個性を描いた歌詞
「あやふやなものははっきりさせたい」「遠回りして帰る」「放課後の教室は苦手だ」など、最初のメロ部分には、この歌詞の登場人物“僕”の性格が描かれている。“僕”は、物事をはっきりさせたいタイプで、人に合わせるといったことが得意でないように読み取れる。
大勢が賛同する提案であっても、自分が納得できないことには賛同できない。
良く言えば意志が強く、悪く言えば協調性及び同調性がないとも言える“僕”の存在は、次第に浮いていく。
----------------
黒い羊 そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ
そうすれば 止まってた針はまた動き出すんだろう?
全員が納得するそんな答えなんかあるものか!
反対が僕だけならいっそ無視すればいいんだ
みんなから説得される方が居心地悪くなる
目配せしてる仲間には僕は厄介者でしかない
≪黒い羊 歌詞より抜粋≫
----------------
“僕”が賛同しないことに対して、賛同するように説得してくる者もいれば、“またあいつのせいで話が進まない…。”と不満を漏らす者もいる。
1人であっても賛同できない者の意見を無視し、皆が賛同したということにしたい周りの考えに“僕”は疑問を抱く。
“なぜ大勢の意見が正しい事であるかのように、賛同しなければならないのだろうか?”
自分に自信を持つことの大切さ
歌詞中にもある「黒い羊」とは、“僕”以外のその他大勢の群衆である「白い羊」の中で、“僕”のような、周りから浮いてしまう存在のことを表現している。“浮いてしまう”ことはが悪い事でないし、そもそも“浮いてしまう”という言葉自体がおかしいとさえ思う。
意見や価値観は1人1人違って当然なのだから、お互いのそういった個性の部分をもっと尊重できれば、誰かが“浮く”ことなんてなくなるのだ。
----------------
真っ白な群れに悪目立ちしてる
自分だけが真っ黒な羊
と言ったって同じ色に染まりたくないんだ
≪黒い羊 歌詞より抜粋≫
----------------
自分の意見があるのに、他人の意見に合わせにいっても、それは自分を偽ることにしかならない。
だから、周りの意見が自分と違っていたとしても、自分の考えに自信を持って主張することが大事だというメッセージがこの歌詞に込められている。
個性は伸ばすもので、押し殺すものではない
----------------
真っ白な群れに悪目立ちしてる
自分だけが真っ黒な羊
と言ったって同じ色に染まりたくないんだ
白い羊なんて僕は絶対なりたくないんだ
そうなった瞬間に僕は僕じゃなくなってしまうよ
まわりと違うそのことで誰かに迷惑かけたか?
髪の毛を染めろと言う大人は何が気に入らない?
反逆の象徴になるとでも思っているのか?
自分の色とは違うそれだけで厄介者か?
≪黒い羊 歌詞より抜粋≫
----------------
自分の個性を押し殺すことで、周りからは“同じだ”という親近感を持たれ、反感も買わないが、自分らしさは失われる。
どこにも自分と全く同じ人間なんていないのに、人が人に同調することはよくあることだ。本当に同じ意見なら同調してもいいが、少しでも自分が違う思いを抱いているなら言うべきだ。
“誰にも同調せず、気を使わずに意見を言ってごらん”と言えば、多くの人が本心を言って、様々な意見が出ることだろう。
人と人との繋がりの中で、自分の色、いわゆる個性を出していくことを恐れないで欲しいということが、この楽曲で一番聴き手に伝えたかったことではないだろうか。

TEXT 蓮実 あこ
秋元康総合プロデュース。応募者2万2509名のオーディションを経て、2015年8月に乃木坂46に続く「坂道シリーズ」第2弾グループとなる欅坂46として誕生。 2016年4月6日、1stシングル「サイレントマジョリティー」でデビュー。女性アーティストオリコン初週売上の歴代1位を獲得。同年末にはデビュー···

この特集へのレビュー
この特集へのレビューを書いてみませんか?