチ―というより、記憶に残る普通の力強さがある。この普通さが坂本龍一の天才たる所以である。リスナーの学習意欲を呼び起こす音楽の確立が、消えそうで消えない、むしろその種はこの先百年は残っていきそうな「テクノ」というカテゴリーを生みだしたのだ。
時空を自由に支配できるかのような心地よい作品だ。

レジェンド高中正義の無駄遣いが憎い「PESENT」

渋谷公園通りのおしゃべり的歌詞と、綺麗なお姉さん風のコーラスのおしゃれなソングの中盤、突然高中正義の絶対王者たるギタープレイが走ってくる。このあり得ないアレンジ。

いっそすべて高中正義のギターインストゥルメンタルをしてしまったほうが、当時としてはナウく、かっこよかったはずだ。
それをあえて、究極の無駄遣い的に彼を起用することで、時代の先端で永久に留まる余裕、その危ない場所でうまく踊り続ける覚悟を知らしめた作品にしたのだ。高橋幸宏の読みの鋭さに唸る。


「YMO」という無機質なバンドの中で、唯一華とエロスが感じられた高橋幸宏。彼は決して歴史上の偉人ではなく、今を生き、旬のアーティストとしてこのミュージックシーンの中で、一段一段成熟していくのだ。

TEXT 平田悦子

高橋幸宏 最新情報

リリース情報

タイトル:Saravah Saravah!
高橋ユキヒロ
発売日 : 2018/10/24(水)  発売元:BETTER DAYS (日本コロムビア)
CD 定価 : ¥3,240 税込 [¥3,000税抜] / COCB- 54275
LP定価 : ¥4,104 税込 [¥3,800税抜] / COJA-9341

1. VOLARE (NEL BLU DIPINTO DI BLU) / ボラーレ
(作詞・作曲:D.Modugno・M.Treppiedi・F.Migliacci)
2. SARAVAH! / サラヴァ!
(作詞・作曲:高橋ユキヒロ)
3. C'EST SI BON / セ・シ・ボン
(作詞:中原淳一 作曲:A.Betti・A.Hornes)
4. LA ROSA / ラ・ローザ
(作詞:高橋ユキヒロ 作曲:加藤和彦)
5. MOOD INDIGO / ムード・インディゴ
(作詞・作曲:D.Ellignton・A.Bigard・I.Mills)
6. ELASTIC DUMMY / エラスティック・ダミー
(作曲:坂本龍一)
7. SUNSET / サン・セット
(作詞・作曲:高橋ユキヒロ)
8. BACK STREET MIDNIGHT QUEEN / ミッドナイト・クィーン
(作詞:高橋ユキヒロ、クリス・モズデル 作曲:高橋ユキヒロ)
9. PRESENT / プレゼント
(作詞・作曲:高橋ユキヒロ)

レーベルアーティストページはこちら
http://columbia.jp/takahashiyukihiro/

LIVE 情報

高橋ユキヒロ<Saravah! 40th Anniversary Live>
2018年11月24日(土) 東京・東京国際フォーラム・ホールC
開場17:00/開演18:00
サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックスの活動を経て、イエロー・マジック・オーケストラ結成直後の1978年6月21日、“高橋ユキヒロ”名義で初のソロ・アルバム『Saravah!』を発表した高橋。今回の記念ライブでは、自身の原点である同作を振り返り、旧知の仲間たちと共にアルバムをまるごと再現する豪華なステージが展開される。

高橋幸宏 Profile

■YUKIHIRO TAKAHASHI / 高橋幸宏
1972年、加藤和彦率いる”Sadistic Mika Band”に参加。1978年、細野晴臣、坂本龍一とともに”Yellow Magic Orchestra (Y.M.O.)”を結成。
ソロ活動と併行して、1981年からの鈴木慶一(ムーンライダーズ)との”THE BEATNIKS”、2001年からの細野晴臣との”SKETCH SHOW”、2008年からの原田知世や高野寛、高田漣等との”pupa”(ピューパ)など様々なバンドで活動。
2008年より、東京・夢の島にて開催の音楽野外フェスティバル 『WORLD HAPPINESS』のキュレーターを務める。
ソロとしては、1978年の1stアルバム『Saravah!』以来、2013年にJames Iha、高桑圭、堀江博久等によるIn Phaseと共に制作した『LIFE ANEW』まで通算23枚のオリジナル・アルバムを発表。
2015年、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井とのバンド”METAFIVE”を結成。アルバム、ライブ共に大きな話題を呼ぶ。
2018年、約7年ぶりにTHE BEATNIKSが活動を再開。オリジナル・アルバムとしては5枚目となる『EXITENTIALIST A XIE XIE』をリリース。
音楽家としての顔を持つ一方、ファッション・デザイナーとしても長いキャリアを持つ。
趣味はもっぱら釣り。磯釣りのキャリアは長いが、ここ20数年はフライ・フィッシングに夢中である。

【アーティスト公式ページ一覧】
www.room66plus.com
www.facebook.com/hintsmusic 
http://columbia.jp/takahashiyukihiro/

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