男性目線から描いた恋、aiko『青い光』
恋する女心を歌わせたら、彼女の右に出るものはいない!というくらい、女性目線での恋愛描写が上手いaiko。今回紹介する曲は、そんな彼女にはめずらしく、男性目線から描いた恋。また、aikoといえば『花火』や『KissHug』に代表されるように、夏を舞台にした曲が多いのですが、この曲は冬の空をテーマに描かれています。いつもと違ったトーンのaiko、味わってみてはいかがでしょうか?『青い光』は、aikoの6枚目のアルバム『夢の中のまっすぐな道』の1曲目に収録されています。「突き抜ける程 晴れた日」と歌詞にあるように、青い光とは、冬晴れの青空のこと。突き抜けるほどに晴れた透明感のある空に、男性の想いを重ねる構成になっています。
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何度も何度も確かめる様に好きだと言うね
僕の返事を待つ間止まらない言葉
君を包むこの両手の先に余った
場所に吹く風はしびれる程冷たかった
≪青い光 歌詞より抜粋≫
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恋愛中って、たとえ両想いであっても、相手が自分のことを好きかどうか不安になってしまいますよね。この彼女もきっと、そんな状態なのでしょう。彼女を抱きしめる彼は、彼女の不安げな言葉を聞きながら、余った手先に吹く風のつめたさを感じます。彼女の気持ちを察し、少し淋しくなってしまう彼。彼のそんな思いが、「つめたい風」に例えられているんですね。
男性は女性と違い、あまり嬉しいとか淋しいとかを言わない生き物です。その男性の気持ちをどうやって表現するか。風のつめたさだったり、空の青さだったりを上手く使って、男性にも切ない気持ちがあることを伝えています。
押せば壊れてしまいそうな透き通る青空
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空を見たのは 別に初めてな訳じゃないのに
何故だかいつも以上に綺麗で儚くて
それは 手を振る君の様で
突き抜ける程 晴れた日
≪青い光 歌詞より抜粋≫
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冬の空って、空気が澄んでいて、少し白みがかった綺麗な青色をしていますよね。押せば壊れてしまいそうな、そんな透き通る青空。そんな空を見たのは初めてではないのに、なぜだかいつも以上に綺麗で儚く感じられた。それはきっと、彼が彼女と一緒にいたからでしょう。
彼女が手を振る一瞬が、彼にとってすごく綺麗で儚いもののように感じられたから、それを今日の空のようだと思ったのです。空と彼女を重ねる彼の心理描写が、とても巧みですね。
これからの季節にぴったりのシチュエーション
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上手く表現できないけど 僕も同じ位
切ないはずだよ すきだよ すきだよ
≪青い光 歌詞より抜粋≫
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いつも女性の側から、切々と語られることが多い恋愛。でも、その時男性はいったいどんなことを想っているのでしょう。「上手く表現できないけど」と前置きされて語られる男性の想いは、女性よりも率直で、純粋なもの。
ストレートな「すきだよ」の言葉が重ねられることによって、男性の想いの強さが伝わる表現になっていますね。
いかがでしたでしょうか。aikoにしては少し珍しい切り口の曲でしたが、彼女の作詞の上手さがキラリと光る一品でしたね。
これからの季節にぴったりのシチュエーション、男女問わず聴いてほしい名曲です。
TEXT:毛布