誰もが抱える不安や苦悩
“悩みのない人なんていない”。
この言葉をたまに見聞きした時は、“その通りだ”と感じる。
人は物心ついた頃から、悩み、時に不安な気持ちを抱えることも多いが、
それだけではなく、楽しい事や喜ばしい事もあるから生きていけるのだ。
----------------
僕と君とでは何が違う?
おんなじ生き物さ 分かってる
でもね、僕は何かに怯えている
みんなもそうならいいな
がむしゃらに生きて誰が笑う?
悲しみきるには早すぎる
いつも僕は自分に言い聞かせる
明日もあるしね。
≪僕のこと 歌詞より抜粋≫
----------------
このメロ部分では、自分と他人との比較が表現されている。
同じ人間同士だけど、自分よりも能力が高い人、何事も流暢にこなせる人などうまく生きていけてるように見える人間のことを羨ましく思い、自分に劣等感を抱く。頑張ってるのにうまくいかない時、悔しさと悲しみがこみあげる時もある。
そんな風に立ち止まってしまうような気持ちがあっても、日々は待ってはくれない。
歌詞中の「みんなもそうならいいな」は、“自分1人だけが悩んでいるわけではなく、他の人にも、きっと人には言えない悩みを抱えていたりするだろう”という前向きな憶測をして、「明日もあるしね」は、今日が辛くても、明日はもしかしたらいい日かもしれないという希望を持っていることが読み取れる。
幸せと不幸は紙一重
歌詞のサビ部分では、生きていること、今の自分が在ることへの喜びが表現されている。----------------
ああ なんて素敵な日だ
幸せに悩める今日も
ボロボロになれている今日も
ああ 息をして踠いている
全て僕のこと
≪僕のこと 歌詞より抜粋≫
----------------
悩んでいることやボロボロに心が傷つくことも、生きているからこそできることだと
言い、そのことを幸福にさえ感じている。
日々は、自分の気持ちの持ちようで、幸せにも不幸にも変わるのだ。
聴き手を惹きつける歌詞
全体的な歌詞を見て気になった、序盤と終盤に登場する“君”という存在。一見友人や仲間の1人のことを表しているように思うが、実は私たち聴き手のことなのだ。
聴き手に問いかけることによって、より歌詞の世界観に入り込みやすくなり、“僕”の思いにも寄り添うことができる。
人は1人1人育ってきた環境や価値観も違う。今までの人生で味わった喜びや悲しみを含めた様々な感情や沢山の人との出会いや繋がりが今の“僕”や“君”をつくりあげたと言っても過言ではない。
生きていることの素晴らしさを噛みしめることができ、悩みや不安も吹き飛んでしまうような楽曲だ。
TEXT 蓮実 あこ
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···