鏡を割ってミラーボールに!?
──UtaTenは、以前ミニアルバム『take the sensor』の時にインタビューをさせて頂きました!その時、ジャケット写真が黒田さんの綺麗な白い歯と赤い唇が印象的でしたが、今作の『Mirrors』では、鏡が見事に割れていますよね(笑)まず、このアートワークでいこうと思ったきっかけから教えていただけますか?
黒田秋子:今回、RAMMELLSなりのダンスチューンを作ってみよう!というコンセプトがあったんです。ダンスチューンと言ったらミラーボールが連想されるので、アートワークもそういうのがいいねという話になったんです。
ただ、普通のミラーボールにしてもつまらないから、鏡を割ってみたデザインならどうだろう?という話になり、見てみたらミラーボールっぽかったので、このジャケット写真になりました。
──『Mirrors』は、懐かしい思い出や、これからの未来を感じる1枚だと思いました。
黒田秋子:ネオノスタルジーって私たちよく言われるんですよね。なんだか懐かしいと。でも、曲を作る上で色んな曲を参考したときに70年代の曲とかを意識したりもしました。なので、そういう曲の影響で懐かしいと思ってもらえるのかもしれません。
──黒田さんは、70年代の音楽がお好きなのでしょうか?
黒田秋子:うーん、曲によりますね。私は、美空ひばりさんが好きです。ちなみに4曲目の『Gone with the wind』は、ドラムの彦坂が曲を作っているんですけど「70年代の音楽からインスパイアを受けた」と言っていました。
美空ひばりの楽曲からインスパイア
──リード曲の『真っ赤な太陽』は、夜のドライブなどにぴったりな楽曲ですね!歌詞に込めた想いをお聞かせいただけますか?黒田秋子:ありがとうございます。簡単な気持ちになりたかったんですよね。それだけを歌にしました。みんなが簡単な気持ちでいれたらいいな~って!
──そうなんですね。「太陽」というワードが、この楽曲のキーワードになっているような気がしたのですがいかがでしょうか?
黒田秋子:この曲を作り始めていたときに、たまたま美空ひばりさんの『真っ赤な太陽』を聴いていたんですよね。小さい頃から好きで、よく聴いているんですけどその時もちょうど聴いていまして。それで、美空ひばりさんの楽曲を聴いているうちに楽しくなってこのタイトルになりました。でも曲調とか、歌詞の意味は全くの別物ですね。
──夜のドライブ感がしましたが、まさか美空ひばりさんだとは…(笑)
黒田秋子:そうですか(笑)あんまり夜のドライブをしないからわかんないですね!(笑)車持ってない…。どう徹は?
真田 徹:僕はわかりますよ!(笑)太陽って言っちゃっているけど、曲は夜のイメージがしますよね。
──作詞はRAMMELLSさん全員でされていますね。
黒田秋子:そうですね。でもこの歌詞は、私から出た言葉になります。私の歌詞ってわかりづらいって言われる事が多いんですよね。だからこの曲は、元々リード曲というイメージをもって書いた曲でもあるし、みんなの言う事をちゃんと聞こう!って思って挑みました。
いくつか歌詞の候補を書いて、みんなにアンケートを取った結果、多数決で『真っ赤な太陽』になりました。みんなで決めたこともあったので、今回作詞はRAMMELLSという表記になっています。
──真田さんは、黒田さんの歌詞を最初に受け取ったとき、どんなイメージがありましたか?
真田 徹:覚えやすくて良いんじゃないかな?って思いました。実はその曲を決める多数決に僕、あんま参加してないんですよね(笑)
黒田秋子:一言ぐらいしか口出してないよね(笑)
──そうだったんですね。歌詞の作り方についてお聞きしたいのですが、黒田さんは実体験を元に書くことが多いですか、それとも空想や想像を詞に落とし込むことが多いですか?
黒田秋子:自分が思いついたことしか書けないので、実体験ですかね。それが空想なのかはちょっとわからないんですが…。
──実体験なんですね。『真っ赤な太陽』の歌詞に、「ぐるぐる回ってる人混み横目に誰かが語ってる空っぽなやつなんていないんだ」という部分がありますが、こういった心境を感じたときがあるんですか?
黒田秋子:色んなネットのタイムラインもそうだし、人の話を聞いているとすごく目が回った感じになったんですよね。
街とかを歩いていて、その時にある人が「アイツは空っぽだ!」みたいな話をしてたんですよ。そのときに「空っぽなやつなんている訳ないだろう」って思って、この歌詞を書きました。
──真田さんも歌詞を書かれると思いますが、真田さんはどういう書き方をされますか。
真田 徹:僕はどっちもですね。想像でも実体験でも書くし、でも思っていないことじゃないと書けないような気がします。
──なるほど。『真っ赤な太陽』の歌詞に、「勇気ある程傷つくというのは本当かい?」という部分がありますが、そのフレーズの裏で「ドキドキ」という言葉が聴こえますね!これはどういう狙いで入れられたんでしょうか。
黒田秋子:これは、生きている感じを表したかったんですよね。「勇気ある程傷つくというのは本当かい?」という所は、仮歌詞の時は違う内容だったんですけど、その時からドキドキというワードは入っていて。鼓動がドキドキしている感情を表に出していきたかったんです。
──「風の向こうもう飛んじゃいそうだ君と話そう」という歌詞が気になりました。こちらはどういう感覚なのでしょうか。
黒田秋子:「色々考えすぎてめんどくさいな~」って思って、飛んじゃえ~って感じたんです!その時に人と簡単な話が出来たらいいな~って思ったことから、この歌詞が出来ました。
──真田さんは、『真っ赤な太陽』をどういったイメージで演奏されていましたか?
真田 徹:レコーディングの直前に出来た曲だったので、まず間違えないように弾く!というのが前提にありました(笑)。歌詞もあまり覚えていなかったので、とにかく「売れろ!!」っていう気持ちで弾いていました(笑)。
──そんな想いで弾かれていたんですね(笑)
真田 徹:この曲はそうですね。「売れろ!」ってずっと思ってました。
──『真っ赤な太陽』のギターは難易度が高くありませんでしたか。
真田 徹:そんなに難しくはなかったんですが、サビは大変でした。
黒田秋子:アレンジとかはベースの村山なんですけど、村山が作る曲って結構難しいんですよね(笑)
──村山さんが作る楽曲は結構、多彩な音を使われるんですか?
真田 徹:そうですね、ごちゃっとしているんですよ(笑)
黒田秋子:言い方!(笑)
真田 徹:僕は引き算で考えるんですけど、村山は足していくやり方をするんですよね。
──メロディー自体は、どこか哀愁漂う感じもしますが、歌詞が弾けている方だと思うので良いバランスを保っていますね!
黒田秋子:そうですね。村山がアレンジしてくれたおかげで、ドラマチックで切ない感じになっていると思います!
『CLOUDY』は真田の愛犬を描いた曲
──『CLOUDY』が個人的な推し曲なのですが、真田さんが8歳~22歳まで飼っていらした愛犬が亡くなる前後の歌なんですね。この背景を知らずに聴いても、誰かとの別れを感じさせるサウンドと歌詞だと思いました。
真田 徹:ありがとうございます。亡くなって5年ぐらい経つんですけど、前ほどもう大丈夫だなって思えたので、今回歌詞が書けましたね。
──歌詞に「火曜日の18時」と出ているので、過ごした情景が浮かんできますね。
真田 徹:いや実は、ここ語呂があったのでこれにしているんです(笑)
黒田秋子:そうなの!?
真田 徹:俺、そんなに散歩行かなかったし!夏はアスファルトが熱いので、犬とかは散歩させない方が良いらしいんですよね。肉球が火傷しちゃうので…。なので、18時ぐらいにしてみました(笑)
──そんな裏話があったんですね(笑)作曲は黒田さんと真田さんの共作なんですね。
黒田秋子:私はAメロだけ作りました。それで徹がすぐ歌詞を書いてきてくれたんですよね。私も今作に収録されている『かくれんぼ』で、亡くなった祖父の事を書いていたりするので、歌詞もちゃんと入ってきました。
──「子供の頃は分からない例えばジーパンの格好良さについて」は、真田さんがよく感じられることなのでしょうか?
真田 徹:そうですね。僕、ジーパンが大好きなんですよ。子供の頃は短パンしか履いていなくて、ジーパンの良さがわからなかったんですよね。でも大人になってからわかる事ってあるなと。例えば、高校生の時にブラックコーヒーを飲んでみても、全然美味しくないけど、大人になるとそういうのがわかるようになるんですよね。それが分かると嬉しいという感情と悲しいなという感情があるので、そういう所を結び付けました。
──タイトルが『CLOUDY』ですが、これはどういう意味を込めてつけたのでしょうか。
真田 徹:曇り空が2番のAメロでも出てきているのと、犬とか大切な人が亡くなったときって暗い気持ちに最初はなりますよね。曇りのときの方が、気持ちと合っているんですよ。晴れているときに悲しいことがあることは、なかなかないし嫌だなって思うので。
『Over the purple』は、ファンに向けたラブソング
──『Over the purple』は、黒田さんがファンの皆さんに向けて書かれたラブソングなんですね。楽曲に込めた想いをお聞かせください!
黒田秋子:ライブで沢山の場所に遠征をして、沢山の人に出会って、たまに東京にいるときに、「ファンのあの人は今何をしているんだろう?次はまた会えるかな?」とか考えたりするんです。そういう気持ちを曲にしています。
──歌詞の中に「からくりの世界」という言葉がありますが、これは元々、黒田さんが好きな小説「旅する木」から反映されたものなんですよね。
黒田秋子:そうなんです。星野道夫さんの『旅をする木』が大好きで、ずっと読んでいるんですが、その本の中に「人生はからくりに満ちている」という言葉があるんです。
その言葉が凄く好きで、地方とかに行くとすぐその言葉を思い出すんですよ。からくりに満ちているのは、色々な人と出会う事なのかなと思っていて。そういう事を込めました。
──3曲目のサブリード曲『Over the purple』は、直訳すると「紫の向こう側」という意味になりますね。歌詞を読んでいくと、「「君は青」「僕が赤」かき集め」と書いてありますが、その色を混ぜ合わせると紫色になるんですよね。そういった部分とタイトルがかなり結びついていると思いました!
黒田秋子:ありがとうございます。その答えが歌詞に書いています。青が応援してくれるファンの皆さんで、僕が私たちですね。
──今回、なぜ、色で例えてみようと思われたんでしょうか。
黒田秋子:私いつも、匂いとか色とか敏感で。そういうのを思い出したときに、青や赤っぽいなってふと思うんです。よく色や匂いを使うことが多いですね。
──「退屈が街に紛れているのは秘密」という言い回しも、納得させられると同時に綺麗なフレーズだと感じさせてくれますね。
黒田秋子:ありがとうございます。私の日常を詰め込んだ感じです。
──では、黒田さんの歌詞を受けて真田さんは、どういうイメージで演奏されましたか?
真田 徹::最近好きになってきた曲なんですけど、最初はあまり好きじゃなかったんです(笑)でもギターがいっぱいあるし、どれをどの音色でギターを弾こうかと悩みましたね!