カップリングの「always」も「ドメカノ」に寄せて
――カップリングの「always」は結構ピアノを基調としていて、静かめなバラードって感じですよね。歌詞を見たときも思ったんですけど、なんとなく「わがまま」の登場人物たちともちょっとマッチする部分があるなって思って。瀧川ありさ:そうなんですよ。これが実は8話の特別エンディングで使われる曲になるので、それで8話に書き下ろしでこの曲を書いたんです。なので、それは正解です!繋がっているんですよね。
――おお!この歌詞は、「わがまま」とはちょっと違う風に書いたって感じですか?
瀧川ありさ:そうです。これは1回ハッピーエンドというか、8話なんですけど、そこで1回最終回みたいなそういう内容になるんですよ。
そこでとある2人が結ばれるので、それで1回夏生視点って言ったほうが1番わかりやすいかなと思うんですけど、1回ゴールがあるので、監督さんから希望がある曲を書いてほしいということだったので書き下ろしました。「わがまま」が葛藤で「always」が1個ゴールです。
――「鏡の自分目を合わせないような無理しなくていいから」ってあるじゃないですか。ここもさっきの靴紐みたいな感じでまたリアルな生活のことですよね。
瀧川ありさ:そうですね。これも私のあるあるです。鏡と目が合うのが、なんか嫌なんです私(笑)。だから髪とか服が乱れていないかとかは見ても、目はほぼ見ない。特に思春期の頃のほうがそれがすごくて、目合わせられないですなぜか。
――そうなんですね。自分を見たくないという心境から行動にも出るという…?
瀧川ありさ:なんですかね、この現象は。なんかそういうのがあって、街中とかでも自分がこう映ってるのがわかるんですけど目が合わせられなくて。
でもきっと堂々と自分で鏡の自分を見られるタイプじゃない人が、私以外にもきっといるんではなかろうかと思って。
だから自分にも言い聴かせていますねこの曲は。自分の救いにもなればいいなと思ったし、それが誰かの救いにもなればいいなと思ってこの一節を作りました。無理してるってわけでもないと思うんだけど、そういう人って無意識にストレスがかかっているタイプだと思うので、そういう人に伝えれたらいいなと。
「今日の君はどんな気持ち」という言葉もそうなんですけど、それでこう1個誰かがその曲聴いたときにストンと落ち着けるような部分になったらいいなと思ってこう書きました。
――「別々の場所で苦しくなっても覚えていて」ってとこあるじゃないですか。これは一人暮らしになった人とか、離れ離れになった人とかに刺さるなと思って。
瀧川ありさ:そう思います。この「二人手を繋いでいよう」っていう歌詞なんですけど、これは物理的なことだけじゃなくて精神的な意味というか、心の繋がりという意味で「手を繋いでいよう」って表現しました。そばにいるだけじゃなく、物理的にいることだけが全てじゃないなと思うので、どんなに離れていてもどっちかが生きていなくても、その人の存在が心にあれば強く生きていけるなとか。その小さな希望を愛せたらっていうところを「別々の場所で」ってところで表現しました。
――「わがまま」と比べると、「always」は帰り道に聴きたくなる曲ですね。
瀧川ありさ:あ~そうですね。ちょうどアニメのエンディングもそういうシーンがあるんですよ。2人で夜道を歩くみたいな。それにピッタリかなと思います。
――どっちも好きなんですけど、私朝に「わがまま」で、夜に「always」を聴きたいですね。
瀧川ありさ:いいですねいいですね!!嬉しいです。
――この「I’m Always here for you」は、私はあなたの為にいつもここにいるっていうことだと思うんですけど、ここを英歌詞にした理由を教えてください!
瀧川ありさ:この「I’m Always here for you」がそれこそパッて浮かんできたんです。いつもサビあたりは、大体降臨パターンなんですよね(笑)。「I’m Always here for you」ってあとから改めてちゃんと意味を調べたら、私はこういうことが言いたいんだなって思って、このまま使いました。
なんか日本語だと厚かましくなっちゃうっていうのかな。重いというか。重くていいんですけど、例えば「私はいつもあなたの為にここにいるよ」でもいいんですけど、日本語だとなんか違くて、これをリフレインで入れていくことによって、ある意味気にしなくてもいい、聴き流してもいいっていうかあんまメッセージ感を強くしたくなかったんです。
日本語だとすごい具体的に入ってくるから、すごくメッセージ性が私の中で強すぎたんですよ。英語にすることによって、そこがなんならちょっとしたときでも聴いてふって自分の必要なときにこの言葉が入ってきてほしいなって思ったんです。わかります?
――わかります!
瀧川ありさ:厚かましく、そういうときにしか聴けない曲にはなってほしくなかったので、いつでもこうパッて聴いていて、ある日ドライブとかでこの曲が流れていて「I’m Always here for you」っていうのが、その人の心に残ればいいなと思っていて。人の必要なときにそういうのって入ってくるなって自分も音楽を聴いていて感じます。
いつも聴き流している曲なのに、自分が困っていたりとか悩んでいたりとかするときに、今まで聴き流していた曲の一節とかが、急にパッて入ってきたりとかってあると思うんです。そういう風な立ち位置の曲になってほしいなと思ったのであんまり重すぎないようにしようとしました。
――1番大事なところですね。ここの高くなる歌い方もエモいですね。思わずグーッときちゃいます!
瀧川ありさ:ありがとうございます!いい意味で歌いやすいですね。感情を込めやすくて、歌うたびに表情が変わる曲じゃないかなと思います。
好きな歌詞は、鏡のフレーズ
――「always」の中からもお気に入りの歌詞をお聞きしてもいいでしょうか?瀧川ありさ:さっき言っていただいた「今日の君はどんな気持ち 抱えてたの笑いながら 鏡の自分目を合わせないような 無理しなくていいから」が好きです。
――鏡のところですね!
瀧川ありさ:はい(笑)鏡のとこにします。
――鏡を見たくない人っていう気持ちもわかりますが、はっきりと好きじゃないと答える方は珍しいなと思いました。
瀧川ありさ:(笑)見たくないというか、この「笑いながら」っていうのがポイントなんですけど、やっぱりニコニコしている人のほうが危ないっていう。危ないっていうか助けてあげなきゃっていうのがあって。表向きに辛い顔できる人ってまだ大丈夫なんですよ。
ニコニコしている人ほど、本当は大変だったりっていうのがあるので。ちゃんと人前で辛い部分を出せたりとか、私機嫌悪いですとかちゃんと表現できる人は逆にストレス耐性ある人なんですよね。ニコニコしている人ってどこで弱音を吐いたらいいか割とわかんないタイプの人が多いなっていう印象があります。
この「どんな気持ち抱えてたの」だけじゃだめなんです。「笑いながら」ってところで、そこで多分気づく人もいると思うんですよ。ニコニコしてるけど、私は辛かったんだって気づいてない人もいるから。そういう人が現代は、多いなって思います。「笑いながら」を入れたのがポイントですね。
――とても勉強になります。確かにって思いましたもん。「always」から学ぶことってめっちゃありますね。
瀧川ありさ:そんな風に思って頂けるのは意外でした(笑)ありがとうございます。
――「その世界をもし失っても」っていう歌詞も、それだけで壮大じゃないですか。でも「ここでちゃんと待ってるから」って言っているんですよね。
瀧川ありさ:“どうなろうと大丈夫だよ”っていうことを言いたいんですよこの曲は。だから光がなくなっても繋いでいようっていうところで、その世界をもし失うことと光がなくなることって大体はイコールなんですけど、何もなくなったときに残ってるものがやっぱ1番大事だなと思うので。それがこの「YOU=その存在」であったりだと思うんですけど。
本当に絶望したときに見えてくる希望が、その人が1番大事なものだと思うので、その世界をもし失っても“大丈夫だよ”って言ってくれる居場所があれば、その世界でも頑張れると思うので。失うことで、ここでまただめになったらどうしようとかっていう風な“どうしよう”をこの曲で、失くせたらいいなって思ったんです。
色々な人間の不安の“どうしよう”って思うことって、8割型起こらないって言うじゃないですか。心配なことって大体起きないのに、人間って危機管理能力で心配を予測する。例えば電車が止まったら“どうしよう”とかなんでもそうなんですけど、予測して、それが大きい人って不安が勝っちゃう。
なにか新しいことをするときに、わくわく飛び込んでいける人とリスクを先に考える人。私も後者側なので、そういう風になって人生を狭めてほしくないなと思って。大丈夫ですっていう曲にして、そういう起きない不安を余計なことを考えないようにしてほしいなって感じました。そこらへんを救ってあげたいなと思って書きましたね。
猫のだら~っとしたところを表現
――ありがとうございます。ジャケット写真もちょっと突っ込みたいなと思ったんですけど、横になってだら~っとされてますね(笑)瀧川ありさ:これも斬新な感じに仕上がっています!テーマが「わがまま」っていう言葉だったので、写真のデザインを手掛けてくださったデザイナーさんが、わがままといえば猫!という事で、猫の自由気ままな感じを表現できたらどうかなっていう話があったんです。私も、面白そうだなと思ったのでそういう雰囲気を出しました。
このジャケットの後ろの黄色い画用紙が、元々はただの1枚の巨大な画用紙だったんですけど、それをわちゃわちゃ私が破いたんです(笑)猫のように勝手に、飼い主が家に帰ったら家が荒れているみたいにして!そのクレーンの上にだら~ってなってるのも、猫が細い道を歩いてるようなイメージでして。そこにこうだら~ってなっているようなのをテーマで撮りました。
――そういう感じだったんですね!猫だとはちょっと思わなかったです(笑)
瀧川ありさ:(笑)この靴が片方なところとかも、そういうわがままっていうか気まぐれな感じを出してますね。
――ありがとうございます。では、最後に瀧川さんにとって「わがまま」がどんな1枚になったかと、応援してくださるファンの方にメッセージをお願い致します。
瀧川ありさ:改めてこの「わがまま」というタイトルは瀧川ありさのイメージとは結構違くて、意外だと思うんですよね。最初に「わがまま」って発表したときに「お、意外なタイトルだな」ってファンの方も思ってくれたみたいなので、それが本当によかったなって思って。
ジャケットからもそうですけど、新しい感じが見えてきつつも曲自体はここまでど直球な恋愛ソングも今までシングルではあんまりなかったなと思うので、新たな一面が表現できた1枚だなと思います。
2曲で完結してるので、今回は、ドメスティックな彼女とあわせて聴いてもらいたいなって。なので、これをふまえてライブも遊びにきてほしいなと思います。
TEXT 橋本美波
PHOTO 愛香