金曜日が終われば大丈夫
明日も
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月火水木金 働いた
まだ分からないことだらけだから
不安が僕を占めてしまう
時々ダメになってしまう
月火水木金 働いた
ダメでも 毎日頑張るしかなくて
だけど金曜日が終われば大丈夫
週末は僕のヒーローに会いに行く
ダメだ もうダメだ 立ち上がれない
そんな自分変えたくて 今日も行く
≪明日も 歌詞より抜粋≫
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週末が来るまで指折り数えている人も多いだろう。新しい環境で生活する新社会人にとっては尚更。
毎日新しいことばかりで慣れるのに精一杯。不安と緊張で失敗もするし、それでも毎日頑張るしかない日常をストレートに歌っている。
待ちに待った金曜日。”金曜日が終われば大丈夫”という表現が、自分に言い聞かせている感じでかなりリアルだ。立ち上がれないほどダメになってしまう自分を変えたくて、週末はヒーローに会いに行く。
このヒーローとはいったい誰だろう。
痛いけど走った
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良いことばかりじゃないからさ
痛くて泣きたい時もある
そんな時にいつも
誰よりも早く立ち上がるヒーローに会いたくて
痛いけど走った 苦しいけど走った
報われるかなんて 分からないけど
とりあえずまだ 僕は折れない
ヒーローに自分重ねて
明日も
≪明日も 歌詞より抜粋≫
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このサビの「痛いけど走った」というフレーズが大好きだ。
痛いとは普通、外的なものだ。物理的に人から殴られたり、包丁で手を切ったりすると痛覚が刺激され、”痛い”と感じる。しかし、この歌詞は、別に足が痛いわけではない。
良いことばかりじゃなく、泣きたいほど辛いことがあったり悲しい出来事のせいで、日々心に”痛み”を感じているのだ。「(心が)痛いけど走った」という逆接が成り立っていないように思えるこのフレーズが、元気な応援ソングに深みのエッセンスを与えている。
一見、この歌詞の主人公のことを悲劇のヒロインみたく思うかもしれないが、9割褒められて嬉しかった出来事よりも、1割の悪口や辛い出来事の方が印象に残りやすい。それが分かっているからこそ、勇気を与えられる歌詞にもなっている。
原動力
もう一つこのサビでキーとなっているのがAメロでも出てきていた”ヒーロー”だ。
彼女たち自身は、地元のサッカーチームである川崎フロンターレの選手のことを歌っているらしいのだが、リスナーが聴く分には解釈は自由だ。
週末にだけ会える恋人、親友、アイドル、バンドマンなどなんでもいいだろう。敬愛するヒーローに会える週末のために、平日も頑張れるし、実際に会うことで得られる力は絶大だ。
痛くても苦しくても走ることが、果たして正解なのか、またこの努力が報われるのかは分からない。しかし、誰よりも早く立ち上がるヒーローに会うことで、自分も頑張ろうと思える原動力になっている。
聴く人それぞれのヒーロー
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ちっぽけなことで悩んでる
周りの人は笑うけど
笑いもせず ただ 見せてくれる
走り方 ヒーローが教えてくれる
痛いけど走った 苦しいけど走った
明日が変わるかは 分からないけど
とりあえずまだ 私は折れない
ヒーローに自分重ねて
明日も
≪明日も 歌詞より抜粋≫
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「笑いもせずただ見せてくれる 走り方 ヒーローが教えてくれる」
ヒーローも完全無欠ではないから失敗することもある。それすらも原動力にして、走っている姿を見せてくれる。実際に行動して見せてくれるからこそ、本当の意味で元気や勇気が出る。
この歌詞の中のヒーローはとても素敵なんだなと思うし、聴く人それぞれにいるヒーローがどんな人なのか想像するのも楽しい。
私のヒーローは、間違いなくバンドマンだ。自分にはないメロディとワードセンスで日々を彩ってくれる。週末はフェスやライブに出向き、ヒーローと同じ空間を共有することが、明日からを生きる原動力になり、次会うまでにまた成長しようと思える。
バンドマンも人間なので、辛いこと悲しいこともたくさんある。それを乗り越える姿をこの目に焼き付けて帰るのだ。まさに『明日も』の歌詞と同じ現象が起きている。自分のマインドにぴったり合うこの曲自体が、今の私の”ヒーロー”になっている。
TEXT 坂倉花梨