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-The Singer- Uruは歌い続ける、秘めたる素顔と想いを

「The Singer」。彼女のBiographyはこの一言から始まります。なぜなら彼女の名を轟かせたのも歌であり、彼女がどういうアーティストなのかもその歌を聴けば思い知らされてしまうからです。その歌声は優しくも力強く聴く人の心を包み込んでくれる、まさしく唯一無二のものです。そんな解説不要なシンガー「Uru」の溢れんばかりの魅力をお伝えするべく、今回はあえて解説していきたいと思います。

歌のみで存在証明し続ける「The Singer」


彼女は元々、ネット上で数々の名曲を歌ってきたいわゆる「歌い手」。

2013年からYouTubeに名曲をカバーして歌う動画を投稿し始め、そのわずか3年後の2016年にメジャーデビューとなったのです。

しかし、デビューしてもなお彼女の本名や年齢・出身地などのプロフィールは一切公開されておらず、ライブやメディアへの露出も少ないことから彼女のほとんどは謎に包まれています。また歌い手としての彼女の活動のスタイルも謎を多く秘めたものでした。

彼女の動画のほとんどは固定カメラで自分の歌っている姿を映したもので、色合いがモノクロ調に加工されているものの、凝った演出や編集は全くありません。それはおろか、肝心の顔もマイクなどの機材に隠れて見えないのです。


▲『ひこうき雲』/ 荒井由実 -COVER by Uru-

ネット上で音楽活動をするアーティストやその卵が増え続け、誰もが動画の再生数を伸ばそうと試行錯誤する中、こんな動画を投稿する歌い手は少ないでしょう。

本格的にMVを制作する人もいれば、アマチュアでは自らが演奏している姿を動画で撮って投稿する人も多いですし、最近ではアニメーションでMVを作る人もいます。

それくらいネット上での活動において動画の面白さが重要視される中、固定カメラで歌うだけという、言ってしまえば「歌がよっぽど良くなければ最後まで再生してもらえない」というスタイルで、彼女は100本に及ぶ動画を投稿してきました。

すると、彼女の優しさと哀しみが共存するような神秘的な歌は支持され、2018年11月に彼女のYouTubeチャンネルの総再生回数は1億回を突破しました。

マイク越しの顔は確かに美しい。ですが実質その歌声だけでネットユーザーと音楽業界人の心を掴み世に送り出された彼女の躍進は、今思えば当然だったといえるでしょう。

デビューしても歌のみで生きていく彼女はやはり「The Singer」なのです。

歌声が包み込むUruの珠玉のカヴァー


Uruの歌の世界観はとにかく強く、それは名だたる名曲も彼女が歌い上げることで別な楽曲として成立し、その世界に没入させられてしまうほどのものです。

そんな彼女の世界観が感じられるカバー動画は100本以上にのぼり、そのどれもが素晴らしいのですが、その中でも特に彼女の歌声の優しさや包容力が感じられる名カバーを紹介したいと思います。

粉雪


▲『粉雪』/ レミオロメン -COVER by Uru-

ロックバンド「レミオロメン」の代表曲であるこの楽曲。

原曲はパワフルなボーカリゼーションでエモーショナルかつ壮大な印象ですが、彼女が歌い上げると全く違うイメージが広がります。

エモーショナルなニュアンスはなく、とても柔らかな歌声からは儚さが感じられます。そしてサビでは、そんな儚さの中にある愛おしさやぬくもりを見事に表現しているのです。

真夏の果実


▲『真夏の果実』/ サザンオールスターズ -COVER by Uru-

男性のラブソング、それもサザンオールスターズの名曲をUruが歌ったらどうなるのか。聴く前に考えると少し不安になるくらい想像しにくいですよね。

しかし聴いてみると、やはり私達には想像できないような雰囲気を演出しているのです。

まず、いい意味で原曲とは真反対の歌い方が完璧にサザンオールスターズ感を消しています。その上で女性のラブソングとして、そしてUruのラブソングとして滲み出る儚さ。

聴きどころとして挙げたいのはBメロからサビおわり。張っても決してキツく聴こえず、彼女ならではの優しく響くハイトーンが生きています。

動画の概要欄に「キーを上げて歌いました」とあるので、自らの一番魅力的なピッチを考えてキーを設定したのでしょう。

音声や動画の編集を自ら行っているのもそうですが、歌の面でのセルフプロデュースなどの面でもセンスが光っています。

シュガーソングとビターステップ


▲『シュガーソングとビターステップ』/ UNISON SQUARE GARDEN -COVER by Uru-

この楽曲もまた原曲が独特の雰囲気を持っていますが、彼女は見事に自らの世界観に落とし込んで唯一無二のカヴァーとして歌い上げています。

チャーミングな歌詞と彼女の儚い歌声が化学反応をおこし生まれる何ともアンニュイな雰囲気は何度も聴きたくなる心地よい中毒性ああります。

また、少し音楽的な観点からこのカヴァーを聴くことでまたひとつ彼女の凄さがわかります。

それは滑舌の良さと英語の発音です。

かなり早口な上に日本詞と英詞が入り交じるこの楽曲ですが、彼女は原曲よりも滑舌良く滑らかに歌っています。

彼女の歌においての技術の高さ、それに裏打ちされた表現力の豊かさがわかるカヴァー
です。

Uruの楽曲が持つ「傷」と「決意」


Uruが2016年のデビュー以降にリリースしたオリジナル楽曲のほぼ全ての作詞を彼女自身が手掛けており、また約3割の楽曲においては作曲も自身で行っています。

それによって、カヴァー楽曲でも既に色濃く滲み出ていた彼女の世界観がオリジナル楽曲ではより強く鮮明に浮き彫りになっており、そこからは彼女の秘められた過去や伝えたい想いが感じられます。

デビュー作から様々な作品やコンテンツとのタイアップに恵まれ、実力派シンガーとして着実にファンを増やしてきた彼女。

そんな彼女の素晴らしい作品群の中でも、彼女の大切なメッセージが詞に込められた楽曲があります。

フリージア


▲『フリージア』/ Uru -機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第2期EDテーマ-

2017年2月にリリースされたこの楽曲は、TBS系テレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の第2期エンディングテーマに起用されました。この楽曲の歌詞から読み取れるのは、彼女の凛とした強さです。

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希望のはな 繋いだ絆を
力にして明日を強く咲き誇れ
戻る場所なんてない辿り着くべき場所へと
迷いのない旗を高く掲げて
今を生きていく
≪フリージア 歌詞より抜粋≫
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辛いことがあったり何かを失ったとしても、それを糧にして前に進むしかない。彼女の優しい歌声がこの楽曲で紡ぐのは、そんな強さを決意するような力強い詞世界なのです。

remember


大人気アニメ夏目友人帳の満を持しての映画作品「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」。その主題歌として抜擢されたのがUruでした。

夏目友人帳の優しくあたたかい世界観に彼女が合わないわけがなく、この楽曲は作曲も彼女が手掛けています。溢れんばかりのぬくもりと優しさが込められた歌詞は、そのメロディやサウンドによって何倍にもなって聴いた人の心に注がれます。

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傷つくことを恐れながら
心を隠したりしたけれど
誰かが傍にいてくれる温かさを
教えてもらったから

さよならじゃない
名も知らない遠い場所へ
離れたとしても 記憶の中で
息をし続ける

夜に埋もれて
誰も知らない遠い場所へ
迷ったとしても 記憶の中の
温もりでずっと今を照らせるよう
≪remember 歌詞より抜粋≫
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誰かがそばにいるということはとても尊いこと。人のぬくもりは決して消えることはなく、もし大切な誰かがが遠い場所へ行ってしまっても、記憶の中にその人のぬくもりはちゃんとあるということ。

優しくも力強いUruの歌声が、私達にぬくもりを教えてくれます。

その歌声はさらに響く


これまでにシングルを7枚、アルバムを1枚リリースし、天性の歌声を持つ実力派シンガーとして唯一無二の存在になったUru。

2019年3月10日には自身最大規模のホールでの単独ライブ「T.T.T」を成功させました。

このライブのアンコールでは、新曲『願い』がTBS「アニメイズム」枠にて2019年7月から放送開始予定のテレビアニメ「グランベルム」のエンディングテーマに決定したことも発表されました。

【感動のライブ!】Uru自身最大規模となるライブでヒット曲『プロローグ』初披露!今夏TVアニメ「グランベルム」EDも担当!

飛ぶ鳥を落とす勢いとも言える速さで躍進を続けるUru.この勢いは止まる様子を見せません。

TEXT:武山和正

聞く人を包み込むような歌声と、神秘的な存在感で注目を集めるシンガー。 2013年 YouTubeチャンネルを立ち上げ、2016年のメジャーデビューまでに100本に及ぶカバー動画を公開し、幅広い年代からの支持を得る。 2021年6月時点でYouTubeチャンネルの総再生回数は3億4000万回を突破。 2020年2···

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