瀧川ありさのピックアップフレーズ!!
――UtaTenは歌詞サイトなんで、この楽曲の中から1番瀧川さんが推しているフレーズを教えてください。瀧川ありさ:そうですね。沢山ありますけど、2Bの「君が笑うと心が軽くなるのに胸は苦しくなるから」ですかね。
――選んだ理由も教えてもらってもいいですか?
瀧川ありさ:これもこうだなって思ったんですよ。笑ってくれると日々の不安な気持ちとかが楽になってその人が笑ってるとこを見たいなって思うんだけど、それが恋心になると、“なんだこの苦しい胸騒ぎは!”みたいな。
心は軽くなって日々の潤いになっているのに、胸は苦しいっていう所を心と胸に言い分けて書いてみました。
――個人的にここの言い回しがいいなって思ったのがあって。「ほどけてしまった靴紐で歩くみたいに危なっかしくてそれでももう立ち止まれない」ってとこが、日常的にある表現を恋愛と絡めているところが素敵だなって思いました。
瀧川ありさ:これは私の単純にあるあるなんですけど、よく靴紐がほどけたままでもキリのいいところまでは歩くんですよね。結構普通に歩いているんですけど、他人から見れば危ないんですよ。けど自分っていけるだろうってときありますよね。
それってやっぱ人生でもあるなって思って。自分では解けてて、人から見たら“危ないから早く結びなよ”って思われているけど、自分はなぜか謎の自信があって。そのまま歩き続けることって人生でもあるなって思ったので。
――そういったことをここの歌詞に落とし込むんですね。
瀧川ありさ:なんかこれパッと思いつきましたね。
――人間ってそういうことをどうでもいいって思っちゃうじゃないですか。そこを捉えられているのが、さすがだなと!
瀧川ありさ:日常的なそういうことや、視点として違和感のあることって頭にファイリングされているんです。靴紐がほどけているとかそういう気になる事象は、フィルムカメラで撮ったら面白いかなみたいな。そういう感じで、カメラで撮ってみたらここってなんか面白いんじゃないかなみたいなことって多分勝手に頭の中にあるんですよ。で、歌詞を書くときとかにそういう写真をピッて1枚とってくるみたいな感覚はあるかもしれないです。
――その能力欲しいです(笑)すぐに、メモにとるわけじゃないんですもんね。
瀧川ありさ:(笑)そうですね、頭の中でシャッターをきってる感じです。
――かっこいい!!
瀧川ありさ:いや、そんなかっこいいもんじゃなくて(笑)飲みかけのコップとか、日常に落ちてるものをなんか気になったら、ぱっと覚えてるんですよ。それを言葉で書くときに、その飲みかけのコップをじゃあ人生と例えてみようか!みたいななぞかけみたいな感じで。そういう遊びを頭の中で勝手にしているかもしれないです。
――小説家さんみたいなスタイルですね。
瀧川ありさ:そうかもしれないですね。物語を書くときは、やっぱり実際に見聞きしたことから書きますね。
もう「あぁ」しかなかった
――サウンドもまた歌詞と綺麗にハマっていますね。瀧川ありさ:そうですね。多分もうちょっと若かったら、このタイトルでこのサビ頭でもっとガコンっていくと思うんですけど、そこをそうはしたくないなって思って。もっと大人な感じにしたいなと思ったので、そこまでこう変に着色せずにっていうのはアレンジ面でも意識しました。
――ストリングスとギターをかき鳴らしているのが、またエモーショナルですね!
瀧川ありさ:はい。ギターが情熱的な分、そのまわりを綺麗めにしておこうと思って。そこらへんが、青春を謳歌した大人が聴いてもあの頃を思い出せるようなサウンドにはしたいなと思ったんです。
――このメロディを作ってるときとかで、うまくいかないなーと思った瞬間はありましたか?
瀧川ありさ:うまくいかないな~ってことはなかったです!強いて言うなら、今までだったら多分Dメロを作ろうかなって思うんですよ。けど作らないで、また1Bが戻ってくる。「大人になればこんなことで悩まずに上手く生きられるかな」に戻ってこようとしたところがポイントで、あえてこれを繰り返していくところでまとめたいなっていう風にこだわったところはありました。構成を考えましたね。
――「大人になればこんなことで悩まずに上手く生きられるかな」の前のギターソロが泣かせる感じですよね。
瀧川ありさ:そうです。それは流石なんですよね。レコーディングも楽しかったです。曲が終わってもう1回「あぁ」に戻りたくなる感じ、リピートしたくなる感じをだしました。
――聞きたかったんですけど、この最初に「あぁ」ってくるじゃないですか。これはもうふとでてきたんですか?
瀧川ありさ:もう「あぁ」しかなかったんですよ。この一節がぱーって浮かんで!「あぁ」になんか言葉入れてみようかなと思ったんですけど、でもこの曲は「あぁ」じゃなきゃだめだなと思って。曲中でも2回「あぁ」が出てきますが、メロが違うんです。そこで感情の起伏が歌で表現できたらいいなと思ったので。今までメロに、「あぁ」とかはあんまり入れてこなかったんですけど、もう自然とこういう風にでてきましたね。
――英語だとまた違いますもんね。
瀧川ありさ:確かに!Ahだと違いますよね(笑)
――歌詞の話に1回戻っちゃうんですけど「大人になればこんなことで悩まずに上手く生きられるかな」ってあるじゃないですか。ご自身もそういう風に思われたりすることってありますか?
瀧川ありさ:逆に大人になったからこそわかることっていうか、そういう高校生の悩みとか自分が高校生の頃に悩んでいたこととか、考えていたこと、残しといていた日記とかをたまに見ると、小さな世界の中で悩んでいたんだって思って。
大人からすればそんなちっぽけな悩みって言うけど、それって別にそんな言葉じゃ救われないし、そのときはそのときが全てなのに、大人はそういうことを言ってくるからまた大人なんてみたいな気持ちってあるじゃないですか当時って。
――ありますね。
瀧川ありさ:でも実際、自分が大人になってみたら本当にそうだみたいなことが逆算的に起きて、なるほどな!と思って。それを当時の自分からの目線で今の自分が歌うことで、生まれてくる意味合いがある気がしたんですよね。本当に当時も、いつかみんなみたいになれるのかなとか、それを1番思っていました。
なんで周りと少し違うのかな?っていうこの違和感と、こういうことって大人になったらなくなるのかなとかって考えてたりもしましたね。そのリアルな当時の気持ちです。
――そうですよね。学生時代ってそんな些細なことでめちゃくちゃ悩むじゃないですか。
瀧川ありさ:そうなんですよ。今考えたらって思うけど、別に今考えても同情できる。こりゃ辛いよねとかそういう人間関係とか。当時のほうがやっぱり心が豊かだったなって思うことも多いので、全然悩んでいたことが悪いことじゃなかったなと思って、無駄なことじゃなかったなと。だからその悩んでいるところを、今の私の目線で諭す言葉でもなく、そのままにしようと思いました。