怒涛のスケジュールの中で楽曲制作!
秦基博、10枚目のシングルとなる『透明だった世界』。3カ月連続リリースの第1弾として発売されたこの楽曲の背景には、怒涛のスケジュールがあった。
どうしてハードスケジュールとなってしまったのか。始まりは、大人気アニメ「NARUTO」のテーマソングの話をもらったことだった。
それが後に『透明だった世界』になるのだが、この時すでに3rdアルバムの制作を行っていた秦基博にとって、この楽曲はアルバムで伝えたい思いとは少し離れている気がした。
しかし、彼自身が言いたい事、歌いたい事が象徴的に伝わるので、あえてアルバムに収録するのではなく先行リリースすることを考えた。結果、この楽曲の発売日が8月に決まってしまった為、ケジュールは立て込んだものとなってしまったわけだ。
なにはともあれ、完成した楽曲は、前作『アイ』とはがらっと雰囲気を変え、アッパーの効いた仕上がり。オープニングを飾るに相応しい、アニメの世界感を余すことなく活かしたナンバーとなってリリースを果たした。
透明だった世界
----------------
あの日 ホントに失ったものって何だったっけ
とうに忘れてしまったよ
夕暮れで 二人 少しずつ見えなくなっていって
それなのに 僕ら 帰れずにいた
どこかに 壊れそうな脆い心
強がる言葉で覆って隠してる 覆って隠してる
≪透明だった世界 歌詞より抜粋≫
----------------
悲しい別れ程、思い出したくないものはない。人は2度と会えないかもしれないとわかった時、別れを1つの区切りにして蓋をする。
「サヨナラ」なんて、一番解かりやすい言葉だ。
しかし、『透明だった世界』では不思議と悲しい雰囲気が伝わってこない。
----------------
サヨナラ 会えなくなったって 僕らは続きがあるから
≪透明だった世界 歌詞より抜粋≫
----------------
別れを言う時、また会う約束をしないのが普通であるはずなのに、あっさりと続きがあると言えること。子供の頃だったら考えもしなかったことだ。
しかし大人になった今、自分の行動次第で何とでもなる現実が目の前にある。そこでようやく気付くのだ。
「あの日ホントに失ったものってなんだったっけ?」
そう言って惚けられるくらいの強さを、自分がもう手に入れている事に。
「サヨナラ」は悲しい言葉じゃない
少年性と別れをテーマに、大人の目線で歌い上げた『透明だった世界』。
昔には戻れなくても、今だから見えてくるものがある。
次の再会をお互いに信じていれば、「サヨナラ」は悲しい言葉じゃない。
TEXT:空屋まひろ